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『パスキン展』 / パナソニック汐留ミュージアム (感想)
◆ パスキン展 -生誕130年 エコール・ド・パリの貴公子 : 愛人リュシーの絵に漂う愛おしさ、自殺前、愛人宛に書いた書簡の「アデュー」、国吉康雄の絵との類似性


これだけふんだんに、そして一度にジュール・パスキンの作品を見るのはもちろん初めて。

1月17日からパナソニック汐留ミュージアムにて開始になった「パスキン展」には
書簡なども展示されていて、パスキンの素顔がのぞく展覧会だった。


1.私の一番好きな作品


以前の私の中のパスキンはといえば、ゆらゆらと艶めかしくて、どこか不安を誘うような絵だったのだけど、
これだけ揃うと、これまでの印象も変わる。
彼特有の、輪郭の曖昧な滲むような筆致のものだけでなく、多様な作品に出会うことができた。


いつまでも見ていたい、そう思ったのは愛人リュシーの絵。
立ち昇るいとおしさに、うっとりしてしまう。

テーブルの上にはルドンの描くブーケのような花たち。
テーブル下からのぞく脚はか細くて、なんとも心もとない。

右の作品がそれ。
《テーブルのリュシーの肖像》1928年 個人蔵

(*内覧会の機会に、美術館より特別に写真撮影の許可を頂いています。)

P1670477.jpg


メランコリックのようでいて、ふっと思い出し笑いしているようでもあり、
彼女の心の中に自分がいることを、画家が望んでるかのようでもあり。
隣に亡霊のようなパスキン自身がいるようでもあり。



2.自殺前に送ったショッキングな書簡


展示には、リュシーに宛てた手書きの手紙もあった。
45歳で自殺する前に送ったもののよう。
(下の写真の中央上の紙片)

内容を読んでみた。

Lucy Lucy ne m’en veux pas pour ce que je fais. Merci pour les paquets(?この単語はよく読めず)
Tu es trop bonne il faut que je m’en aille pour que tu sois heureuse. ADIEU! ADIEU! P

リュシー・クローグへ
リュシー、リュシー、僕が行うことについて、恨まないでくれ。小包(?不明)をありがとう。
君は素晴らしすぎるから、ボクは行かなければならない。君が幸せになるために。
さようなら!さようなら!
P(パスキン)


P1670515.jpg


最初のADIEUは、やたらに大きい。
生々しい。

画風同様、ゆらめいている、字が。



3.なんでここに国吉康雄(風の絵が)!!


展覧会ではいくつかの章立てがあるうち、アメリカのコーナーで驚いた。

《美しいクレオール女性》1916年 個人蔵 (写真右)その他が
近代美術館常設展によく出ている国吉康雄の絵にそっくりだった!

以前近美の2Fで国吉康雄の特集を行われたこともある。

後で調べると、米国で確かに2人は出会っている。
やっぱり・・

仲もよかったようだ。
パリに行くよう国吉に勧めたのが、パスキンだったとか。


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国吉の方が、少しとんがって、色も塗りこめている印象はあるけど、
茶と緑の色使いが、まさに両者同じで、独特だ。

この頃2人はキュビズムを目指していたのだろうか。
どちらがどう相手に影響を与え、どう昇華していったのか、もっときちんと調べてみたいと思った。

国吉の絵を近代美術館で撮影して並べようと思ったのだけど、
残念!今の常設展には出ていなかった。



ただそういう画風も一時的で、4章の狂騒のとき、では、水彩画のような淡い色合いの絵が並ぶ。

手袋をして、パスキンに関する書を読むこともできる。


P1670523.jpg



これまで自分の中のパスキンの絵といえば、
上記で述べたように艶めかしくて、どこか不安を誘うといった印象以外に、
太腿が太くて足首が細い女性やふしだらな感じの女性、が多く、
全体的にくすんで、暗い感じ、、
というイメージがあった。

けれど、線でさっと描いたスケッチなどはユーモアがあって、
晩年の絵などは、ギラギラした感じは取れ、落ち着いた感じの愛情が感じられて、
好ましく思った。

愛人宛の手紙の中には、お茶目なイラスト入りのものもあり、
長い間キャンバスの前で過ごし疲弊しそうなのに、
仕事以外でも、私信にまで描いちゃうとは、根っから絵が好きだったのだろうな。


4.展示室の邸宅感


今回は、今までになく壁の色、壁のカッティング、照明器具など凝ってた。


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昔は壁の色まで凝った展示などなかったけど、
最近はあちこちで、絵を引き立てるための壁の存在にも目が向けられている。


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お部屋の雰囲気を演出していた。

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入口にはカーテン。パスキンがお出迎え。


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こういう美形だと、えてして人に交わらないナルシストだったりしそうだけど、
Takさんx宮内真理子さんの内覧会トークによると、人から好かれた人だったという。

ただ晩年精神を病んだといい、繊細な人ではあったのだろう。

己の美学を貫くために命を絶った。

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公式サイト: http://panasonic.co.jp/es/museum/exhibition/15/150117/

展覧会名: 『パスキン展 -生誕130年 エコール・ド・パリの貴公子』
場所: パナソニック 汐留ミュージアム
開館期間: 2015年1月17日(土)~3月29日(日) パンフレット»
開館時間: 午前10時より午後6時まで(ご入館は午後5時30分まで)
休館日: 毎週水曜日(但し2月11日は開館)
入館料: 一般:1,000円、65歳以上:900円、大学生:700円、中・高校生:500円、小学生以下:無料
(詳細は公式サイトにて)
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2015.01.25 Sun | Art| 0 track backs,
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