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イタリアで散見される「天正遣欧少年使節団」の足跡 
現在目黒駅そばにある久米美術館で開催されている「寺崎武男―心の故郷イタリア展」
で、思いがけない出会いがあった。


寺崎画伯は、東京美術学校卒業後、イタリアに派遣され、
壁画や版画などの研究を進めるとともに、
「天正遣欧少年使節団」の様子を絵画で再現することをライフワークとされた方。


使節団の絵との出会いはヴァチカン博物館・図書館で見た壁画だそうだ。

その流れでやがて、ヴィチェンツァのテアトロ・オリンピコにある使節団のフレスコ画を模写する機会を得たという。

私が数年前の旅行で見つけたあの、使節団の壁画だ


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WIKIによると、使節団がローマを出発し、ヴェネツィア、ヴェローナ、ミラノなどの諸都市を訪問したのは
1585年6月3日(天正13年旧暦5月6日) のこと。

ヴィチェンツァはヴェネツィアそばなので、この折にテアトロを訪問したのだろう。
やはりWIKIによるとテアトロ建設は1580-85年。
できたてのタイミングだったようで、こけら落としに招待された、などという話も聞く。


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イタリア人画家が描いたためか、顔のつくりが西洋的なのが印象的だった。

もっとも、ここにこの絵があると知っていたからこそ判別できたのであって、
そうでなければ、簡単に通り過ぎてしまう出口付近に位置していた。


この絵の前で、上述の寺崎氏がせっせとスケッチされたのは、
明治の終わりから大正初期にかけた期間のいずれか。

日本人の足跡が少ない頃、こんなところに残されていた同士の姿に、
きっとワクワクしながら絵筆を勧めたのではなかろうか。


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その後使節団はポルトガル経由帰国したというが、
リスボン出張時に、サンロケ教会でやはり使節団の絵を偶然目にした。


一番奥の部屋にあるザビエルの生涯を追った連作を何気なく眺めていた時のこと。
波乱万丈の人生だったのだなぁと解説を読みながら追っていくと、
日本からの使節団を描いたものである旨、書かれた一枚があった。
余りにも抜き打ち的な出会いだったので、こんなところに!と感激した。


こちらも御多分に漏れず、西洋人顔の少年が描かれている。

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さてこの久米美術館。
場所は目黒駅の斜め前。
それほど大々的に宣伝している風もないけれど、心のこもった展示内容で、穴場だった。

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創設者の久米氏の説明はこちら:

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今回の展示の中には、大画面いっぱいに使節団がサンマルコ広場を行進する1枚などがあり、
あでやかな色使いが、いたってイタリア的だった。

デュフィの絵のように、速いタッチで躍動感が小気味いい。

(もっともこの絵は、紙に書かれたテンペラ画だった。
研究家ならではの取り合わせ。)

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上述の寺崎氏が模写したテアトロオリンピコの使節団の絵は今回の展示に含まれていないが、
藝大美術館が所蔵しているようだ。

使節団の絵の他にも、いきいきとしたヴェネチア、イタリアの風景がエッチングも含めて並ぶ。

全体的にちっとも古びた感じがなくて、
これらの都市が当時から粋を極めており、
さらに寺崎氏の筆致が洒脱だったことに気づかされる。


寺崎氏のご子息は、日本オペレッタ協会前会長の寺崎裕則氏。

ご自身が演出されたヴェネチアを舞台とした作品に、
父のエッチング作品を引き延ばした緞帳を使用されたことがあるとも聞く。



「寺崎武男―心の故郷イタリア展」
2014年10月2日(木)~11月16日(日)
休館日:
毎週月曜日、ただし10/13、11/3(月・祝)は開館、翌火曜日振替休館
http://www.kume-museum.com/
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2014.10.06 Mon | Art| 0 track backs,
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