日常風景 * 写真・文章 Copyright@”Mas Ciclismo Diary”
写真家ソール・ライターの言葉が素晴らしい

Bunkamuraミュージアムのソール・ライター展に行き、

壁に書かれた本人の言葉に感銘を受けた。


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● 神秘的なことは馴染み深い場所で起きていると思っている。

何も、世界の裏側まで行く必要は ないんだ。


そして、


● 写真を見る人への写真家からの贈り物は

日常で見逃されている美を時々提示することだ



こんな言葉を脳裏に刻んだ後、外に出た。

町の風景が変わった、と感じた。


ライターの写真は、本当に身近なシーンを切り取っているのに

どれもこれもが美しく、詩情豊かで心に響く。



きっと私の日常風景も本当はモノトーンなんかではなくて、

きらめきがいたるところにあるのだろう。


でも美の心がないから、色あせて見える。

心の目を養えば、見慣れていたはずの風景も

変わって見えるのだろう。


カメラをもって近所をうろつきたくなった。



● 幸せの秘訣は何も起こらないことだ


これは一理あるなぁ。

穏やかな心ぶれない日々、あこがれる。



● 美術の歴史は色彩の歴史だ。洞窟の壁画にでさえ色彩が施されている


この言葉は、何人かの美術家の口からきいたことがある。

ちょっと言い方は違うけど、

人類の美の原点はアルタミラの洞窟である、とか。


草創期から人類は美を求めてきた。

生活に不可欠というわけでもないのに。

せっかく人間として生まれてきたからには、

その美の心を忘れたくない。



● 無視されることは偉大な特権である


これは画家の人生を投影している言葉。


大きな雑誌社との契約を打ち切り、

安定的な収入源を断ち、作品を発表することも

ある時期から辞めて

ひたすら写真撮影と絵画に向き合ったライター。


自由でいることが財産であるかのように。


-----


それにしても久々に感動した写真展だった。


雨粒、傘、雪、庇、など、

風景の間にフィルターを置くことで、

現実世界に不思議な演出が施され、

生み出されるポエジー。


さらに、写真の切り取り方が独特で、

感動的だった。


絵を描き続けた写真家ならではの

独特の美的感覚だ。


ナビ派や浮世絵の風味が加わって、

どこか絵を見る感覚だった。


結局3回見に行ってしまった。

あんな素敵な写真を撮ってみたい。



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2017.06.11 Sun | Art| 0 track backs,
六義園と「名刀礼賛」展と柳沢吉保
◆ 将軍綱吉からご寵愛を受け、刀を50口も頂いた柳沢吉保は六義園の主だった人


現在神谷町の泉屋博古館分館で開催中の
「名刀礼賛 ―もののふ達の美学」展では、
名刀がずらり30口+その周辺の装具が公開されている。

その中に、柳沢家伝来のものが散見された。

柳沢家といえば柳沢吉保。
吉保といえば徳川綱吉から寵愛を受けた譜代大名で、
拝領した邸宅がいまや六義園として開放されている。

以前六義園のつつじ関連記事に入れたとおり。



なんでも将軍から贈答用の刀を50口ほども頂いたそう。
寵愛ぶりも度を越している。
吉保、相当な策士だったのか、と勘繰ってしまいそう。

その柳沢家が大事に保管したおかげで、
今もまばゆい光を放つ刃や、輝く蒔絵の鞘を
目の当たりにできるのだ。


なんでも将軍家では、家宝の刀とは別に
贈答用に相当数の刀を所持していて、
それをことあるごとに
吉保のような忠実な大名のもとにわざわざ行幸して
贈っていたらしい。


頂いた方は、当該の刀の値段を把握して
返礼などを用意したのだとか。


贈答の儀礼、古くからしっかりと日本の文化に根付いていた模様。


その柳沢家伝来の刀の例としては例えばこちら。
ただし、こちらは綱吉が吉保本人でなくその長男 吉里のもとを訪れて
贈ったものとのこと。


葵紋散金梨子地 塗合口拵(「短刀 銘 来国俊」付属)
(俯瞰ケース) 江戸時代 黒川古文化研究所.

