日常風景 * 写真・文章 Copyright@”Mas Ciclismo Diary”
皇太子さまと遭遇!
土曜日、学習院大学で加賀乙彦先生の講演会があった。

なんだかキャンパスにSP風の人が多いな、
学習院のバッジをつけた正装の男性が多いな、
などと思っていた。

すると講演会の開始直前、右手の人達が一斉に立ち上がるではないか。

皇太子さまのご登場だった。

そうか、ここは浩宮様の母校。
加賀先生のお話ということで、わざわざ聴講に来られたようだ。

終始背筋をピシッと伸ばして、
夫のように居眠りなどすることはもちろん一切なく、
熱心に聞かれていた。

以前お正月の一般参賀で遠目で拝見したことはあったけど、
この距離(私たちの10段ぐらい斜め前)でお逢いするのは初めて。
接近度の自己記録。


さて、加賀先生のお話はというと、
辻邦生さんとは、フランスに向かう船の中で出会われて、
意気投合したそう。

いきいき、キラキラとした青春の一コマを
皆の前で再現して下さった。

すでに辻さんは結婚されていて、
奥様は優秀な成績で留学の給付金で飛行機でフランス入り。
かたや辻さんはギリギリの成績で、船の4等で向かった。
加賀先生の方は船だったけど、上等の船室だったらしい。


フランス到着後には肺炎になった辻夫妻の診察を頼まれて
アパルトマンに向かった加賀先生。
精神科なのに、、と言いながらも、頼まれたので仕方ない。
ペニシリンを打ったところ、瞬く間に夫妻は完治した。


なにがなんでも作家になると断言していた辻さん。
やる気満々。自信満々。
フランス到着後、書き上げたのが、「夏の砦」だった。
奥様の体験を盛り込んだ内容だ。

けれど本作は何度か書き換えを余儀なくされ、
出版もとぎれたりして、どこか「くせ」のある作品のようだ。
読んでみなくては。


ブルーストを愛読し、文学を熱く語っていたという辻さん。
学習院史料館の方では(写真)「夏の砦」の構想をうかがわせる
自筆のノートもあった。

留学時代の華やかな交流写真には、
あれこの人、あの人、というような有名人ばかりが写っていた。
異国での経験は、さぞ濃密であったに違いない。

写真の中のパリの街角。
それをバックに特にポーズをとるでもなく、まとまりつつも
思い思いに散らばって、周囲に溶け込む夫妻と加賀先生。

写真の中の人々は、全てを吸収してやるぞ、といったポジティブな空気に
包まれていた。


一方で、加賀先生のご著書を学生時代に愛読した私としては、
加賀先生ご自身のお話にも興味があった。

作家になったのは、辻さんからやめとけ、と言われ、
奮起したためだったという。


フランスの船で出会ったふたりが名だたる作家になった。
(ひとりは医師とのかけもちで。)

海外渡航が手軽でなかった時代。
留学は、真に選ばれし者のみが許された贅沢な経験だった、
とつくづく思う。


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2017.07.23 Sun | Private| 0 track backs,
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