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「九年前の祈り」 小野 正嗣
最新の芥川賞作品「九年前の祈り(小野 正嗣)を読んだ。


現在と過去が交錯し、いきつ戻りつ。

相互に関連性をもつさまざまな織り糸が乱れ展開していくさまは、
どこかプルーストの「失われた時を求めて」を彷彿とさせる。

閉鎖的な地域の濃密な人間関係の中で
主人公と息子の関係と、
みっちゃん姉と息子の関係がパラレルに浮かび上がる。
時間感覚の縦横無尽さのせいでその共鳴効果はやわらげられてはいるのだが。

プルーストの無意識の記憶や、
あるいは須賀敦子さんの一部の作品のように連想ゲームが展開し、
奔放に意識が飛びつつも、
祈りにつながるようなある種の一貫性(Coherence)を保持している。
全体を包み込む地域性が、それに一役買っていることは言うまでもない。


徐々に人物像・背景を浮かび上がらせる手法にも「失われた・・・」との類似性を感じさせつつ、
独特のペーソスがある。
このスタイルで突き進むのか、気になる作家だ。



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2015.05.27 Wed | Books| 0 track backs,
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