*写真は内覧会の折りに許可を得ています。

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「名刀礼賛」展より


蒔絵に葵のご紋がついている。
しかも彫り方に少しずつ変化が加えられているらしい。

相当細かいのでかなり近づいて凝視しないとわからないけれど。


そして吉保が妻(正室だったか側室だったか)とともに
散策したといわれる六義園がこちら:

今の時期はさつきと

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紫陽花が華やかに咲き誇っている。

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六義園庭園ガイドツアーで頻繁に耳にした吉保の名が
泉屋博古館の展示につながって、
身近な歴史の授業と言った感じ。

=====


展覧会名: 黒川古文化研究所+泉屋博古館連携企画特別展
      名刀礼賛 ―もののふ達の美学
主催 : 公益財団法人黒川古文化研究所、公益財団法人泉屋博古館
会場 : 住友コレクション 泉屋博古館分館
会期 : 2017年6月1日(木)―8月4日(金)  
開館時間 午前10時00分~午後5時00分(入館は4時30分まで)
休館日: 月曜(7/17は開館、7/18(火)は休館)
入館料 : 一般 800円(640円) / 学生600円(480円) / 中学生以下無料
       20名様以上の団体の方は(  )内の割引料金
2017.06.06 Tue | Art| 0 track backs,
千住博さんのメトロパブリックアート
新宿三丁目にある千住博さんのメトロパブリックアートは
いつもの滝のシリーズ。

涼し気~。
真夏日は避暑に向いていそう(?)

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ここで注目は、署名。
滝の作品は数多く見たけど、署名に気が付いたのは今回が初めて。

ペーソスのある素敵な書体。

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メトロの壁はうんと近づいてみることができ、
ガラス張りでもないので、ディテールがすごくよく見える。

滝の水しぶきが、きらきら粒になって飛び散っていた。
上から滴り落ちる水は、ぼかしのような手法で
煙のように描かれている。

美術館でオツにすましている絵画とは違い、
手で触ることもできる庶民派のパブリックアート。


新宿三丁目で誰かと待ち合わせるとき、
「千住さんの滝の前でね」
なんていうのはおしゃれだなぁ。


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それから明治神宮前の野見山暁治さんの作品のサインは -

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ローマ字だった。

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美術館でもそうだけど、
亜流と知りながら、署名や落款をチェックするのは
ある意味気分転換で楽しい。

フランスかぶれした画家が、
自分の名前のローマ字に、フランス語特有のトレマをつけていて
(トレマ=ë, ï, ü, ÿ のような上にポチが2つ くっつく文字)
それを発見する喜び、なんていうのもある。

.
2017.06.05 Mon | Art| 0 track backs,
山口晃画伯作・西早稲田のパブリックアートは突っ込みどころ満載

パブリックアートの話その2。

メトロの西早稲田駅にあるパブリックアートは
突っ込みどころ満載で楽しい。


タイトルは「地下鐵道乃圖」。
作者は今を時めく日本画の巨匠 山口 晃氏。


まずは全体像。

洛中洛外図など、よく昔の屏風で用いられた金雲の手法を使用している。
この金雲を見ると、自動的に、あ、古い時代の絵を描こうとしているな
と感じるわけだ。


確かに一見すると、地下鉄の様子(&その断面図)が、
古風に描かれているかんじなのだけど、
よーく見ると???がいっぱい。

(ちなみに、「この金雲は画面を区切るのに便利だ」とかつて
山口画伯がコメントしているのを聞いたことがある。
使いたくて仕方なかったのかも。)


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まずは題字。
古風な展開図の予感・・・はすぐに裏切られる。

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地下鉄内に、馬車で乗り入れる人がいるけど、
服装からして江戸と昭和が混じっている。
いやいや古風なんかではない。
自動改札を通っている。

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さらに地下鉄車内にはお風呂。
先頭車ならぬ
銭湯車か。

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坂本龍馬風のおじさんがいるかたわらで、
エスカレーター。

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神社の社殿みたいなのが全面にくっついている
レトロな電車。

