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辻邦夫「春の戴冠」 のススメ
去年から相次いでボッティチェリ展が各所で行われている。

私は正直、ボッティチェリの作品はそれほど好きではなかった。
イタリア旅行に行き、ウフィツィ美術館へは行った。

「プリマヴェーラ」や「ヴィーナスの誕生」などの名画は見て、大感激した。

けれど、数か月滞在したイギリスで、ボッティチェリ後期の作品を矢継ぎ早に見たせいで
「プリマヴェーラ」や「ヴィーナスの誕生」の輝きがすっかり曇ってしまった。

とくにナショナルギャラリーには、
マニエリスムに片足をつっこんだような、神秘主義に走ったような、怪しげな画風が目白押しで、
結局、彼の画業がしりつぼみで終わってしまった印象がある。


でも、(以前にも記したけれど、)辻邦夫氏の「春の戴冠」を読んで、
例え終わりはどうあれ、最盛期の絵を純粋に愉しめばいい、そう思えた。

フィレンツェ黄金期の、何かが崩れる不安をかかえつつも
栄華をどん欲に謳歌した人々の歓喜に溢れる「春の戴冠」。

あの時代の空気があったからこその「プリマヴェーラ」や「ヴィーナスの誕生」なのだ、と気づかされる。

栄華を極めた当時の風俗が、あの絵たちに凝縮されている。



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2016.01.23 Sat | Books| 0 track backs,
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