日常風景 * 写真・文章 Copyright@”Mas Ciclismo Diary”
巨匠バルテュスの鉛筆画を消しゴムで消してしまった人の懺悔
パリ滞在時代、バルテュスという画家の絵と出合い、以来、「私」は彼の絵の虜になった。
カルチェ・ラタンのレストランに通っては、壁に掛かる画家の海の絵と蛙料理を堪能した。


個展開催のため一時帰国した際、銀座のバーでシャンソンを歌っていたら、
どこかで見覚えのある役者が声をかけてきた。


彼は「私」からマイクを受け取るや、同じ歌を英語で歌い出す。

意気投合して話しているうちに、その役者がバルテュスの鉛筆画を所有していることが判明した。
芸のお礼に画家から贈られたものだという。


「私」が画家であることを知ると、その絵をくれると言いだした。
宝の持ち腐れ、という思いがあったのだろう。


かくして、憧れのバルテュスは、「私」のものとなった。


ある日、ちょっとした出来心が頭をもたげた。
その鉛筆画が原画の写し(印刷物)でないかどうかどうか試してみたくなったのだ。

その絵の添え書き部分をそっと消しゴムでなぞってみた。


うっすらと消える線。
ああ、本物だった。


フランス語で書かれた「親愛なる市ちゃんへ」という添え書きはだから、
ちょっと今でも一部かすれている。。。



そんな告白文(上記は記事を噛み砕いたものなので、記事そのものとは異なります)が
先日の日経新聞「心の玉手箱」に掲載されていた。


「私」は、画家の小杉小二郎氏。
役者は勝新太郎さん。


そういえば、都美で開かれていたバルテュス展には、カツシンさんから画伯に贈られた着物の展示があった。
「イチさんへ」と書き込まれた絵もあった。


この二人の交友の恩恵を、小杉氏は、ちゃっかり受けたようだった。


記事後半にある消しゴム事件はともかくも、こんな思いがけないかたちで憧憬の念が通じ、
オリジナル画を入手できるなんて。


小説にしたらベタすぎるけど、それが事実となると
人生の浪漫を漂わせる。

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2014.09.23 Tue | Art| 0 track backs,
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