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大英博物館展@東京都美術館 <感想>
4月18日(土) に始まった 「大英博物館展―100のモノが語る世界の歴史」は、
展示物の選択にストーリー性があり、予想を上回る見ごたえだった。
今年前半の展覧会の中でも、トップクラスに数えていい。
中でも感服したのは以下の点:


1) メッセージ性: 例えばー 人間の歴史の中でも戦争と平和という古来からの問題が
さまざまな展示物の中から時折チラリちらりと顔を出す。
最後”101番目のモノ”を展示する部屋を締めくくりとして、世界平和について考えさせられ、
未来をどう創出するか、今後の続きをも強く意識させる。


2) 人間の手を感じさせるモノたち: 絵画のみの展示とは異なり、
崇高な芸術だけでなく、何らかの意図でつくられたモノたちを見ることで、
人間の創造の歴史を体感できた。

過去4回訪れた本家・大英博物館は茫漠として、古代ロマンにひたすら魅せられるに尽きたのだけれど、
大英博物館のひとつの側面をくっきり浮き彫りににする内容だった。


3) 構成力: 上記1)で触れた”101番目”の展示や、個々の展示物に付されたタイトルを含め、
歴史を振り返り、未来へと向かう全体の構成が見事だった。



1)の一例として挙げられるのは、「予言者ヨナを表した石棺」。

※会場内の画像は(「大映博物館展ナイト」の折りに))主催者の許可を得て撮影したものです。

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予言者ヨナを表した石棺》/260~300年頃/おそらくイタリア/大英博物館蔵


表面に浮彫にされているのは、旧約聖書の「ヨナ書」の場面。
解説にあるとおり、本逸話は、現在ユダヤ教、イスラム教、キリスト教すべてで語り継がれている。


宗教に端を発する諍いが、世界平和を揺るがす昨今だが、
ユダヤ教、イスラム教、キリスト教はみなもとは旧約聖書を原典として始まった。

しかし解釈のズレによるギャップは広がり、意識の相違は、例えばイコノクラズムその他、
忌々しき問題を生み出している。

そんな中、「ヨナ書」は3つの宗教において信奉される話として、
お互い、元はひとつにつながっているもののであることを改めて訴えかけるかのよう。



IMG_5253.jpg
上記《予言者ヨナを表した石棺》<部分>


左上には神・イエスの象徴子羊。
その下では、荒れた海で船員たちが帆を上げようとしている。


旧約聖書のヨナ記では、命令に背いたヨナが乗る船が荒い海に翻弄され、
船員がヨナを海に投げることで海は静まる。
一方ヨナは大魚に飲み込まれるが、3日を経て口から海に吐き出され、命拾いをする。
悔い改めたヨナは、予言を届けよ、という命令を実行に移す。。。


荒れた海、大魚に飲み込まれるヨナは、中世~近世(現代でも)においても、様々な絵画やモザイクで表現されてきた。
システィーナ礼拝堂の天井画にもヨナが巨大な魚らしき生物とともに描かれている。

こちらの棺では、波間を、大魚というより恐竜みたいな生き物がうごめいている。
(上の写真では、船の下にいる。)

これはケートスという神話上の恐竜で、大魚をそれに見立てているらしい。



IMG_5255a.jpg
上記《予言者ヨナを表した石棺》<部分>

側面向かって右にはヨナの堂々たるポートレート。
棺の中に入る死者の在りし日を偲ぶかのように。



IMG_5255b.jpg
上記《予言者ヨナを表した石棺》<部分>

上述のヨナのポートレートの下部には、よく見るとヨナが大魚から吐き出されるシーンが彫られている。


長くなるので、続く:


大英博物館展エントリー:
1.大英博物館展@東京都美術館 <感想>
2.大英博物館展@東京都美術館 <感想> 個別作品編
3.大英博物館展@東京都美術館 <感想> エピローグ



(章立てごとの概略は、公式サイト内「みどころ」ページに詳しい。)

展覧会名: 「大英博物館展―100のモノが語る世界の歴史」
会場: 東京都美術館 企画棟 企画展示室
会期: 2015年4月18日(土) ~ 6月28日(日)
休室日: 月曜日、5月7日(木)
※ただし、5月4日(月・祝)は開室
開室時間: 9:30~17:30 (入室は閉室の30分前まで)
夜間開室: 毎週金曜日は9:30~20:00 (入室は閉室の30分前まで)
観覧料その他詳細は、HPを参照
東京都美術館の本展覧会サイト: http://www.tobikan.jp/exhibition/h27_history100.html
特設サイト: http://www.history100.jp/
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2015.04.19 Sun | Art| 0 track backs,
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