日常風景 * 写真・文章 Copyright@”Mas Ciclismo Diary”
アクセサリーミュージアム
目黒区・祐天寺に、アクセサリーミュージアムなるものがある。

「ぐるっとパス」に含まれていて、先日のぞいてきたのだけれど、
アールデコ、アールヌーヴォー、アーツ&クラフツ運動など、西洋のアートムーブメントに沿った内容で
ただ雑然と貴金属が並んでいるイメージとはかけ離れ、
アクセサリーの歴史をひもとくことができるのだった。

後半は、日本のヒッピー文化などを反映した、やたら大きくてグロテスクなアクセサリーへと変化し、
近現代のものまでそろっている。

特にアールヌーヴォー、アールデコの時代のものについては
花瓶や装飾品も豊富にあり、エミール・ガレやドーム兄弟の花瓶を展示する棚も発見。

先日庭園美術館で見たばかりのガレの作品に類似した花瓶もあった。

庭園美術館にあったのはエメラルドグリーンの半透明・エナメル彩の野草をあしらった花瓶で、
私がガレ展の中で一番気に入ったもの。
細身の一輪挿しだったのだけれど、こちらアクセサリーミュージアムにあったのは
それよりもがっしりした幅の広い花瓶だった。

並べて展示したら面白いだろうな、と思わせた。

目に留まったのは、モーニングジュエリーの類。
亡くなった人の髪の毛を花のように整形したり、編んだりしてジュエリーの中に埋め込むもの。

金髪がいまだに光沢を放っていて、生きているジュエリーといった様相だった。

住宅地の一角に突如現れるアクセサリーミュージアム。

アクセサリーというよりも時代の美意識を反映した内容だった。


http://acce-museum.main.jp/
2016.02.24 Wed | Art| 0 track backs,
カラヴァッジョの真筆「法悦のマグダラのマリア」、東京で世界初公開 : 注目は「恍惚度」
◆ イタリアの3大恍惚・法悦表情となるか、カラヴァッジョ


==> 実際に見た感想と、この絵のトリビアはこちら


今朝、NHKニュースの見出しの最後の方に出ていた報道に驚く:「カラヴァッジョの真筆 東京で世界初公開へ」

ヨーロッパの収集家が所有していた「法悦のマグダラのマリア」がカラヴァッジョの真筆と証明されたという。
そればかりでなく、本作は3月4日から西洋美術館で開始となるカラヴァッジョ展に出展されるそうだ。

これはたいそう楽しみ。
カラヴァッジョなら、法悦ぶりをたいそう生き生きとえがいてくれるに違いない。


今現在、聖書・聖人・福者がらみの2大法悦(妖艶な)といえばバロックの彫刻家、ベルニーニの2作品ではないだろうか。
それらとの対比において、さて恍惚度はどんなものだろう。


一般的によく知られる恍惚の法悦は、ローマ サンタ・マリア・デッラ・ヴィットーリア教会コルナロ礼拝堂
にある『聖テレジアの法悦』。

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雨のように降り注ぐ黄金の光を受けた聖テレジア。
もっとアップにしてみる。

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法悦というより恍惚ではないか、と議論を呼ぶほど知られた名作だ。

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------

でも、私が一押しなのは、
ローマ、トラステヴェレ地区にある サン・フランチェスコ・ア・リーバ教会のベルニーニ作
「福者ルドヴィカ・アルベルトーニ」 だ。


こちらの恍惚の表情(及び仕草)は、聖テレジアを上回る。

* 注意、こちらの サン・フランチェスコ・ア・リーバ教会は堂内写真撮影禁止です。(2014年時点で)
この写真は、僧侶の方に許可を頂いて、開いていた扉の”外”から一眼レフで望遠撮影。
ただ、その僧侶の方とは、その前にこのルドヴィカ像のことであれこれ楽しくおしゃべりさせていただき、
先方も超ご機嫌だったので、緩いイタリアならでは許可がたまたま出た可能性あり。
扉が開いていても、毎回許可されるとは限りませんので注意。(*)



