日常風景 * 写真・文章 Copyright@”Mas Ciclismo Diary”
東京国立博物館 特別展「始皇帝と大兵馬俑」
中国というのはとてつもない。
東京国立博物館の大兵馬俑展に行って、改めて感じたことだ。


そもそも大兵馬俑ってなんだ?とわけわからず行ったわけなのだけれど、
余り下調べせず行って、逆に驚き満載で脳が刺激されてよかった。
脳内ドーパミンがじゃんじゃん噴出したのが自分でもわかるほど。

始皇帝の陵墓に近接して、兵馬俑坑(へいばようこう)という遺跡が発掘されたらしいのだが、
ひらたくいうと、そこに戦車や馬、武士の像が壮観に並んでいて、
なんでも武士の像は合計8000体近いそう。

それらの群像の一部を輸送して展示し、
群像の一部を模した模型を用意してその雰囲気の一旦を紹介するのが本企画。

それより前に、中国の春秋時代~秦の時代までの遺物の展示もあり、
こちらだけでも見ごたえ十分なのだけど。


兵士の像はすごい写実で、なんでもモデルをすえて制作されたそう。
だから個々の顔、姿勢が異なるわけだが、いずれもなかなか
いい面構え。
みな精悍さみなぎっている。

始皇帝の死後も、その権力誇示を願った上での創作なのだろうけれど、
エジプトのピラミッドに匹敵するような壮観さで、
いやはや、中国のスケールの大きさに圧倒された。
2016.01.30 Sat | Art| 0 track backs,
吉野石膏珠玉のコレクション展 愛と絆 展 @三越本店
三越本店(日本橋)の新館7F美術館(ときに催事場)が侮れない。

前回の鍋島、柿右衛門展も見ごたえがあった。
今は高山辰雄、シャガールを中心とした「吉野石膏珠玉のコレクション展 愛と絆」展開催中

平山郁夫などほかの画家たちの絵もあるけれど、やはり高山辰雄の聖家族は圧巻。

強く愛を訴える、というより、なんかもっとさりげなく、寄り添う運命にある人間たちの世界を
ほの暗い光と、淡い濃淡の線で描いている。

感情を抑え気味に描いているからこその無名性があり、
”誰”という特定の人物ではなく、世界の人々を暗示する。
宇宙観といった壮大な広がりを感じる連作。


平山郁夫氏の桜も幻想的。
端正な筆遣いで描かれた満月を背に、中央に向かって花を付けた枝がしなやかにたわむ。
ブルーモスクの絵は、京都、薬師寺 玄奘三蔵院伽藍「大唐西域壁画」にあった
月の砂漠のような異国情緒が漂う。


杉山寧の「ごう」(漢字が出ない)の煌めく岩肌の微妙な色合いは、
岩絵の具という鉱物使用だからこその自然感、繊細さ。
リアルと夢想のはざまのような凛とした岩々に、白いしぶきが当たって砕ける。



シャガールは、目黒区美術館で見たク連作『ダフニスとクロエ』があり、
以前じっくり見たハズなのに、意外に記憶の中のイメージと一致していなかったりして、
自分のリテイン能力のなさを実感した。


2月1日まで。

入場料:一般・大学生800円/高校・中学生600円[小学生以下無料・税込]
※三越 M CARD、伊勢丹アイカード、エムアイ友の会会員証、三越伊勢丹ホールディングス株主様ご優待カード、障害者手帳のご提示で、ご本人さま、ご同伴1名さままで無料でご入場いただけます。

***

ちなみに次回は「世界を驚かせた焼物 吉兆庵美術館蒐集 真葛香山展 」


次回超絶技巧展:
入場料:一般・大学生800円/高校・中学生600円[小学生以下無料・税込]
※三越 M CARD、伊勢丹アイカード、エムアイ友の会会員証、三越伊勢丹ホールディングス株主様ご優待カード、障害者手帳のご提示で、ご本人さま、ご同伴1名さままで無料でご入場いただけます。
2016.01.29 Fri | Art| 0 track backs,
郷さくら美術館 東京 中島千波先生トーク
週末、雪の予報で人出も少なかろうと高をくくっていた郷さくら美術館 での中島千波先生トーク。
大盛況で驚いた。

