日常風景 * 写真・文章 Copyright@”Mas Ciclismo Diary”
ウィーン風景画展@Bunkamura <感想>
 ウィーン美術史美術館所蔵 風景画の誕生


純粋な風景画展を想像して足を運ぶと、少々戸惑うかもしれない。
ベネチア運河風景の第一人者カナレットの絵などもあるにはあるが、むしろ風景画へと発展していく過程が見られる展覧会だ。


宗教画の背景として描き込まれた小さな風景がやがて脇役から主役へ踊り出る、
そして新しい風景画というジャンルの成立につながっていく。

以前東京都美術館のボッティチェリ展関連イベントでうかがった小佐野重利先生の話と直結して、
興味深かった。

そのお話とはーー
ボッティチェリなどルネサンス画家たちが描き込んだ背景の風景画は
師匠や同時代の他の画家たちの絵を参考にし、ときに大胆に模倣して描かれていた、という内容だった。

なので画家AとBの岩の形状が一致する、といった事態がよく発生した。

絵画のメインの宗教的題材にはそれぞれ個性を発揮しつつも、やはり描き方、マリアのポーズひとつとっても、
徒弟制度などを通じて継承されるものがあった。
それと同じように、背景の光景もかたちが受け継がれていった。
ひと工夫なしにそのまま描かれることもあったほどに。

それが次第に、風景に関心をもつ画家が現れ始める。
とくにネーデルランド地方を中心に。

そうした過程がよくわかる展覧会構成となっている。


また月暦画、カレンダー・ペインティングなどという
目新しいジャンルの絵が多くみられるのも本展の特色だ。

海外では、とくにロマネスク建築では、暦ごとの労働をリリーフにしたものを
よく見かける。
例えばアレッツォの教会入口にあったものなど。





それが、絵画に展開されているものが、月暦画だ。
浮彫と違って、それは群像となり、華やかな画面になっている。


また、時祷書の複製版のひとつは手に取ってじっくり挿絵を見ることができる。
この挿絵が秀逸だった。

キリストの生涯といった新約聖書の題材などが細密画として描かれており、
遠近法、ヒューマニズムが表出。
ルネサンス萌芽をすでに感じる内容なのだった。

http://www.bunkamura.co.jp/museum/exhibition/15_wien.html
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2015.09.23 Wed | Art| 0 track backs,
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