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部分を切り取ってみる。

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さらに細部。
望遠なのでここまでくるとかなりボケボケ。コントラストとシャープをマックスにして加工。

これは・・・悶えというしかないほどの表情。

先ほどの聖テレジアは最盛期の作品で、こちらは晩年70歳を過ぎてからのもの
というからびっくりだ。


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なお、このサン・フランチェスコ・ア・リーバ教会は全体的には地味。

前出のサンタ・マリア・デッラ・ヴィットーリア教会の方は写真撮影OKで、
意外に小ぶりながら、堂内全体も麗しいです。


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http://www3.nhk.or.jp/news/html/20160222/k10010417391000.html
2016.02.22 Mon | Art| 0 track backs,
Globes in Motion フランス国立図書館 体感する地球儀・天球儀展
フランス国立図書館所蔵の地球儀が日本に上陸中。

そのうち2点は、フェルメール作「天文学者・地理学者」に登場するホンディウスの天球儀・地球儀と呼ばれる
希少なものだ。

五反田のDNP社で見ることができる(予約制)。

(こちらは写真撮影スポット。フェルメールの絵に入り込み、天文学者と同期しよう、という企画)

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今日は午後、フランス国立図書館の地球儀担当・副ディレクターの講演会へ。

ぼそぼそと抑揚なく話す、スノビズム満載のダンディな男性だった。

初期の地球儀からの変遷をたどりつつ、
イマジネーションで描かれた時代から、
不確実さを一切排除し、空白が目立つ地球儀まで、
様々な展開を目の当たりにした。

とくにオーストラリアの地図は最後まで埋まらず、
謎のままとなり、キャプテン クックの航海まで待たねばならない。


天球儀というのは星座など天空を描いたものなので、
球体に絵を描いたような芸術品のようなもの。

金属製の地球儀は、読み取りづらく、
フランス国立図書館の特殊技術により、反射を避けて細部を読み取ることが可能になった
そんな説明もあった。


いかにもエリートそうなフランス国立図書館の担当者の方だけど、
話を聞くにつけ、仕事自体はなかなか地道そうなのだった。


http://www.museumlab.jp/bnf/
2016.02.20 Sat | Art| 0 track backs,
ウフィツィ ヴァーチャル ミュージアム2016 細部がじっくり見られるのが魅力
イタリア文化会館で開催中のウフィツィ ヴァーチャル ミュージアム2016。
超細密画像で再現されたウフィッツィ美術館の名画をじっくり見ることができる。

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去年ウフィッツィ美術館で5時間以上しげしげ見てきたばかりの私でも
この展示にはいろいろ刺激された。

複製のよさは、近づいて細部を確認できること。

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ダヴィンチの受胎告知の絵の背景の空気遠近法で描かれた海峡がボスフォラス海峡らしい、
カラヴァッジョのバッカスの絵に描かれたワインの表面に、うっすらと自画像が織り込まれている
ウッチェッロは、戦争時に被ったはずのないマッツォッキオという帽子を登場人物にかぶらせた、、、

などなど、それぞれの絵の細部には画家の試みが散りばめられている。
けれど、混雑した美術館では、絵の全体ばかりを見て、なかなかここまでの詳細には気づかない。

そんな要所要所に気づかせてくれるいい機会。
侮れない企画なのだった。


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****

ウフィツィ ヴァーチャル ミュージアム2016
~ウフィツィ美術館の名画でたどるルネサンスの胎動から終焉まで~

日程: 2016年2月13日 - 2016年3月13日
時間: 11時~18時 会期中無休
場所: イタリア文化会館エキジビションホール
実物大のレプリカ

パオロ・ウッチェッロ サン・ロマーノの戦い(1435-38)
ボッティチェッリ 春(1482)
レオナルド・ダ・ヴィンチ 東方三博士の礼拝(1481)
ヤコポ・ダ・ポントルモ エマオの晩餐(1525)
フィリッポ・リッピ 聖母子と天使(1465)
アンドレア・マンテーニャ ウフィツィの三連祭壇画(1462-70)
レオナルド・ダ・ヴィンチ 受胎告知(1474-1480)
ティツィアーノ フローラ(1515-17)
パルミジャーノ 長い首の聖母(1534-39)
カラヴァッジョ メドゥーサ(1598-99)

