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松濤美術館 ロベール・クートラス展 芥川賞作家・堀江敏幸氏と、岸真理子・モリアさん対談
 画廊という束縛を嫌った極貧の芸術家の話と、話し上手な堀江敏幸さん


週末、松濤美術館で対談イベントがあった。

雨だし寒いし、人出はまばら、そう思ったのだが、到着したら、
既に傘立ては満杯。

鑑賞もそこそこに、トークをめざし入場前に早目に並んだら、既にスゴイ人の数で、螺旋階段は鈴なり。

開場後、やはり全然入りきれない事態で、
椅子をかなり詰めて、補助椅子を搬入し、それでも立ち見の大盛況。

想定の倍以上の人だったのではないかと思う。
やはり、なかなか聞くことのできないレアな対談とあって、興味を持った人は多かったのだろう。


フランスの芸術家ロベール・クートラスの遺作を管理する岸真理子・モリアさんのお話を中心に、
ナビゲーターは、作家堀江敏幸さん。

クートラスの作品に出会った堀江さんの話が興味深い。

芸術新潮が、彼の作品は堀江さんの感性に合うはず、そうもちかけて
作品と対面する運びになったという。

出版社というのは、書かせるだけでなく、そんなマッチングまでして、
良い作品を生み出す種撒きをするのね。

(その後、原稿用紙10枚程度の文章を芸術新潮に載せたという。)

真理子さんと堀江さん、それ以来のおふたりの親交。


お話の中で、とくに芸術活動と自由さ、というポイントが心に残った。


極貧覚悟で、画廊との結びつきも絶ったクートラス。

画廊と契約すれば、アトリエ支給、給与も十分、
ただし、作品点数も規定され、先方の意図する作品を描かされ、束縛は増える。

絵画だけでなく、文章その他、全てのクリエーティブ的作業はみな同じだろう。
自由さがなければ、気持ちよく創作活動ができなければ、いい作品は生まれない。


経済状況が悪い中、あらゆるものを節約し、二次利用などして芸術活動を行った。
自由を手に入れるための不便さは、苦にならなかったに違いない。

クートラスにとって、真理子さんの存在は、精神面でさぞ大きかったことだろうとも思われた。


冒頭、堀江先生はこうおっしゃった。
真理子さんの遺作管理人という肩書が、そのまま本のタイトルとして
xxx文庫から出版できそう、と。

作家さんの発想だ。

堀江さん、語り口が柔らかく、声のバイブレーションが空気に溶け込んでいる。

大学で講義を聞きつつ居眠りする学生がいたとしたら、
あながち責められないかも、と思った。
それほど心地よい声色だった。

もちろん私は居眠りなどせず、必死にお話に耳を傾けたけど。
学生時代のように、貴重なこうした講義聞き放題、という身分では、もはやないもので。


***

「クートラスを語る―描くこと、生きること」
堀江敏幸(作家)+岸真理子・モリア(遺作管理人)

「1930-1985 没後30年 ロベール・クートラス展 
        夜を包む色彩 カルト、グワッシュ、テラコッタ」

http://www.shoto-museum.jp/05_exhibition/
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2015.02.09 Mon | Art| 0 track backs,
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