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芥川賞作家 小野正嗣さんの講演会
週末東大で開催された芥川賞作家 小野正嗣さんの講演会。

作品から受ける印象と、作家のパーソナリティの間のギャップがそこはかとなく大きくて、
(それは、開始前の挨拶でも、触れられたことではあったのだけれど)
初めて話を聞く人はみな目が点となり、
勝手知ったる人たちは、うんうん、今日も快調、そんな笑顔で見守っていた。


東大学部長を簡単にコケにして笑ってしまうような場面も多々あり、
おちゃらけ満載で人を食っている。
怖いものなしの不遜さをチラリちらりと見せつつも、
底抜けに明るく陽気で、誰もが吸い寄せられるようなチャーミングさを兼ね備え、
そうした美点ですべてが許されてしまうような不思議な人柄だ。

Q&Aのコーナーでは、緩さと真剣さが素早く交互に頭をもたげ、
理解しつつ瞬時に言葉にできる。
つまりインプットとアウトプットがほとんど即時で、
聞いた言葉をどんどん自己の中で発展させることができる。
そしてそれらがどんどん頭の中に蓄積されていく感じ。


大分の過疎の集落で育ち、行き交う人皆知り合い、
書店に行くには山を越えて1時間、そんな環境の中、
学校の図書館を利用して本を読んだという異色のバックグラウンド。
濃厚な人付き合いが人類愛をはぐくみ、環境が激変してもそれを保ち続けたような人。


どのようにして本を書くか、という質問に対し、
まずイメージが浮かび、それを言葉に紡いでいくとのこと。

文学は人生の遊び(潤滑油のような意味で)という発言もあり、
いわゆる「ごっこ」の延長であると。
文章を書くときは、自分と書かれる対象物の中間に位置しているという。

私情を超えて、己を徹底的にニュートラルな存在に変容させつつ書くからこそ、
自身のキャラクターがにじまない作品が生まれるのだろうか。

ふわりとした笑顔で周囲の空気をまろやかにしつつも、
空恐ろしい才気を放っていた。

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2015.05.11 Mon | Books| 0 track backs,
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