ほか計23点
2016.02.17 Wed | Art| 0 track backs,
2月のカレンダーは
2月のカレンダーは大好きなフィリッポ・リッピの聖母子図。

ずっと2月にしたままでもいいぐらい好き。

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これは去年フィレンツェで買った聖母特集カレンダーで、
次の3月はムリリョ。
この絵も好きだけど。


好きな絵に囲まれた日々というのは贅沢な気がして、
辞書やらノートやら、あれこれ絵画のカバーをかけたりしている。

フランス語の辞書は小倉遊亀 の日本画がカバー。

意味不明。
どうせならフランス画家の絵にすればよかったんだけど、
たまたま手元にあったカレンダーを使ったのでそうなった。


そうそう、絵と言えば、1月に靖国神社で見た生田神社の猿の絵が忘れられない。

なんというか手作り感があり、なんとも言えず表情に味があり、ペーソスを感じさせ
一体誰が描いたんだろう?
とあれこれ詮索したくなる。

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2016.02.16 Tue | Art| 0 track backs,
キューガーデン展 / パナソニック汐留ミュージアム<感想>
キュー王立植物園に関連した展示:「イングリッシュ・ガーデン:英国に集う花々」展が
パナソニック汐留ミュージアムで開催中。


最初は植物園の展覧会?とピンとこなかったのだけれど、
そういえば以前鑑賞したバンクス展同様、植物画というジャンルの展示ととらえれば
わかりやすい。

ただ、今回の展示は、それにとどまらず、植物園の紹介・一部再現、
そこから発展したテキスタイルへの言及など多岐にわたる。

興味深かったのはダーウィンの書簡などという貴重なものがあったこと。
そこで改めて植物画の意義を再認識した。
単に芸術目的で描かれたわけでなく、科学的な研究として
花の絵は活用されたのだ、と。

なるほど、写真が発明され使用されるようになるのは印象派の時代、つまり19世紀後半だから
それまでは植物画は写真の代わりに研究利用されていたに違いなく、
精密に描くことが求められたと考えられる。


冒頭の展示にあった植物画は、なんと17世紀初期(1613年)のもの。
こんな昔から植物単体で描かれてきたのかとびっくり。

ボッティチェリがプリマヴェーラに200もの草花を描いた、とか
もっと遡って中世のタピスリーのミルフルール柄のような花のモチーフが使われてきたわけだから、
それを取り出して描いたとしても不思議はないのだけれど。

それでも、バロック時代、カラヴァッジョらがせっせと宗教画を描いていた時代に
平行してこういう絵も存在していたのか、と感慨深い。

一方で、ガリレオが活躍した時代でもあり、絵画の流れの一端でなく
人文科学の流れの中でこの絵を捕えたほうが、すとんと落ちるような感じで納得できる。


展示会場では、ガーデニングをしているらしい女性たちが、さかんに花の絵を前に
育て方や特色を述べている光景もあった。

南国系の花の絵などは今見ても珍しく、生命力を帯びた極彩色に魅せられた。
当時世界を知らない人たちにとってはなおのことだったに違いない。

世界中を飛び回ったマリアン・ノースの風景スケッチの中には
京都の知恩院のものまであって、一体どれだけ旅行したのだろうと驚愕。
1800年代のことだ。


キューガーデンには行ったハズなのに、かなり前のことだし、
どこか一部リッチモンドパークなどの光景とごっちゃになり
余り記憶が定かではなかったけれど、
会場をまわるうちに、徐々にキューガーデンのイメージがつかめてきた。


ただ鑑賞用に描かれたというより、その生命のなぞを解き明かそうとする意思が感じられる植物画。
単なる芸術作品以上のもの、つまり
描かれた後の結果として文字に置き換えられようとするエネルギーを秘めていて
なかなかパワーに満ちた空間なのだった。