大御所自らの解説とあり、美術ファンなら雪であろうと関係ないようだった。

館内には色とりどりの花咲き乱れ、
闇に浮かび上がるもの、日中のもの、黄金の光を浴びるもの、、、など
さまざまな桜の表情は、桜の画家と言われるだけに魅惑的。

花びらひとつひとつが描かれて、これはもう体力勝負。
ある種修行のようだとおっしゃっていた。


桜並木を描くのはあまりお好きではないようで、
ひとつの木と対峙して描く方がお好きなのだとか。
だから目黒川の桜並木は、さくら美術館(目黒川そばにある)からの依頼で描いたものの、
自分としては異例のこと、と。

1つのスケッチから幾つかの作品を生み出すことはせず、
1つの最終作のみがクリエートされるそう。

それだけ対象物への思い入れがあるということ。


桜以外にも、椿や菊など正統派の花の絵もあれば、
喜怒哀楽を描いた大胆な人物像もある。

既存のものを打破する努力が滲んでいて、
一定間隔で方向性をさぐっている印象。

話術に長け、笑いを誘う語り口。
気難しい芸術家というイメージではなく。


館内ビデオでは、NHK BSの番組「旅のチカラ」が放映されていた。
中島氏が中国を訪問し、原始の牡丹を追い求め、描く様子が綴られている。

交配を繰り返した人工美より、自然が創造した生きるための機能が前面に出た原始の花の魅力を
氏は力説しておられた。


真紅のその幻の花は、確かに自然のエネルギーに満ち溢れていた。



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2016.01.25 Mon | Art| 0 track backs,
画家 岩田壮平氏のトーク @佐藤美術館
佐藤美術館で開催中の岩田壮平日本画展へ行ってきた。

14時からは、ご本人と恩師 土屋禮一氏のトーク。

なんと岩田氏は、3歳から生け花を習っていたという。
だからこその、花咲乱れる絵の数々。

ボリュームがあって、血が滴るような熱気と艶やかさ。
咲き乱れるの合間に、ちらちらと見えるのは自転車のホイールだったり
ハンドルだったり。

自然美とメタリックなものが織りなす違和感も魅力的。

土屋氏は、岩田さんの絵を見ていると、
岩佐又兵衛 を想起するという。

武士の家に生まれた岩佐は、一族郎党殺害されたという。
一人だけ、命からがら救い出された。
その出生の怨念を晴らすかのようなおどろおどろしさが彼の絵にはある。
それに似た恨みに似たパワーを岩田さんの絵にも感じるという。

実際のご本人岩田さんは、そういった不幸を背負っているわけではなく、
ただ、幼少期に祖母の庭で見たアイリスの衝撃が忘れられず
そのうちなるエネルギーを日本画というかたちで表しているのだそう。

絵に向き合う様は人それぞれ、とつくづく思う。


2016.01.24 Sun | Art| 0 track backs,
街はアート
1月2日、お正月の三越デパート。
ショーウィンドウには見慣れたスタイルのイラストが。

ニコラ・ビュフの絵に間違いない。
おととし、原美術館で展覧会『ニコラ ビュフ:ポリフィーロの夢』が行われていた。

独特の画風なのですぐわかる。


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やっぱり。

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新年らしく、七福神をあしらったデザインになっている。
フランス人だけど日本在住のビュフならでは。

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入口には、立体のオブジェ。
宝船。

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どこかしらに七福神が隠れていて、
なかなかお茶目。

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インパクトがあり、
色彩も美しい。

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美術館に行かずとも、一流アーティストの作品が街には溢れている。

なかなか嬉しい出会いがある。
2016.01.21 Thu | Art| 0 track backs,
ボッティチェリ講演会
土曜日、14:30から18時まで、ボッティチェリの講演会に出席した。