地階と上階にプラットフォーム。

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断面図。
二階建て電車のよう。

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断面図その2。
「西早稲田」と駅名が見える。

地下鉄と停車駅にぴったりなモチーフだけど、
ここまで奇想天外に描けちゃう
山口画伯。

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これは細部が楽しいパブリックアート。


とはいえ西早稲田を通勤・通学で使っている人達は
きっとしげしげ見ずに通り過ぎることだろう。

まあそんなものだ。
私は例のメトロパスを使って、副都心線の駅をいくつか
巡ったのだった。


そのときのブログ(ざっとした紹介のみ);




2017.06.02 Fri | Art| 0 track backs,
メトロ パブリックアート 明治神宮前駅  希望/武田双雲
メトロのパブリックアート。
以前別途アメブロのほうに1作品ずつ掲載したけど、
今日はひとつをクローズアップしてみたい。


だいたい地下鉄のパブリックアートって、
通りがかりにざざっと見るばかりなのだけど、
先日、ふとしげしげ眺めてみた。

だって、美術館なら作品に接近できないけど、
ここは触ってもよし。

鼻先がくっつきそうになるほど凝視しても
監視員は飛んでこないわけだし。


● 明治神宮前駅  希望/武田双雲

ジョアン・ミロの作品みたいに リズム感を感じる。

そして、作品の中にちゃんと落款があるのに気が付いた。

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これ。
署名の下に落款。
落款の「双雲」の字は、右から読むみたいだ。

書体の名前はわからないけど、
象形文字のよう。

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もちろん、タイルにじかに書いたわけでなく、
一種のプリント技術なのだろうけど、
滲みや飛沫のように飛ぶ墨の躍動感、墨の濃淡が
忠実に再現されている。

侮れない駅の壁美術館。

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そしてこちらの角度から見ると、
左側の勢いが薄まるせいか、朴訥というか
まるで梅の木のような静かな佇まい。

見る位置によって表情を変える
書というより墨のアート作品「希望」。 

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ただ通り過ぎるだけじゃもったいないぐらい。

とはいえメトロ乗り換えの途中にあるので
シチュエーション的に、ほぼ全員が
足早に通り過ぎる。





2017.06.01 Thu | Art| 0 track backs,
国立公文書館で「航空発達史」展で見た昔の新聞記事
◆ 大正時代の新聞の片隅に見つけたコレラ患者発見の記事:
  名前は呼び捨て、住所すべて公開。
  個人情報保護と対極の大正時代のジャーナリズム


国立公文書館で開催中の「翔べ 日本の翼―航空発達史―」展で見た
新聞記事がツボだった。

昭和四年、米国軍用機ツェッペリン号が来日。
号外が出たようだ。

興奮ぶりが伝わってくる。
朝日新聞。

人間が空を飛び出して間もないころに生きていたら、
飛行機の姿ひとつできっと大興奮したのだろうな。


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で、全然関係ないけど、
別の飛行機関係の新聞記事の脇に見つけたこんな記事。

大正14年。
横浜大さん橋が落成式とか、
コレラ患者発見とか。

でもこのコレラ記事、スゴイ、罹患した女性のことを呼び捨て。
住所も詳細に記載。
個人情報もなにもあったものじゃない。
コレラと決定された日にちと時間まで。


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ただ、すべてに振り仮名というのは
漢字を覚えるのに役立つ。
PC、携帯で漢字を書く時代から変換する時代になり、
こういうふりがなは、今こそ必要な気がする。


そしてー
住友信託今も昔も名前変わらず。
でも、右から縦書き。

こちらは昭和14年。

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航空史の本体もおもしろかったのだけど、
ついでに見つけた重箱の隅が興味深かった。

2017.05.31 Wed | Art| 0 track backs,
「19世紀パリ時間旅行」展で古いパリの街並みを歩く
ナポレオン三世は19世紀中ごろ、パリ市長のオスマンに銘じて
パリの大改革に取り組む。

きっかけは、イギリス亡命中に見たロンドンの
整然とした街並み。
片や当時のパリはといえば悪臭漂ううらぶれた路地が並んでいた。

自分の手で大胆にメスを入れることを夢見て、
実際権力を得た途端、改革に踏み切った。

おかげで今の麗しい街並みが誕生した。


今我々が目にする幅広の放射線状のアベニューも、
昔は泥や掃きだめまじりの悪臭漂う状況だった。

でも整備されればいいかというと、当時の人達は
汚いなりに愛着をもっていて、
失われた街並みをなつかしむ文章を多々残している。

ただ、その失われた街並みというのが絵画の題材になることもなく
資料が余り残っていない。

郷愁を催させる街並みとはどんなものなのか?


