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ピントリッキオ「「聖母マリアと諸聖人」 / スポレート
以前触れたスポレート大聖堂にあるピントリッキオのフレスコ画「「聖母マリアと諸聖人」について少々付加したい。

まずピントリッキオと聞くと、ロンドン・ナショナルギャラリーにある「オデュッセウスの帰還」の絵の作家としての印象が強い。
神話オデュッセウスから題材をとり、なかなか賑々しい画面構成だ。

夫オデュッセウスがトロイ戦争に出征している間、
妻ペネロペのもとには求婚者たちが日参した。
夫の生還を信じっていた妻は、それらの求めに応じないために機織りを続けた・・・
そんなお話だ。

本神話に基づく絵としては、機織りをするペネロペと周囲に群がる求婚者たちの構図をよく見かけるが、
ピントリッキオの作品では、オデュッセウスが帰還してドラマチックに部屋に踏み込み
スカをくらった求婚者たちが、あーあ、と溜息つくような図になっている。


カラフルで、思わせぶりな猫や船を画面の周囲に散らばせたロンドンの1枚に対し、
もスポレートの聖母はまったく趣が異なって、静かで優美な雰囲気だ。


ほんのりピンクに染まった頬は絶妙で、
子イエスすら恥じらうような様子を見せている。

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全体図はこんな感じ。
スポレートの大聖堂、エローリ礼拝堂入口にある。

背景の風景には、ラピスラズリが使用されたと聞く。
つまりなかなか贅を尽くしたフレスコ画ということだ。

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マリアの両側は聖人がひとりずつ。
左が洗礼者聖ヨハネ、右がキリスト教最初の殉教者 聖ステファノ。

最初ヤシの木が南国風で、聖母子図と違和感を感じたのだけれど、
実はヤシの木は、殉教のシンボル(正確にはキリストと殉教者が迎えた死を信仰の勝利とする)だったのだ。


P6170248.jpg


傷みかけたせいで色彩が失われ、その枯れた風情が逆に味わいを付加している気がする。
気品あるマリアに、しばし見とれてしまった。

P6170272.jpg
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2015.07.31 Fri | Travel-Italy| 0 track backs,
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