興味深い話が多々出る中、
ボッティチェリの「軽さ」というのはひとつの大きなキーワードだった。

無意識のうちにわかっているようで
具体的に言葉にして初めてこの意味の大きさに気づかされる。

軽さによるはかなげな空気が、あの優美さを強めている。


2016.01.18 Mon | Art| 0 track backs,
今年のお年玉
お正月三が日は、無料開館の美術館などがちらほら。

私は数カ所の美術館、博物館の年間パスを所持していて、例えば近代美術館などは無料開館館日でなくても
入館できるわけだけど、それでもお正月の美術館の雰囲気がなかなか好きなのだ。

年の初めから美術館に来ている人は、根っから美術ファンに違いなく、
そういう熱心な人たちと空間を共有できる雰囲気がいい。


無料ではなくても、トーハクのようにお正月イベント開催のケースもある。

東京国立近代美術館では、今年もカタログやグッズのお年玉配布があった。

去年はポスターをもらい、三越で福袋を買っている間、
いつの間にか手を離れ紛失。

今年は、パウル・クレーのカタログを頂いた。

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以前こちらで開催されたクレー展は実際行っており、
ただカタログは買っていなかったので丁度よい。

ぺらぺらめくりつつ、以前の展覧会をなつかしんだ。


今年秋には恵比寿の写真美術館がりリニューアルオープンする。
こちらの美術館も、以前は毎年くじびきや常設展無料などのイベントがあった。

再オープン後のお正月はどうだか不明だけれど、
暮れにチェックしようかな。

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2016.01.13 Wed | Art| 0 track backs,
FLOWERS BY NAKED / コレド室町1 <感想>
コレド室町1で現在開催されている「FLOWERS BY NAKED」展は、
夢見心地の世界だった。


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芳香につつまれ、様々な彩りに覆われた空間に足を踏み入れるや、
プルーストの「失われた時を求めて」の世界とシンクロした。

ポップな花たちが咲き乱れ、色が乱舞する中、色と匂いとかたちが混じりあう。
五感がピリピリと刺激され、あらゆる感覚の境界線が曖昧模糊になっていく。
まさに、プルーストが愛した世界。


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こちらは入口入ってすぐ。
ページがめくられ、花が散り、

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風景が目まぐるしく変貌していく。

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とくに注目は、白紙のページから徐々に浮かび上がるスケッチのような部分。
貝殻状の渦巻きに花が置かれる設計図といった様相だ。
フィボナッチ数列と呼ばれる数列をオーム貝として図式化した上に花が配置されていて、
それが会場全体のレイアウトと同期しているようだった。

フィボナッチ数の配列は、生物のかたちに当てはめられることで知られている。
(列の順番から数値を求める式など、数学好きの夫にかつて説明してもらったことがあるけど、つくづく不思議な数列だ。)
倍々ゲームのような格好で一気に広がっていくオーム貝の貝殻の扇状は
この数列と呼応する。

そんな生物界の不思議なかたちに花たちを閉じ込めた。
無限を表すインフィニティの箱の中にモネの睡蓮を咲かせたオランジェリー美術館みたいだ。


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野暮な説明パネルはない。
代わりにこんなお洒落な書物状の指示書がある。

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プロジェクションマッピング形式のエンターテイメントあり、

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FROZEN ROSESと題した氷のように鋭利な妖しさを発散する花畑あり、

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息を吹きかけて綿毛を生み出す能動的な仕掛けあり、

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木の枝に触ると、ドクッ、ドクッという振動が伝わるものもあった。
まるで心臓の鼓動のよう。
写真にはうまく撮れなかったけれど。


舞台裏をお洒落にアレンジしたようなコーナーあり。

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お仕着せでなく、自ら付加価値を付けくわえながら遊べるアーティフィシャルな花園は
素敵な大人の遊園地なのだった。