***

展覧会名:「イングリッシュ・ガーデン:英国に集う花々」展
場所:パナソニック汐留ミュージアム
開館期間:2016年1月16日(土)~3月21日(月・祝) 午前10時より午後6時まで(ご入館は午後5時30分まで)
休館日:毎週水曜日
入館料:一般:1,000円 65歳以上:900円 大学生:700円 中・高校生:500円 小学生以下:無料
詳細は下記:
http://panasonic.co.jp/es/museum/exhibition/16/160116/index.html
2016.02.15 Mon | Art| 0 track backs,
森美術館 フォスター+パートナーズ展:都市と建築のイノベーション 展にワクワク
遅ればせながら、森美術館で開催されている(といっても明日までだけど) フォスター+パートナーズ展へ。


ピエール・シャロー、村野藤吾など、建築家の展覧会が最近続くなか、
今回の展示は実際によく知るビルや構造物も多々あり、ワクワクしてしまった。
確かにピエール・シャローの場合、xx邸です、といって写真が出ても
実際にみたことのない家ばかりだったから、感情移入というわけにはいかず。


その点、建築家ノーマン・フォスターが中心となり設立された建築家集団フォスター+アンドパートナーズは、
世界中にそうそうたる有名建築物を展開し、え、これもそうだったの?
と感嘆詞の連続なのだった。


入口にある彼らのが手がけた構造物の分布図は壮観。
イギリス中心に、世界各地に散らばる作品群。


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ロンドン五輪の際、このビル今まで見たことない!
とひときわ目を引いたこのビルも、彼らが手がけていた。
スイスの企業リ本社ビルだそう。

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ロンドンで実際撮った写真がこちら。

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大英博物館のグレートコートもそうだった。

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こちら実物。
思い出深い、この場所は。
ミレニアムで騒がれた年、2000年のオープン時に丁度出張でロンドンにいて、
仕事を終えた翌日、帰国便が昼だったので、1時間半だけ見る余裕があった。

ところがオープン初日(冬だった)、定刻になっても門は閉ざされたまま。
まだ重機がそこかしこに置き去りのまま、まさかこのままこの日は閉まったままとか
間に合わなかったとか、と焦りつつ、
10分遅れで開いたのだった。

ホテルから徒歩15分ぐらいの場所で、さっさと見て、走って帰ったのを覚えている。

この写真は、2012年のもの。


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そしてフランス、ミヨーの橋!
(左手の壁じゃなくて、手前の細い模型がミヨーの橋)
これも超懐かしい。

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実物。

ツールドフランスを見に行って、丁度ミヨーの周辺を通るからと
プロトン到来前に観光したのだ。

絶景ポイントはここ、なんていう道端にあった手書きの紙に誘われ、
カラフルなパラグライダーがそこかしこに飛び交う中、眼下に広がる白く優雅な姿を
飽きもせず眺めたのだった。
(最後の3枚)

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ちなみに彼らは、日本でも活動。
センチュリータワーなどなど。

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2年前に風邪でキャンセルになったベルリン旅行では、
これを見るつもりだった。
連邦議会。
いやあ、見たかった。

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最後にミヨーの橋3連発。
天気にも恵まれ、絶景だった。

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フォスター+パートナーズ展:
http://www.mori.art.museum/contents/foster_partners/

会  期: 2016年1月1日(金・祝)- 2月14日(日)
会  場: 六本木ヒルズ展望台 東京シティビュー内スカイギャラリー(六本木ヒルズ森タワー52階)
主  催: 森美術館
2016.02.13 Sat | Art| 0 track backs,
出光美術館は開館50周年、今年は攻めてます
出光美術館は今年開館50周年だそうで
今年(4月からの期)は、超豪華ラインアップ。

いずれも劣らぬ魅力的な展覧会が8つも白押し。
http://www.idemitsu.co.jp/museum/honkan/exhibition/index.html



