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ディエゴ・ベラスケス / 謎に満ちた絵
三菱一号館美術館でプラド美術館展が始まった。
プラドには1度行ったきりだけれど、
ベラスケスの「ラス・メニーナス」が、大原美術館のエルグレコ「受胎告知」ばりに特等席をあてがわれ、
珍重されていたのが印象に残る。

名画だらけの館内でも、ひときわベラスケスの存在は大きいようだ。

同館の学芸員、ハビエル・ポルトゥス氏の講演会を聞いたことがある。

絵は心の目で見るもので、頭で見るものではないと思いつつも、
やはり神話がからむ絵は、散りばめられた題材に気づかなければ
見たことにならない。

そういう意味で、神話画に関する話はいつも発見に満ち、鑑賞には必須と感じる。


あの時の話の中で、とくに難解とされた絵が、「織女たち」だった。
画面背景に描かれたタピスリーには、ルーベンスのコピーとされるエウロパの誘拐が描かれている。

もともとティツィアーノが描き、ルーベンスが模写した作品だ。
フィリペIV世はルーベンスの手による模写を購入していたらしい。
ティツィアーノのオリジナルよりも高額だったという話。


画面いっぱいに糸巻、梯子などが混然と混じりあい、それが逆説的に秩序を生み出している。

光が当たる白いブラウスの女性が主役のひとりであることは間違いない。
脇の老婆の存在も気になる。

現在、本作はアラクネの神話(腕利きの織女がアテナの嫉妬を買い、蜘蛛に変えられる話)であると認定されたそうだ。
つまり若い女性がアラクネ、老婆がアテナに該当する。

ベラスケスは、一義的な意味を奥に隠して、二次的なものを前景にもってくるため、
とかく多様な解釈が可能となる。

一つの解釈としては、機織りにおける、アラクネと女神アテナの対決というモチーフにより、
権力への挑戦と読み取ることもできる。
(ちなみにポルトゥス氏はアテナでなく、ローマ名のミネルヴァという言葉を使用していた。)


奥の深い、幅の広い多義的な芸術作品には、
それなりのアンテナをもった柔軟な心でのぞむしかなく、かなり手ごわいと感じる。


Vera.jpg

<Las Hilanderas> Diego Velázquez c. 1657
167 cm × 252 cm Museo del Prado, Madrid


さて、三菱のプラド展では、一体どんな絵画たちと巡り会えるのだろう。

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2015.10.11 Sun | Art| 0 track backs,
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