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ボッティチェリとフィリッポ・リッピとフィリピーノ・リッピの関係 
◆ 親方と弟子の絵は見分けにくい


友人からもらったイタリアルネッサンス絵画のカレンダー。
10月分を開いた途端、ボッティチェリの聖母子だ!、と思いきや

写真 (66)


作者はフィリッポ・リッピだった。

似ている、と思っていたところ、辻邦生氏の「春の戴冠」の中で、
ボッティチェリがフィリッポ・リッピのところに弟子入りするくだりが出てきた。

そうか、2人は師弟関係だったのだ、と思い出しす。

同書にはまた、リッピの息子フィリピーノが見習いとしてボッティチェリを手伝っているシーンが登場し、
フィリピーノは、ボッティチェリの弟子といったかたちで表現されていた。

「利口そうな弟子が来たんだね」
私はサンドロ(注:ボッティチェリのこと)にそっとそう言った。
「ああ、この子かい?この子はね、実はフィリッポ親方の息子なんだ。例の、僧院を抜け出したルクレツィア・プッチの子なんだよ」

(新潮社 「春の戴冠」 上)


これは実話のようで、父リッピ>ボッティチェリ>息子リッピという師弟関係があった。

ゆえに3人の絵は類似性を帯び、
ときに作者の区別がややこしくなる。

当時のように工房での制作では、一部だけ弟子に描かせることも多々あり、
そうなるとなおさら、境界線をつけるのが厄介になってくるようだ。


ただし、聖母子の優美さにおいてはリッピ父が絶賛されており、
先日のトークの中で作家のフランチェスコ・カタルッチョ氏は、
上の聖母子における父リッピの薄い半透明なベールの描き方は絶妙、
片や、同様の構図のボッティチェリのベールは雑巾みたい、とおっしゃっていた。


僧侶なのに女性を身ごもらせるなど奔放な人であったリッポ父の様子は、
やはり「春の戴冠」にも漏れなく描かれている。
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2014.11.27 Thu | Art| 0 track backs,
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