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日常風景 * 写真・文章 Copyright@”Mas Ciclismo Diary”
シエナで思いがけない対面 / シエナ市庁舎-世界地図の間で、須賀敦子著「時のかけらたち」の絵に出会う
「シエナに行くのなら、市庁舎(別名プッブリコ宮 Palazzo Pubblico。市立美術館 Museo Civico併設) に是非」、というアドバイスを受け、マンジャの塔とのセット券(12ユーロ)を買って足を運んだ。

世界地図の間 Sala del Mappamondoがいい、とこれも推奨され、期待して行ったのだが、入ったとたん、ある絵の前でくぎ付けになった。「そうか、ここにあったんだっけ、この絵!」

須賀敦子著「時のかけらたち」の「空の群青色」冒頭に出てくる大型の絵が、目の前に出現したのだ。
帰国後読み直してみると:


「フォリアーノのグイドリッチョ」は、シエナの市庁舎にある有名なフレスコ画で、数多いイタリアの絵画のなかで、私がつよく惹かれる作品のひとつだ。(中略)はてしない深さの群青一色の空の下に投げ出されたような彼の騎馬姿に、はじめてこれを見たときから、私は深い愛着をおぼえるようになった。



シエナの市庁舎にこの絵があることは記憶していなかった。

「時のかけらたち」を読み返してみてからくれば面白かったのに、などと思ったりした。
ただし、本の細部はその時点で覚えていなかったものの、群青色を背景にしたグイドリッチョの孤高な姿に筆者が打たれるくだりは印象的で、記憶にあった。


でも、眼前の「フォリアーノのグイドリッチョ」は、私には悠然たる姿にしか見えない。


(下の写真はショップで購入した栞の絵。上部が切り取られているので、実際はもう少し群青の空が広がっている : シモーネ・マルティーニ Simone Martini のグイドリッチョ・ダ・フォリアーノGuidoriccio da Fogliano)
P1690931.jpg


グイドリッチョの黄土色の衣裳が馬のそれと一体化されていて、エレガントな様子。
さびしいというより、むしろ、ちょっと得意げなぐらい、意気軒昂。
私には、孤独感が感じられない。


P1690931-2.jpg多分、それは、この馬のすっとぼけた表情が真っ先に目に飛び込んできたせいだろう。

重いまぶたが目にかぶさって、眠たそう。

たしかに隊長と馬の姿は、広い空間の中でぽつんとしてはいるけれど、まるでそんなことには無頓着のように マイペースで歩みを進めているかのよう。

孤独、というのは、作者の心のうちが絵に乗り移ったものではなかったか?


私のように、観光を楽しみつつあわただしく駆け回った一介の旅行客には、やっぱりこの絵は余裕綽々、悠然、としか映らないのかもしれない。
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2009.10.12 Mon | Travel-Italy| 0 track backs,
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