日常風景 * 写真・文章 Copyright@”Mas Ciclismo Diary”
大エルミタージュ展 <感想>と<エルミタージュの意味>
エルミタージュ美術館Hermitage Museumといえば
ロシア サンクトペテルブルクが誇る美の殿堂。


とはいえなかなか行ける場所ではなく、
ひっそりとお宝が眠る、どこか秘密めいた香りがする場所だ。

実際、エルミタージュという言葉が
フランス語で「隠家」を意味する、などと言われているため、
なおいっそう妖しげなイメージがある。


ただ詳しく述べれば、Hermitage Museumの
Hermitageなる単語は、フランス語にはなく、
英語で隠遁者(の住む場所)と意味ことだ。

フランス語では、HなしのErmitageと綴り、
これで修道院とか人里離れた場所を指す。

語源的にはギリシャ語・ラテン語発で
eremita, ἐρημίτης, erêmítês,  ἔρημος, erêmosといった語の系列。 
見捨てられた、などといった意味。


そんな隠家からはるばる来日を果たしたのは、
オールドマスターズ、いわゆる古典派の作品たち。

とはいえ初期ルネサンス期以前のものはなく、
バロックの作品が特に目を引いた。


入り口に掛けられている《ロシア皇帝エカテリーナ2世》は
堂々たる威容で、権力の強さがサイズに置き換えられるという
古今東西を問わない人間共通の意識がうかがわれる。

(館内写真は一部のみOK)

P5190069_201705261318586f5.jpg 


縦もさることながら、
横幅がキャンバスの幅でカバーしきれないほど
分厚い衣装がはみ出ている。

国民を覆いつくすかのようなこの広がりは
これまで見た他の歴代王の肖像画等に比べ
すば抜けてダイナミック。
圧巻としか言いようがない。


さらに足が手前の第から少しだけ前に出ていて、
こちらにぐいと迫ってくる存在感を演出している。

毛皮の質感、黄金に輝く衣装の光沢感がよく出ている。


P5190077_20170526131859d34.jpg 


そしてぎっしりと宝石がつぎこまれた王冠。


P5190078_201705261319013a8.jpg


贅の限りを尽くした装束と
自信に満ちた表情、
そして縦横のこのスケール感。

すべてが権力のかたまりのような
ロシア女帝の姿だ。


そんな迫力ある絵の一方で、
私が一番引き寄せられたのは、この1枚。


フランシスコ・デ・スルバランの
《聖母マリアの少女時代》
P5190064.jpg 


マリアの幼い頃を描いた絵自体が少ないせいだろう
カタログで何度も見たことがある。

やっと実物に出会えました、という気持ち。

青い衣装で描かれることの多いマリアだが、
ここでは幼子らしく赤。

そして絵の中央、ヒザの上に置かれた布は、
純潔のしるしなのだろう、輝くように白い。

あどけない表情で天を仰ぎ見る。
少女の純粋さが静かに心を打つ。


そのほかクラーナハの逸品や
ルーベンス、ティツィアーノ、あるいはその工房の作品も。


展覧会の主題が緩いくくりなので、
好きな絵を見つけて、
その前でゆっくり過ごす、そんな鑑賞法が
合っていると思った。


 ====
http://hermitage2017.jp/
展覧会名:大エルミタージュ美術館展 オールドマスター 西洋絵画の巨匠たち
会期:2017年3月18日(土)-6月18日(日)
休館日:5月15日(月)
開館時間:午前10時-午後8時(火曜日は午後5時まで、但し5/2は午後8時まで)
※入館は閉館の30分前まで
会場:森アーツセンターギャラリー(六本木ヒルズ 森タワー52階
関連記事
2017.05.26 Fri | Art| 0 track backs,
トラックバック
この記事のトラックバックURL
この記事へのトラックバック
"shw-greenwood" template design by Shallwill