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以上、ブロガー内覧会にて。

*****

展覧会名 「FLOWERS BY NAKED」 
ディレクション : クリエイティブチームNAKED Inc.代表 村松 亮太郎氏 / クリエイティブカンパニー ネイキッド 
コラボレーション: 草月流第四代家元 勅使河原 茜氏
場所 コレド室町1  日本橋三井ホール 東京都中央区日本橋室町2-2-1  5F (エントランスは4F)
期間 2016年1月8日(金)~2月11日(木・祝)
時間 月~木、日曜…10:00~20:00
金、土、祝前日…10:00~21:00
※入場は、閉場の30分前まで
※最終日2月11日(木・祝)は、10:00~17:00
料金  大人(高校生以上)1.300円/小人900円
2016.01.10 Sun | Art| 0 track backs,
工芸館のモダニズム展が斬新
◆ ルーシー・リーやピエール・シャローが見られる工芸館の
「1920~2010年代 所蔵工芸品に見る 未来へつづく美生活展」



東京国立近代美術館工芸館で2/21まで開催中の「1920~2010年代 所蔵工芸品に見る 未来へつづく美生活展」は
210円といういつもの破格ながら、バリエーションに富んでいる。

吉岡堅二《椅子による女》といった絵画や、ルーシー・リーの《青釉鉢》、
はたまた以前汐留ミュージアムで企画展が開催されたことのある
ピエール・シャローの家具(↓)まで。

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(館内、通常、常設展示は写真OK。詳細は館内にて。)


モダンなりし大正時代から現代まで、アールデコ風の作品などを交えつつ
minä perhonenのテキスタイルと、工芸館所蔵作とのコラボ展示といった趣向を凝らした展示まで。

とくにコラボ展示は、余りにシンクロしていて、あたかも互いを知りつつ制作されたかのよう。


大々的な特別展に行かずとも、工芸館でこんなに豊かな作品群が見られる。
なかなか穴場的存在だ。

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http://www.momat.go.jp/cg/exhibition/longing_for_modernity/#section1-1

会場: 東京国立近代美術館工芸館
会期: 2015年12月23日(水・祝) - 2016年2月21日(日)
開館時間: 10:00 - 17:00  ※入館時間は閉館30分前まで
休館日: 月曜日(1月11日は開館)、年末年始(12月28日[月]-2016年1月1日[金・祝])、1月12日[火]
観覧料: 一般210円(100円) 大学生70円(40円)
※( )内は20名以上の団体料金。いずれも消費税込。
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2016.01.06 Wed | Art| 0 track backs,
2015年展覧会 私のベストテン
2015年も各所の展覧会を愉しみました。印象に残ったベストテンを挙げてみます:

展覧会名/ 場所/ 会期


1. 藤田嗣治 《舞踏会の前》 修復完成披露展
東京藝術大学大学美術館 本館 展示室2
12月1日(火)- 12月6日(日) 

・絵画作品は修復後の《舞踏会の前》や若き日の自画像など、点数は少ないものの、修復の前・中の記録は興味深く、残された手帳や日記にプライベートが満載でフジタという人に寄り添える貴重な機会でした。挿入されたイラストに味があり、汐留ミュージアムのパスキン展を思い出しました。彼もまた手紙にイラストを描いていて、2人は情報伝達手段として、文字を補うべく絵を入れずにはいられなかったかのよう。



2. シカゴ ウェストンコレクション 肉筆浮世絵ー美の競艶 浮世絵師が描いた江戸美人100選
上野の森美術館
11月20日 (金) 〜 2016年1月17日 (日)

・肉筆画の魅力に魅せられてしまいました。とくに西川祐信を再認識。ツゲの櫛とか綿密で、着物の柄、川の表現が秀逸。表情も人間的で、ルネサンス!と、思わず口にしてしまったほど。北斎の京伝賛遊女図、大原女図も速いタッチで見事。雪中常盤図の雪舞い散る表現うっとり。前期は開始早々に行ったおかげで割と空いていましたが、後期は結構な混雑。でも年内中に両方行けてよかったかな。



3. グエルチーノ展 よみがえるバロックの画家 
国立西洋美術館
2015年3月3日 (火) ~ 5月31日 (日)

・バロックの絵を日本で見る機会はなかなかなくて、貴重な機会でした。とくに大型の教会画を日本で見られるとは。教会にいるかのような雰囲気の演出もよかったです。(ルドヴィーコ・カラッチはあったけど、アンニーバレがなかったのが唯一残念。)