2016年4月9日(土)~5月8日(日)
開館50周年記念美の祝典Ⅰ ―やまと絵の四季

2016年5月13日(金)~6月12日(日)
開館50周年記念美の祝典Ⅱ ―水墨の壮美

2016年6月17日(金)~7月18日(月・祝)
開館50周年記念美の祝典Ⅲ ―江戸絵画の華やぎ

2016年7月30日(土)~9月25日(日)
開館50周年記念東洋・日本陶磁の至宝 ―豊麗なる美の競演

2016年10月1日(土)~11月13日(日)
開館50周年記念大仙厓展 ―禅の心、ここに集う

2016年11月19日(土)~12月18日(日)
開館50周年記念時代を映す仮名のかたち ―国宝手鑑『見努世友』と古筆の名品

2017年1月8(日)~2月5(日)
開館50周年記念岩佐又兵衛と源氏絵 ―〈古典〉への挑戦

2017年2月11日(土)~3月26日(日)
開館50周年記念古唐津 ―大いなるやきものの時代



国宝 伴大納言絵巻も展示予定。
スケジュールなど50周年特別サイトに。

http://www.idemitsu.co.jp/museum/50th_anniversary/pc/


これは楽しみです。
2016.02.11 Thu | Art| 0 track backs,
東京都美術館 ボッティチェリ展感想
未見のボッティチェリがあれこれ見られて
予想以上によかった東京都美術館のボッティチェリ展。


とくにフィリッポ・リッピの初期の絵には驚いた。
あの麗しい聖母にたどり着く前の
堅くて黄金に輝くビザンチン的聖書の世界は物珍しかった。

前ルネサンス的宗教画を経てあの美女の聖母像にたどり着いたらしい。

フィリピーノ・リッピの絵も多く、イタリアから来た論客の人が
こちらもお勧めとおっしゃっていたけれど、
訴えかけるものが余りなくて、
やはり父フィリッポの絵の方が好き。

以前のエントリーで、フィリッポ・リッピのお墓
(フィリピーノ作)はこちら:

http://tourdefrance.blog62.fc2.com/blog-entry-2816.html


フィリピーノとフィリッポの自画像が描かれている部分はこちら:

http://tourdefrance.blog62.fc2.com/blog-entry-2822.html

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2016.02.04 Thu | Art| 0 track backs,
書道博物館に刺激を受ける
人生初、鶯谷の書道博物館へ行ってきた。

知り合いの人が、顔真卿の貴重な書が見られる!と興奮気味に話していたのでそそられた。
中国の書家、顔真卿は8世紀の人。

日本では奈良時代に相当するその頃に
洗練された書が大量に制作されたという驚くべき事実。

訪れてみて、感激したのは、さすがに専門の博物館だけあって、
書を単に展示するだけでなく、研究・吟味した結果が
解説として提示されている点。

私なぞ、どれも素晴らしいと思えたり、
逆に、ちょっと曲がっていて崩れている感じがする書でも感嘆の対象だったりして、
かねてから博物館の書の展示などでも優劣の基準がわからなかったのだけど、
今回なるほど、と見るツボを教わった気がする。

はらいの先まで神経が行き届いている、と言われれば(国宝の書だった)
確かに先っぽまで、繊細だ。
横の線が長めに引かれていてバランスが取れている、とか
字が激しく感情の起伏が現れている(顔真卿の書)などと
見方をいろいろ提示してもらえる。

数をこなせば、なんとなくわかってくるに違いない。
丁度神話画や宗教画に描かれている場面や逸話が、徐々にわかっていったように。

顔真卿のみならず、他の書家の作品もあり、見比べると違いはうっすらわかる。

常設展には、骨に書かれた紀元前の文字(漢字とは違い、象形文字)とか、
仏像に彫られた文字などの展示もあり、かなり研究されている様子。

3時間ぐらいほしいところ、1時間で見たので、
また今度訪れたいと思う。


ちなみに館内の年表で気が付いた。
書家、というより書聖と言われる王 羲之は4世紀の人だった。

日本なら前期古墳時代だ。
中国、圧巻の文明度。

東京国立博物館(トーハク)の「始皇帝と大兵馬俑」 展を見た後の感想もそうだけど、
中国の崇高な文化に敬意と驚嘆の念を感じずにいられない。


・・・・ちなみに!
鶯谷なる駅で初めて下車したのだけれど、、、想像を絶する、、、なんというか
連れ込みホテルの多さ。
駅降りてすぐオンパレード。
まだまだ知らないディープな東京。