フランス文学研究者で古書コレクターの鹿島茂が
これまでに集めた地図や版画を手掛かりに
パリの今昔をつまびらかにしようという意欲的な試み、、

それが練馬区美術館で開催されている
「19世紀パリ時間旅行―失われた街を求めて―」なのだった。

作品展示リストだけで16ページ。
暴力的なまでの量だった。


一口で言うと様々な発見があり、
一気に19世紀へと旅したのだった。

バルザック作品によく出てくるBoue(泥)の言葉が
実感できる裏路地の版画あり。

でこぼこの石畳の版画からは、
上を行く馬車のカツカツという音まで聞こえてきそう。

個人的にはプルーストが著書の登場人物のモデルにした
という画家の作品まで見ることができ、
わくわくしっぱなし。

滞在時間は4時間。
心地よい疲れに包まれて帰路に就いた。



2017.05.29 Mon | Art| 0 track backs,
大エルミタージュ展 <感想>と<エルミタージュの意味>
エルミタージュ美術館Hermitage Museumといえば
ロシア サンクトペテルブルクが誇る美の殿堂。


とはいえなかなか行ける場所ではなく、
ひっそりとお宝が眠る、どこか秘密めいた香りがする場所だ。

実際、エルミタージュという言葉が
フランス語で「隠家」を意味する、などと言われているため、
なおいっそう妖しげなイメージがある。


ただ詳しく述べれば、Hermitage Museumの
Hermitageなる単語は、フランス語にはなく、
英語で隠遁者(の住む場所)と意味ことだ。

フランス語では、HなしのErmitageと綴り、
これで修道院とか人里離れた場所を指す。

語源的にはギリシャ語・ラテン語発で
eremita, ἐρημίτης, erêmítês,  ἔρημος, erêmosといった語の系列。 
見捨てられた、などといった意味。


そんな隠家からはるばる来日を果たしたのは、
オールドマスターズ、いわゆる古典派の作品たち。

とはいえ初期ルネサンス期以前のものはなく、
バロックの作品が特に目を引いた。


入り口に掛けられている《ロシア皇帝エカテリーナ2世》は
堂々たる威容で、権力の強さがサイズに置き換えられるという
古今東西を問わない人間共通の意識がうかがわれる。

(館内写真は一部のみOK)

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縦もさることながら、
横幅がキャンバスの幅でカバーしきれないほど
分厚い衣装がはみ出ている。

国民を覆いつくすかのようなこの広がりは
これまで見た他の歴代王の肖像画等に比べ
すば抜けてダイナミック。
圧巻としか言いようがない。


さらに足が手前の第から少しだけ前に出ていて、
こちらにぐいと迫ってくる存在感を演出している。

毛皮の質感、黄金に輝く衣装の光沢感がよく出ている。


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そしてぎっしりと宝石がつぎこまれた王冠。


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贅の限りを尽くした装束と
自信に満ちた表情、
そして縦横のこのスケール感。

すべてが権力のかたまりのような
ロシア女帝の姿だ。


そんな迫力ある絵の一方で、
私が一番引き寄せられたのは、この1枚。


フランシスコ・デ・スルバランの
《聖母マリアの少女時代》
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マリアの幼い頃を描いた絵自体が少ないせいだろう
カタログで何度も見たことがある。