4. プラド美術館展 ―スペイン宮廷 美への情熱

三菱一号館美術館
10月10日(土)~2016年1月31日(日)

・プラド美術館で恐らく見逃していたと思われる小作品の魅力を教えてもらいました。あれ以来、他の展覧会で見た小作品に、マルケース氏の言葉通りの魅力を感じるようになったものです。画家の心がこもった細密な筆の素晴らしさをこれからも折に触れて堪能したいと思います。



5. 日本の美・発見X 躍動と回帰 ―桃山の美術

出光美術館 
2015年8月8日(土)~10月12日(月・祝)

・主題が明快でした。室町時代との比較展示により桃山の特色がくっきりと浮かび上がり、負の要素に美を見出すおおらかさを実感できました。桃山時代の屏風に、まるで抽象画のような印象も。絵の見方を磨かせて頂きました。



6. てぶくろ|ろくぶて 
東京国立近代美術館
9月19日(土)~12月13日(日)

・人間の目で確認された事物、その存在を考える深淵な展示でした。メルロ=ポンティと同様の思想を持った芸術家の間で客観と主観の融合点、その裏側を追求する動きがあった、それゆえの作品なのだ、と知りました。その上で見る(裏返しの)<手ぶくろ>は今までとちょっと違って映りました。本展のテーマを知ってみれば、セザンヌと、線路の左右対称写真の同時展示の意味がわかり、これは目から鱗。



7. ヴァチカン教皇庁図書館展Ⅱ 書物がひらくルネサンス
印刷博物館
2015年4月25日(土)~2015年7月12日(日)

・ボッティチェリが生涯で2回だけ描いたという本の挿絵をファクシミリ版で見るという貴重な体験。単眼鏡で見てみれば、虫のような細かい人物像はおどろおどろしくて、凄惨な地獄図!サヴォナローラに感化される前の時代と思われ、当時から心の闇を抱えていたのでは?などと思った次第。そのほか、歴史の授業で習った遥か昔の伝説のような人たちの書が目の前にある不思議さといったら。残っていたピンホールからは、多色刷りの苦労が窺われました。中西保仁さんのレクチャーもためになりました。



8. 絵巻を愉たのしむ―《をくり》絵巻を中心に
三の丸尚蔵館  
7月4日(土)~8月30日(日)

・「をくり(小栗判官絵巻)」伝岩佐又兵衛の絵が見たくて何度も通いました。秀逸な生き生きした人物表現、わくわくしました。



9.ジョルジュ・ルオー展 ―内なる光を求めて
出光美術館 
10月24日(土)~12月20日(日)

・これまで見たルオーの絵の中でもとりわけ印象的でした。内省的な表情に、心が洗われる思い。本館はものすごい数のルオー・コレクションを所蔵しているようですね。キリストの絵の中にアンドレ・マルローから直接出光氏が手に入れたものがあるなんて。その隣にあった青いキリストがそこはかとなく好きです。



10.東山魁夷 わが愛しのコレクション展
三越 日本橋本店
1月26日(金)~1月19日(月)

・ホドラーを模写し、ルドン、ロダン、ルオー、梅原隆三郎などを所蔵していただけでなく、オリエント古代の品々の収集されていて、守備範囲が広くて驚きました。日本絵具の引き出しも壮観!感じた生命を鮮明に描くために単純化する、その過程を表したビデオ上映もよかったです。真摯な人、という印象でした。霧にかすむ絵がよかったです!