.
2016.02.01 Mon | Art| 0 track backs,
東京国立博物館 特別展「始皇帝と大兵馬俑」
中国というのはとてつもない。
東京国立博物館の大兵馬俑展に行って、改めて感じたことだ。


そもそも大兵馬俑ってなんだ?とわけわからず行ったわけなのだけれど、
余り下調べせず行って、逆に驚き満載で脳が刺激されてよかった。
脳内ドーパミンがじゃんじゃん噴出したのが自分でもわかるほど。

始皇帝の陵墓に近接して、兵馬俑坑(へいばようこう)という遺跡が発掘されたらしいのだが、
ひらたくいうと、そこに戦車や馬、武士の像が壮観に並んでいて、
なんでも武士の像は合計8000体近いそう。

それらの群像の一部を輸送して展示し、
群像の一部を模した模型を用意してその雰囲気の一旦を紹介するのが本企画。

それより前に、中国の春秋時代~秦の時代までの遺物の展示もあり、
こちらだけでも見ごたえ十分なのだけど。


兵士の像はすごい写実で、なんでもモデルをすえて制作されたそう。
だから個々の顔、姿勢が異なるわけだが、いずれもなかなか
いい面構え。
みな精悍さみなぎっている。

始皇帝の死後も、その権力誇示を願った上での創作なのだろうけれど、
エジプトのピラミッドに匹敵するような壮観さで、
いやはや、中国のスケールの大きさに圧倒された。
2016.01.30 Sat | Art| 0 track backs,
吉野石膏珠玉のコレクション展 愛と絆 展 @三越本店
三越本店(日本橋)の新館7F美術館(ときに催事場)が侮れない。

前回の鍋島、柿右衛門展も見ごたえがあった。
今は高山辰雄、シャガールを中心とした「吉野石膏珠玉のコレクション展 愛と絆」展開催中

平山郁夫などほかの画家たちの絵もあるけれど、やはり高山辰雄の聖家族は圧巻。

強く愛を訴える、というより、なんかもっとさりげなく、寄り添う運命にある人間たちの世界を
ほの暗い光と、淡い濃淡の線で描いている。

感情を抑え気味に描いているからこその無名性があり、
”誰”という特定の人物ではなく、世界の人々を暗示する。
宇宙観といった壮大な広がりを感じる連作。


平山郁夫氏の桜も幻想的。
端正な筆遣いで描かれた満月を背に、中央に向かって花を付けた枝がしなやかにたわむ。
ブルーモスクの絵は、京都、薬師寺 玄奘三蔵院伽藍「大唐西域壁画」にあった
月の砂漠のような異国情緒が漂う。


杉山寧の「ごう」(漢字が出ない)の煌めく岩肌の微妙な色合いは、
岩絵の具という鉱物使用だからこその自然感、繊細さ。
リアルと夢想のはざまのような凛とした岩々に、白いしぶきが当たって砕ける。



シャガールは、目黒区美術館で見たク連作『ダフニスとクロエ』があり、
以前じっくり見たハズなのに、意外に記憶の中のイメージと一致していなかったりして、
自分のリテイン能力のなさを実感した。


2月1日まで。

入場料:一般・大学生800円/高校・中学生600円[小学生以下無料・税込]
※三越 M CARD、伊勢丹アイカード、エムアイ友の会会員証、三越伊勢丹ホールディングス株主様ご優待カード、障害者手帳のご提示で、ご本人さま、ご同伴1名さままで無料でご入場いただけます。