やっと実物に出会えました、という気持ち。

青い衣装で描かれることの多いマリアだが、
ここでは幼子らしく赤。

そして絵の中央、ヒザの上に置かれた布は、
純潔のしるしなのだろう、輝くように白い。

あどけない表情で天を仰ぎ見る。
少女の純粋さが静かに心を打つ。


そのほかクラーナハの逸品や
ルーベンス、ティツィアーノ、あるいはその工房の作品も。


展覧会の主題が緩いくくりなので、
好きな絵を見つけて、
その前でゆっくり過ごす、そんな鑑賞法が
合っていると思った。


 ====
http://hermitage2017.jp/
展覧会名:大エルミタージュ美術館展 オールドマスター 西洋絵画の巨匠たち
会期:2017年3月18日(土)-6月18日(日)
休館日:5月15日(月)
開館時間:午前10時-午後8時(火曜日は午後5時まで、但し5/2は午後8時まで)
※入館は閉館の30分前まで
会場:森アーツセンターギャラリー(六本木ヒルズ 森タワー52階
2017.05.26 Fri | Art| 0 track backs,
大エルミタージュ展の聖ヒエロニムスと、ローマのカラヴァッジョ比較
森アーツセンターで開催中の大エルミタージュ展に行ってきた。

リベーラの聖ヒエロニムスの絵を見ていて
ある思いが頭から離れなかった。


カラヴァッジョの構図に影響を受けたのでは?と。


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「聖ヒエロニムスと天使」 1626年頃 フセペ・デ・リベーラ
エルミタージュ美術館


カラヴァッジョの絵はこちら。

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「聖マタイと天使」1602年 ミケランジェロ・メリージ
サン・ルイ・デイ・フランチェージ教会(ローマ旅行にて)


左右の構図は逆だけど、
両方とも、肩ごしに天使を上目遣いに見つめる老人が
描かれている。


影響関係が本当にあったのかどうかはわからない。

でもリベーラが明暗法を追求していたことは明らかで、
となれば、明暗法の第一人者であるカラヴァッジョを
手本にしたとしても不思議ではない。


ただ、老人の皺の深さから伺われる人生の軌跡などは
カラヴァッジョの方が一枚上手、と感じた。


とはいえリベーラの老人のお腹あたりはかなりリアルで
思わず見入った。

そして隣にじっとりと潜むライオンの違和感がすごかった。


P5190060.jpg 


どちらの絵もドラマチックで
いかにもバロック的だ。


大エルミタージュ展ではオールドマスターズの作品がズラリ。

中にはフランスのル・ナン兄弟のようなレアな作家の作品も。
(以前ルーブル展で1枚来ていたけど
日本で見る機会はめったにない。
いわゆる風俗画の画家だ。)


 ====
http://hermitage2017.jp/
展覧会名:大エルミタージュ美術館展 オールドマスター 西洋絵画の巨匠たち
会期:2017年3月18日(土)-6月18日(日)
休館日:5月15日(月)
開館時間:午前10時-午後8時(火曜日は午後5時まで、但し5/2は午後8時まで)
※入館は閉館の30分前まで
会場:森アーツセンターギャラリー(六本木ヒルズ 森タワー52階

2017.05.24 Wed | Art| 0 track backs,
18世紀の画家が描いたリアルト橋を、実物と比べてみる
先日大エルミタージュ展に行ってきた。

リアルト橋を描いたミケーレ・マリエスキのノスタルジックな作品があり、
どこが実物と違うのか、思わず観光のときの写真と比較してみた。
以下のURLにて:

2017.05.22 Mon | Art| 0 track backs,
大学への手紙
先日プルーストの手稿について書いたけれど、
偉大な作家の手書き原稿からは
制作過程までしのばれて、貴重な研究対象だ。

だから手稿の研究だけでも膨大な論文が書けてしまう(らしい)。

何度もなおして、躊躇している様子が浮かび上がるかと思えば、
一気に書き上げている部分については、想いが強い様子もわかる。


プルーストの場合は膨大な推敲の原稿があって
それらが第何版といったかたちで時系列に整理できるため、
作中の人物が膨らんでいったケースと、
逆にしぼんでいったケースも克明にわかり
心境の変化もうかがえる。

でもそうした軌跡がも、いまやPCによる原稿で失われていく、、
なんとも寂しいこと、、
と常々口にしているのだけど、
今日、この画像を古いフォルダーからたまたま拝見してさらに思いを強くした。


