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「鹿の王」読了 <感想・ネタバレなし>
長大フィクション「鹿の王」を読了。
長編小説で、上下巻で1000ページほど。


2015年度本屋大賞、という触れ込みと、
冒頭の迫力ある格闘シーンがなかったら、
最後までたどり着いていたかはわからない。


なにしろ普段読みなれないエキゾティック・ファンタジー。
部族の名前・縄張り争いの構図が込み入っていて
手名付けるのに時間がかかった。


最後に「鹿の王」の意味が明確化し、説得力に満ちていたので、
あれだけのスペクタクルがひとつまとまったかたちで収束し、
すっきりとした、後味のいいエンディングだった。

ただ若干、女性や子供の台詞の現代口語的やわらかさが
ハードコアな作品のイメージをふんわりさせてしまって、それが個人的には惜しまれた。
それにより読みやすくなるという恩恵はあるものの、
骨太のままぐいぐい突っ走っても読者はついていっただろうと思う。


とはいえ単なるファンタジーにとどまらず、生命体の不思議さという
根底を貫くテーマが作品にCoherenceと実在感を与えていた。

おかげでヴァンとホッサルという2人の男が描くパラレルな世界に絶妙な均衡が生まれると同時に
そちらのテーマの方にも強くひき付けられた。


生命体の神秘、といっても単に個体同士の相関性にとどまらず、
それはそのまま地球全体の命脈へと展開していく。

宇宙の輪廻に思いを馳せるようにうまく誘導されることによって、
物語はさらなる広がりをもち、読み終わった後、壮大なスケールのドラマだった、
と改めて実感する。





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2017.11.12 Sun | Private| 0 track backs,
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