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日常風景 * 写真・文章 Copyright@”Mas Ciclismo Diary”
治る見込みのない人の河岸
須賀敦子の「地図のない道」の中に、 作者がヴェネツィア・ザッテレの河岸で「治る見込みのない人の水路」(リオ・デリ・インクラビリ)を見つけてひどく驚く、という場面が出てくる。

治る見込みのない人・・とは、なんと残酷なネーミング、と憤慨するのだ。

その水路がかつてあったとされるザテッレに行ってみて、あのくだりはエッセイではなくてストーリー的部分なのだろうな、という印象をもった。

というのも、そんな小さな水路を見つけなくとも、どかーんとこの一体自体が何百mにもわたり、「フォンタメンタ・ザテッレ・アリ・インクラビリ=治る見込みのない人にささげるザテッレの河岸(*)」という名前だったのだ。

よく読んでみると、「地図のない道」には実際、こんな一文がある。
「Fondamenta degli incurabili フォンダメンタ・デリ・インクラビリというタイトルの小さなエッセイ集がある。フォンダメンタというのは河岸の意味で、ちょうど私の目の前にとまったリオにかかる橋の当たりがそう呼ばれている。」

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治る見込みのない人のザテッレの河岸
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治る見込みのない人の橋
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「治る見込みのない人」なんていうネーミングがされたのは、当時そこにそういう名の病院があったため。当時人口10万人中1万人存在したという娼婦が梅毒にかかった際、入れられたらしい。今ではその病院は建て替えられ、いわゆるフランスでいうところのボザールというか芸術学校になっている。場所は河岸のそばではなく、アカデミア橋よりの方。

須賀さんが行ったとされるザテッレのカフェはどれだろう。いくつか海に面して心地よさげなカフェがあった。

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河岸からの眺め。レデントーレ教会が確かによく見える。真正面ではないけれど。

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あちこちに見られるソットポルテゴ=建物同士をつないだようなトンネル。ここは海が見えるソットポルテゴ。くぐるとザテッレの河岸に出る。

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(*) - ”デリ=Degli”でなく”アリAgli”だから、「治る見込みのない人に捧げる」、みたいな意味が入るのかなぁ、と思った。
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2009.06.05 Fri | Travel-Italy| 0 track backs,
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