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②根津美術館 「名画を切り、名器を継ぐ」に見る、”昔はこんなに仲良しだったのか、中国と日本”
今回根津美術館の展示品の中に、黒く細い帯状のものでヒビをくっつけているお茶碗がある。

これは中国独自の手法で、鎹(かすがい)継ぎと呼ばれるもので、経緯は以下の通り:


「重文 青磁輪花椀 銘馬蝗袢」は、中国の宋時代に、お礼として日本に贈られた品。

時代とともに何人かの手を経て、やがて足利義政の所持品に。

しかしひびが入ったので義政は、それを中国に送り返し、「同じものを頂戴!」と依頼した。

しかし時代はすでに宋から明へ移っていた。
古い品なので、もう当時の作製法は維持されておらず。
(技法の変化により、色彩などが異なっていて、同じものはもう作られていなかった、と学芸員さんの弁。)

そこで、金属を差してホチキスのように継がれた状態で返却された。
「継ぎ足したので、これを使ってくれ」と。


私が驚いたのは、2国間の絆。

最初に受領してから200年?ほど経っているであろうに、昔の経緯を知らない相手に、
「新品頂戴!」、と図々しく依頼できてしまう間柄だったわけだ。

そして貴重な椀を送りつけるなどというのは、相手への信頼感あったからこそ。

それに対し、新品返送はできずとも、修理して中国がちゃんと送り返している点も含め。


その昔、日本と中国の関係は、今よりずっとカジュアルで、
気安いものだったのだなぁ、と感慨深い。


もっともここで感慨に浸るべき本筋は、そんなホチキス跡を風流として楽しんでしまった日本の心意気。

その欠点を大きなイナゴに見立てて、”馬蝗袢”という銘までつけてしまったほど。

大きなイナゴのようなもので継いだ品、という意味らしい。

あばたもえくぼ。
汚点をポジティブにとらえた洒落っ気が心憎い。



なおこの展覧会、タイトルからわかる通り、切り取られた絵も多々あり。
これまでも、元の書や絵を切り取って掛け軸にするような展示を時折目にする機会があった。

1)汚れた部分を切り取って鑑賞するため、
2)鑑賞の際、巻物だと人と分かち合えないので部分ごとに切り取って、掛け軸にしてみなで堪能した、

など理由は様々らしいが、
オリジナルに手を付けるという行為には驚いた。

いまなら劣化のままでも保存に重点を置くだろうに。

ただ、少なくとも上記1)の背景には日本人独特の「もったいない」精神が垣間見えて
その慎ましさがいとおしい。

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2014.10.02 Thu | Art| 0 track backs,
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