番外編
● 再オープンを楽しみにしています、ブリヂストン美術館。
● 今年のハイライトはやっぱり3度目のウフィツィ美術館。やっぱりわたしはルネサンスちょい前の絵に惹かれるようです。
2015.12.31 Thu | Art| 0 track backs,
栃木市役所4階で喜多川歌麿の高精細複製画を展示中
喜多川歌麿の肉筆画「深川の雪」「品川の月」「吉原の花」のうち、
まぼろしといわれた「深川の雪」が去年日本で見つかり箱根の岡田美術館所蔵となったのを機に、
このほど本作品の高精細複製画が制作された。

これで、全3作の細複製画が揃うこととなり、現在栃木市役所にて公開中。

先日ツーレが栃木出張の際見てきたといい、以下そのときの写真。
フラッシュなしで撮影OKだ。


「品川の月」高精細複製画

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「吉原の花」高精細複製画

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「深川の雪」高精細複製画

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全3作の細複製画の展示情報:
【日 時】 平成27年11月14日(土)~平成28年3月27日(日)
      ※土・日・祝日も展示。年末年始(12/29~1/3)を除く。
      平日:8:30~17:15
      土・日・祝日:10:00~16:00(最終入場15:30)
      ※土・日・祝日は、閉庁日のため、庁舎東側入口(蔵の街大通り側)の隣にあるエレベーターで 4階へ

【場 所】
 栃木市役所4階 (栃木市万町9-25)

詳細は以下:
栃木市役所サイト
2015.12.27 Sun | Art| 0 track backs,
岩下の新生姜ミュージアム
世の中には変わった美術館があるものだ。

栃木には、岩下の新生姜ミュージアムなるものがあるそうだ。
内容は、見れば一目瞭然、
生姜のPRといった風情。
英語名はNew Ginger Museum。


透明の部分に立って、まずは写真スポット:

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生姜ソファ。

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ふたたび生姜写真スポット。

実はツーレが出張で訪れた栃木で見つけたそうで、
電車待ちの間、立ち寄ってきたという。

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訪問先の目と鼻の先にあったから寄った、と言っていたが、
結構楽しんでいる。

岩下新生姜は栃木では、滝沢ハムとともに2大名物らしい。


http://www.kuranomachi.jp/spot/outskirts/iwashita-museum/
2015.12.26 Sat | Art| 0 track backs,
ラファエル前派展 / Bunkamura <感想>
随分前の事。
ロセッティの《ベアタベアトリクス》を以前雑誌かカタログで見て
以来、ラファエル前派のファンになった。

その後イギリスに3ヶ月ほど滞在する機会があり、
あちこちでラファエル前派の絵画をハントした。

ロンドンのみならず、ケンブリッジやオックスフォードの大学付属などにも行った。
3段並べの無造作な絵の配列の中にロセッティなどが何気に埋もれていたりして
そんな宝さがしを愉しんだものだ。

けれど、今回Bunkamuraで開催されている「英国の夢ラファエル前派展」は、
リバプールの美術館からすべて来ているため
未見のものばかりだった。


ジョン・エヴァレット・ミレイは西洋美術館の《あひるの子》が馴染みだが、
そのモデルの子にそっくりな作品《巣》などもあった。


同じくミレイの《ブラック・ブランズウィッカーズの兵士》は、
戦地に赴く兵士と女性の別れのシーン。
2人が扉やノブに手をかけているのは、
部屋を閉めんとするひそやかな暗示だろう。
(或いは女性の方は、それを阻止してちょっと抵抗する見せかけの仕草?)

反ナポレオンの連合軍兵士なのに、部屋にナポレオンの肖像画が掛かっているのが
シニカルに映った。

足元の犬は忠誠の印だろうか。
離れていても愛は消えない、といった。


今回の発見は、ローレンス・アルマ=タデマ。
大理石、床モザイク、衣装の質感がすごい。

三菱一号館美術館のプラド展で知った細密画のよさを
改めて味わった。


フレデリック・レイトンの《ペルセウスとアンドロメダ》は、
プルーストの「失われた時を求めて」のバルベックの風景を綴った一節を想起させる。

陰鬱な海岸の岩(rivage funèbre,)につながれたアンドロメダを取り巻く風景描写が秀逸なのだが、
それを絵画で具現化したのがこの作品なのだと思った。


ジョージ・フレデリック・ワッツの《十字架下のマグダラのマリア》は
ロセッティの《ベアタベアトリクス》を彷彿させる。


バーン=ジョーンズは相変わらずの安定感。
《フラジオレットを吹く天使》の羽の色が美しい。


ロセッティは少なかったけれど、
ジョン・ウィリアム・ウォーターハウスを改めて好きになる。

メインビジュアルの《デカメロン》は、花咲誇る庭に集う男女の絵。
色合いといい、きわめて心地よい。
右手の男性がルネサンス期のイタリア人(ラファエロ)を思い起こさせる装束だ。