***

ちなみに次回は「世界を驚かせた焼物 吉兆庵美術館蒐集 真葛香山展 」


次回超絶技巧展:
入場料:一般・大学生800円/高校・中学生600円[小学生以下無料・税込]
※三越 M CARD、伊勢丹アイカード、エムアイ友の会会員証、三越伊勢丹ホールディングス株主様ご優待カード、障害者手帳のご提示で、ご本人さま、ご同伴1名さままで無料でご入場いただけます。
2016.01.29 Fri | Art| 0 track backs,
郷さくら美術館 東京 中島千波先生トーク
週末、雪の予報で人出も少なかろうと高をくくっていた郷さくら美術館 での中島千波先生トーク。
大盛況で驚いた。

大御所自らの解説とあり、美術ファンなら雪であろうと関係ないようだった。

館内には色とりどりの花咲き乱れ、
闇に浮かび上がるもの、日中のもの、黄金の光を浴びるもの、、、など
さまざまな桜の表情は、桜の画家と言われるだけに魅惑的。

花びらひとつひとつが描かれて、これはもう体力勝負。
ある種修行のようだとおっしゃっていた。


桜並木を描くのはあまりお好きではないようで、
ひとつの木と対峙して描く方がお好きなのだとか。
だから目黒川の桜並木は、さくら美術館(目黒川そばにある)からの依頼で描いたものの、
自分としては異例のこと、と。

1つのスケッチから幾つかの作品を生み出すことはせず、
1つの最終作のみがクリエートされるそう。

それだけ対象物への思い入れがあるということ。


桜以外にも、椿や菊など正統派の花の絵もあれば、
喜怒哀楽を描いた大胆な人物像もある。

既存のものを打破する努力が滲んでいて、
一定間隔で方向性をさぐっている印象。

話術に長け、笑いを誘う語り口。
気難しい芸術家というイメージではなく。


館内ビデオでは、NHK BSの番組「旅のチカラ」が放映されていた。
中島氏が中国を訪問し、原始の牡丹を追い求め、描く様子が綴られている。

交配を繰り返した人工美より、自然が創造した生きるための機能が前面に出た原始の花の魅力を
氏は力説しておられた。


真紅のその幻の花は、確かに自然のエネルギーに満ち溢れていた。



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2016.01.25 Mon | Art| 0 track backs,
画家 岩田壮平氏のトーク @佐藤美術館
佐藤美術館で開催中の岩田壮平日本画展へ行ってきた。

14時からは、ご本人と恩師 土屋禮一氏のトーク。

なんと岩田氏は、3歳から生け花を習っていたという。
だからこその、花咲乱れる絵の数々。

ボリュームがあって、血が滴るような熱気と艶やかさ。
咲き乱れるの合間に、ちらちらと見えるのは自転車のホイールだったり
ハンドルだったり。

自然美とメタリックなものが織りなす違和感も魅力的。

土屋氏は、岩田さんの絵を見ていると、
岩佐又兵衛 を想起するという。

武士の家に生まれた岩佐は、一族郎党殺害されたという。
一人だけ、命からがら救い出された。
その出生の怨念を晴らすかのようなおどろおどろしさが彼の絵にはある。
それに似た恨みに似たパワーを岩田さんの絵にも感じるという。

実際のご本人岩田さんは、そういった不幸を背負っているわけではなく、
ただ、幼少期に祖母の庭で見たアイリスの衝撃が忘れられず
そのうちなるエネルギーを日本画というかたちで表しているのだそう。

絵に向き合う様は人それぞれ、とつくづく思う。


2016.01.24 Sun | Art| 0 track backs,
街はアート
1月2日、お正月の三越デパート。
ショーウィンドウには見慣れたスタイルのイラストが。

ニコラ・ビュフの絵に間違いない。
おととし、原美術館で展覧会『ニコラ ビュフ:ポリフィーロの夢』が行われていた。

独特の画風なのですぐわかる。


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やっぱり。

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新年らしく、七福神をあしらったデザインになっている。
フランス人だけど日本在住のビュフならでは。

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入口には、立体のオブジェ。
宝船。

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どこかしらに七福神が隠れていて、
なかなかお茶目。

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インパクトがあり、
色彩も美しい。

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美術館に行かずとも、一流アーティストの作品が街には溢れている。

なかなか嬉しい出会いがある。
2016.01.21 Thu | Art| 0 track backs,
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