大学の教務部に留学中の学生や教員から届いたはがきだ。
これは母校の展示で見かけたもの。


IMG_1009.jpg 


学校あてに手紙を書くなんて想像もしないけど、
留学=世話になった学校=手紙、という構図だろうか。

こういうのを保存している大学の方もすごいと思う。

下の2枚はローマからの絵葉書だろう、
古代の芸術品の絵柄を選ぶあたりなど、
そうしたものにじかに触れた本人の感動までもが伝わるよう。
2017.05.17 Wed | Art| 0 track backs,
「100万人感謝ウィーク」でお洒落な切手をゲット @パナソニック汐留ミュージアム
◆ 「100万人感謝ウィーク」のプレゼントは、
◆ 来館者全員にルオーの素敵な52円切手x2枚でした


4月29日昭和の日にパナソニック汐留ミュージアムの
「日本、家の列島」展を見に行った。

丁度気になる展示に関するギャラリートークが開催されたためなのだが、
奇しくもこの美術館では4月24日(月)〜4月30日(日)まで、
「100万人感謝ウィーク」が開催されていて
ルオーのオリジナル切手2枚を頂いた。

(《マドレーヌ》と《古きヴェルサイユ》をデザインした本美術館オリジナル切手)


IMG_1516 (2) 


色合いも綺麗。
ルオーの絵画がディテールまできれいにプリントされている。
うれしー。
でも使えない、もったいなくて。


さらに、フリークエントビジターの証スタンプが集まったので
(中央)
左の美術館オリジナル・ポストイットセットを頂いた。


IMG_1514 (1)


パナソニックミュージアムは
来館者に時折ポストカードをプレゼントしたりして
ちょこっとしたサプライズが楽しい。

小ぶりで比較的地味な美術館だけど、
収蔵品を中心に、丁寧な企画を行っている。


スタッフの方の感じもよくて
出光美術館に相通じるような大企業ならではのおおらかさがあって
開館間もないころ、ルオー展と講演会に行って以来、
応援している美術館だ。

2017.05.02 Tue | Art| 0 track backs,
渡瀬恒彦さん主演「タクシードライバーの推理日誌」の舞台になった美術館
渡瀬恒彦さんがお亡くなりになって、
追悼記念で「タクシードライバーの推理日誌」が放送されていたので
録画を見た。

タクシードライバー夜明日出夫(渡瀬さん)が、
草笛光子さん演じる美術館オーナーのもとを訪れるシーンで、
あっ!と声を出した。

知ってるこの美術館!


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ここだ。2015年に行った安曇野の碌山美術館!
(その時の写真)

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私は初秋に行ったのだけど、
TVロケはどんぴしゃの秋、紅葉真っ只中だ。再びTV画面。

IMG_1169.jpg 


上の写真の右に見える彫刻は
碌山の名作「労働者」。
下は美術館で実際に写したもの。

P1750135_20170427234959ad1.jpg 


再びTV。草笛光子さん、警察に囲まれているシーン。


IMG_1184.jpg 


シーンの中でキーになる場面がこちらで撮影されたのだ。

IMG_1178.jpg 


美術館内部もちゃんと映っている。
碌山の彫刻の数々。


IMG_1181.jpg


こじんまりした美術館だけど、
安曇野の自然に抱かれて、ロケーションは抜群。
ツタの絡まる教会風の建物は風情があり、
新館はすっきりして見やすい。


 IMG_1179.jpg


渡瀬さん!
IMG_1182.jpg 


私は中村屋ギャラリーのツアーで訪れたのだけど、
いい思い出。

渡瀬さんもここをロケで訪問されていたのね。
「タクシードライバーの推理日誌」の新しいシリーズは
もう見られない。

寂しい・・

関連)
碌山美術館@安曇野がおススメ2015.11.04 

2017.04.27 Thu | Art| 0 track backs,
篠田桃紅さんの作品たち: 資生堂の香水瓶のラベル & 智美術館の展覧会
■「篠田桃紅 昔日の彼方に」展 @智美術館 <Sensation>


墨を使った書や絵の制作で知られる篠田桃紅さんの展覧会が
神谷町の智美術館で開催されている。


桃紅さんの名前は知らなくとも、
その作品を目にしたことはあるかもしれない。


例えば、資生堂がかつて出していた「琴(koto)」という香水瓶の書も
桃紅さんが手掛けたものだ。


(以下の写真は、去年資生堂ギャラリーで行われたParfam Japonais展で
展示されていたものです。)