3月6日までなので、もう一度行くつもり。

こちらの美術館は通常19時まで開館で、金土が21時までなので、
比較的入場者が分散して混雑が緩和されるのがいい。
とくに金曜や土曜の20時頃などは、人気の高かったダヴィンチ展ですらガラガラで見やすかった。


こちらは我家のロセッティグッズ。
左はロセッティ作品のカタログ。手のひら版だけど、結構いいお値段だった。
(為替のせいもあり。)

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*****
「英国の夢ラファエル前派展」
期間:2015/12/22(火)-2016/3/6(日) *1/1(金・祝)・1/25(月)休館
開館時間:10:00-19:00(入館は18:30まで)
毎週金・土曜日は21:00まで(入館は20:30まで)*1/2(土)を除く
会場:Bunkamura ザ・ミュージアム
http://www.bunkamura.co.jp/museum/exhibition/15_raffaello/ticket.html
2015.12.24 Thu | Art| 0 track backs,
2015年秀作とされた映画 (日経新聞夕刊・映画評論家の方たちのチョイス)
12/22付け日経夕刊に「今年の収穫ー映画」なる記事が掲載された。
2015年度の映画作品の中からスペシャリストたちが秀作を3本ずつ選ぶ、という企画。


● 中条省平さんが挙げたのは:
1.アンジェリカの微笑み (マノエル・ド・オリヴェイラ監督)
2.アメリカン・スナイパー (クリント・イーストウッド監督)
3.さらば、愛の言葉よ (ジャン=リュック・ゴダール監督)


● 渡辺祥子さん:
1.あん (河瀬直美監督)
2.黒衣の刺客 (侯孝賢(ホウシャオシェン)監督)
3.黄金のアデーレ 名画の帰還 (サイモン・カーティス監督)


● 宇田川幸洋さん:
1.黒衣の刺客 (侯孝賢(ホウシャオシェン)監督)
2.アンジェリカの微笑み (マノエル・ド・オリヴェイラ監督)
3.マッドマックス 怒りのデス・ロード (ジョージ・ミラー監督)


● 村山匡一郎さん:
1.真珠のボタン (パトリシオ・グスマン監督)
2.わたしの名前は… (アニエス・トゥルブレ監督)
3.岸辺の旅 (黒沢清監督)


● 白井佳夫さん (すべて邦画だ!):
1.ハッピーアワー (濱口竜介監督)
2.この国の空 (荒井晴彦監督)
3.ゆずり葉の頃 (中みね子監督)


上記のうち、ピンク色の2本が私が見たことのある作品。
「黄金のアデーレ・・」は、確かによかった。
がしかし、ゴダール監督の作品の方は、今年見た中で私的に最大ガッカリ賞だった。
学園祭の出品作品で、仲間内にだけ受けるような、傍から見たらわけわからないもの、
そんな印象だった。

身体のメカニズム同様、芸術品に対する感動具合も、個人差は大きい。


「アンジェリカの微笑み」は未見だけど、
上述の中条さんの評のように、100歳をこえた監督の瑞々さを口にする声は多いようだ。


以下、私のナンバー3:
1.「エール」(仏)
2.「黄金のアデーレ」、
3.「ミケランジェロプロジェクト」


とはいえ、鑑賞は1ヶ月に1本弱という状況なので、語る権利はないけれど。
2015.12.23 Wed | Art| 0 track backs,
「第6回菊池ビエンナーレ 現代陶芸の〈今〉」 / 智美術館 <感想>
ビエンナーレ(biennale)とは、2倍を表すラテン語の<Bi>がついているとおり
2年ごとに開催される祭典のこと。
現在、菊池ビエンナーレと呼ばれる陶芸の公募展が、菊池寛実記念 智美術館で開催されている。


