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「第6回菊池ビエンナーレ 現代陶芸の〈今〉」 / 智美術館 <感想>
ビエンナーレ(biennale)とは、2倍を表すラテン語の<Bi>がついているとおり
2年ごとに開催される祭典のこと。
現在、菊池ビエンナーレと呼ばれる陶芸の公募展が、菊池寛実記念 智美術館で開催されている。


応募総数296点。入選は48点という狭き門を通過した作品は
個性まちまちで、バリエーション豊かだった。

入選作の一部は先にフライヤーで目にしていたものの、
実際、目の当たりにしてみると、質感が想像と違っていたものが多かった。


とくに建築を勉強されたという奈良祐希さんの《数瞬》は、
隈研吾氏デザインの大宰府のスターバックスを彷彿させる作品
というイメージだったのだが、実際はもっと とろりとした質感で、
やはりこれは陶なのだ、とつくづく思った。
斬新で思わず惹きつけられる作品だ。


初日は展示のみならず入選作の講評会もあったのだけれど、
講評をうかがって、奥深さを改めて痛感した。

全体的なコメントを通じてひとつ印象的だったのは、
無難・保守的・守りに入った作品に対して辛口な寸評が多かったこと。
表面的なきれいさよりも、
鼻息荒い野心や執念といった一歩踏み込んだ気持ちが見える作品が求められているようだ。


実際、
もっと土と格闘せよ、
先にイメージありきで作ってはいないか?
説明的になっている、
などという声が多々聞かれたのだった。


また、完成度の高い中田博士さんの《真珠光彩壺》のような作品の場合、
作者の実績が加味され、期待値との相対評価になるため、
作品単体が素晴らしくても、その上を要求され、完成度が高すぎる、などといった酷な評価につながった。

個人的には表面の繊細な凹凸や、エレガントな輝き、極上の質感は実に魅力的だったけれど、
審査員の目から見ると、美を雄弁に語り過ぎているかのようだった。
優れた作家だからこその、もう一方踏み込んだ風穴を開けるような怖れ知らずの勢いとか、
美にプラスするような余韻などの新境地が求められたようだ。


激励賞の張蕙敏さんの 《種の器》の場合も、作品の向こう側にちらつく作家の今後の展開に言及があった。
作品が絶賛される一方で、この後の伸びしろなどを今から憂慮する声もあり、
公募展ならではの空気を感じた。



大賞作品である神田和弘さんの 《繋ぐ》は、
力強く堂々としていて、身をゆだねたくなるような安定感を感じた。

優秀賞の津守愛香さん作《サムライ・マーメイド》は、
怪しげな魅力と、妥協しない心意気を感じ
フライヤーで見たときよりも、力強さをがあった。


奨励賞はおふたり。
既述の張蕙敏さんの 《種の器》と、若月バウマン ルミさんの 《Form》。

前者は写真ではもっとマットな印象だったのだけど、
近づいて見ると光り輝いて、種がはじけるかのように溌剌としていた。
個々のタネが可愛い一方、全体像は縄文土器風味の籠といった風情で、これ、面白い。


後者は、批判の多かったセットものの中において、
対であることがすんなり受け入れられる作品として評価を受けていた。

柔らかなフォルムや寄り添うふたりといった構図が、どこか
ヘンリームーアを思い出させ、イメージソースがありそうでいながら、
人物のデコルテのように広がる部分が鷹揚で、どこか独特でもある。


公募展というある意味力試しに出された作品たちということで
裏にある作家の気持ちを考える機会にもつながり、通常の展覧会とは一味異なる
愉しい展覧会だった。


*写真は撮影許可を得ています:

最後の展示室:
PC190014.jpg

レストラン「 ヴォワ・ラクテ」から眺める庭の紅葉も素敵:
PC190006.jpg


http://www.musee-tomo.or.jp/exhibition.html

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場所: 菊池寛実記念 智美術館
展覧会名: 「第6回菊池ビエンナーレ 現代陶芸の〈今〉」 
会期 : 2015年12月19日(土)~ 2016年3月21日(月・祝)
休館日:  毎週月曜日(ただし1/11、3/21は開館)、1/12(火)、
年末年始休館: 12/28(月)~1/1(金)
開館時間:  11:00~18:00  ※入館は17:30までになります
観覧料:  一般800円、大学生500円、小・中・高生300円
※未就学児は無料
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2015.12.21 Mon | Art| 0 track backs,
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