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右上から左下にかけて引かれた線が
ピンと張る琴の線のようでもあり、
匂いと音で五感を刺激する。


五感といえば、上述の智美術館の展覧会で見られる作品の中にも、
リズム感を感じさせるものがあった。


*以下1点の写真撮影は、内覧会の折りに主催者の許可を得た上で行いました。

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作品は右から、「Golden Epic 神話 2004」、
「Cadenza 奏 1997」、「Phases 相 2011」
*但しタイトルは桃紅さんがつけたものではなく、作品のアイデンティティとして
監修のトールマン氏がつけたもの。



どれもモノクロームの濃淡だけなのに、リズミカル。

特に中央の「Cadenza」は、
躍動感があって、交響曲を奏でているかのよう。


他に、似たようなトーンの「Sonority 響」などという作品もあった。


このように篠田桃紅さんの展覧会では
書の枠を超え、時に抽象画やアクションペインティングに近いものまで、

五感に訴える様々な作品を鑑賞することとができる。


 ******

会場:菊池寛実記念 智美術館
展覧会名:「篠田桃紅 昔日の彼方に」
会期:2017年3月29日(水)~ 5月28日(日)
休館日:毎週月曜日
開館時間:11:00~18:00  ※入館は17:30までになります
観覧料:一般1000円、大学生800円、小・中・高生500円
※未就学児は無料
.
2017.04.06 Thu | Art| 0 track backs,
美術館でお花見を! @東京国立近代美術館の巻き
◆ 屏風絵を見るときの お勧めの角度


春、お花見の季節に合わせ、美術館でも
季節にぴったりの桜の絵などをこの時期展示している。

東京国立博物館しかり。
そして今回写真の東京国立近代美術館(東近美)しかり。

(本ブログではアート系以外のネタを入れる方針だけど、
お花見ネタとして、こちらの方に。)


東近美の場合、今年は目玉の屏風が2双、出そろった。
そのひとつがこちら:


行く春 / 川合玉堂 
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桜散る長瀞の渓流の様子が情感たっぷりに描かれている。

壮大な自然を背に、はらはらと散りゆく桜。
宙を舞い、水面へと落ちていく様子が切ない。

春を惜しむ気持ちが自然と沸き上がる。


ただ、この屏風、真正面からだけ見るのではもったいない。


実は折り畳み式の立体感ある屏風ならではの工夫が凝らされていて
渓流の勢いはこの右斜めから見るのがお勧めなのだ。

左奥の岩山から手前へと続く水の流れが感じられ、
躍動感が一層増していく。

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そしてこちらは雨にけぶる吉野の桜。

これも大好きな作品なのだけど、
川合玉堂さんの屏風は春にはほとんどと言っていいほど出品されるものの、
こちらは毎年出るわけではない。

行ってみて、ああ今年はない、あ、今年は出た、などと一喜一憂するのが
恒例行事となっている。

だから今年この作品を見たときは、
やったー、と歓喜した。


小雨ふる吉野 / 菊池芳文
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この屏風の 私的好きな角度はこちら。

手前には生い茂る桜。
遠くなるにつれ、徐々に雨にけぶっていく。

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桜も景色も雨に霞む画面右奥の湿潤な空気感が絶妙だ。

花びらをよく見ると、顔料がたっぷりと滴るように盛られている箇所があり、
以前からその立体感が気に入っていた。

このほど解説を読んだら、雨のしずくが花びら下方に溜まっていく様子を
そういう手法で表した、とのこと。

黄金色に淡いピンクが上品な味わい。


本所蔵作品展(常設展)は、5月21日まで。

2017.03.11 Sat | Art| 0 track backs,
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