応募総数296点。入選は48点という狭き門を通過した作品は
個性まちまちで、バリエーション豊かだった。

入選作の一部は先にフライヤーで目にしていたものの、
実際、目の当たりにしてみると、質感が想像と違っていたものが多かった。


とくに建築を勉強されたという奈良祐希さんの《数瞬》は、
隈研吾氏デザインの大宰府のスターバックスを彷彿させる作品
というイメージだったのだが、実際はもっと とろりとした質感で、
やはりこれは陶なのだ、とつくづく思った。
斬新で思わず惹きつけられる作品だ。


初日は展示のみならず入選作の講評会もあったのだけれど、
講評をうかがって、奥深さを改めて痛感した。

全体的なコメントを通じてひとつ印象的だったのは、
無難・保守的・守りに入った作品に対して辛口な寸評が多かったこと。
表面的なきれいさよりも、
鼻息荒い野心や執念といった一歩踏み込んだ気持ちが見える作品が求められているようだ。


実際、
もっと土と格闘せよ、
先にイメージありきで作ってはいないか?
説明的になっている、
などという声が多々聞かれたのだった。


また、完成度の高い中田博士さんの《真珠光彩壺》のような作品の場合、
作者の実績が加味され、期待値との相対評価になるため、
作品単体が素晴らしくても、その上を要求され、完成度が高すぎる、などといった酷な評価につながった。

個人的には表面の繊細な凹凸や、エレガントな輝き、極上の質感は実に魅力的だったけれど、
審査員の目から見ると、美を雄弁に語り過ぎているかのようだった。
優れた作家だからこその、もう一方踏み込んだ風穴を開けるような怖れ知らずの勢いとか、
美にプラスするような余韻などの新境地が求められたようだ。


激励賞の張蕙敏さんの 《種の器》の場合も、作品の向こう側にちらつく作家の今後の展開に言及があった。
作品が絶賛される一方で、この後の伸びしろなどを今から憂慮する声もあり、
公募展ならではの空気を感じた。



大賞作品である神田和弘さんの 《繋ぐ》は、
力強く堂々としていて、身をゆだねたくなるような安定感を感じた。

優秀賞の津守愛香さん作《サムライ・マーメイド》は、
怪しげな魅力と、妥協しない心意気を感じ
フライヤーで見たときよりも、力強さをがあった。


奨励賞はおふたり。
既述の張蕙敏さんの 《種の器》と、若月バウマン ルミさんの 《Form》。

前者は写真ではもっとマットな印象だったのだけど、
近づいて見ると光り輝いて、種がはじけるかのように溌剌としていた。
個々のタネが可愛い一方、全体像は縄文土器風味の籠といった風情で、これ、面白い。


後者は、批判の多かったセットものの中において、
対であることがすんなり受け入れられる作品として評価を受けていた。

柔らかなフォルムや寄り添うふたりといった構図が、どこか
ヘンリームーアを思い出させ、イメージソースがありそうでいながら、
人物のデコルテのように広がる部分が鷹揚で、どこか独特でもある。


公募展というある意味力試しに出された作品たちということで
裏にある作家の気持ちを考える機会にもつながり、通常の展覧会とは一味異なる
愉しい展覧会だった。


*写真は撮影許可を得ています:

最後の展示室:
PC190014.jpg

レストラン「 ヴォワ・ラクテ」から眺める庭の紅葉も素敵:
PC190006.jpg


http://www.musee-tomo.or.jp/exhibition.html

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場所: 菊池寛実記念 智美術館
展覧会名: 「第6回菊池ビエンナーレ 現代陶芸の〈今〉」 
会期 : 2015年12月19日(土)~ 2016年3月21日(月・祝)
休館日:  毎週月曜日(ただし1/11、3/21は開館)、1/12(火)、
年末年始休館: 12/28(月)~1/1(金)
開館時間:  11:00~18:00  ※入館は17:30までになります
観覧料:  一般800円、大学生500円、小・中・高生300円
※未就学児は無料
2015.12.21 Mon | Art| 0 track backs,
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