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ノルマンディーへの旅 / 印象派のふるさと ノルマンディー展
この地方に来ると、大気に敏感になる気がする。
フランス、ノルマンディー。

なんとも雲の表情が豊かだなぁ、と感じ入ったのも、
確かこの地だったと思う。

ふと見上げれば、雲の流れは速く、
肌に触れる湿潤な空気を感じた途端、
不意打ちのようにザーっと一雨やってくる。

空気の存在を思い知らせるような、気まぐれで変幻自在な天候。

刻々と変わりゆく大気感を描こうとした印象派の画家たちが
この地に魅せられたのも、必然だったのだろう。


ノルマンディーは、フランス北部。

クロード・モネのアトリエがあるジヴェルニー、
モネ「日の出・印象」が産み落とされたル・アーヴル、
数々の作家たちの手で、画布の上に繰り返し再現されたオンフルールの港、、、
など、全てこの地方。

映画「男と女」、「シェルブールの雨傘」の舞台となったドーヴィルやシェルブールなどもしかり。



現在開催中の東郷青児記念 損保ジャパン日本興亜美術館
「印象派のふるさと ノルマンディー展」に行ってきた。


海岸風景作品が並ぶ一角で、
四方を見渡してみる。


建物もない、人もいない、海と空だけから構成されるシンプルな画面なのに、
表情はさまざま。
選ばれた時間帯、天候がそれぞれ異なって、
画家によって好みや、力試しと定めたシーンは人それぞれ。


気に入ったのはアルベール・マルケ。
今ブリヂストン美術館でも2点ほど出ている。
強いインパクトはないけれど、なんとなく惹かれる作家だ。


「ル・アーヴルの外港」という題がつけられた海の光景の中、
一隻の商業用船舶が停泊している。
いわゆるリゾート地としての海岸風景や牧歌的田園地帯の絵とは一線を画し、
近代社会を映しているのだけど、硬質なメタリックな感じはなく、
ほのかなペーソスすら立ち昇る。


グレーのフィルターを通したような、沈んだブルーの諧調。
寒々とした中に、ぬくもりを感じるのは、ソフトなタッチのせい?


海を縁どる2本の平行線には、ガントリークレーンや街灯とおぼしき縦の線が突き刺さり、
手前側に女性のウエストのようなくびれたかたちの埠頭が続く。
右側にある格子状の橋桁は静かにリズムを刻み、
どことなく新鮮で、惹かれる構図。


行き交う人々はみな、素っ気ない黒い影。
けれどその中にひとりだけ、ちょっと丁寧に仕草が描き込まれた人物がいる。

手前の手すりにもたれ、背中を見せているその人影は、画家自身では?
埠頭の一番手前に位置取り、
今にも画面からはみ出しそう。
人生の岐路に立ち、一歩踏み出そうか、思案しているようでもあり。


媚びも気取りもなく、ジワジワ沁み入るような一枚だった。



ウジェーヌ・ブーダンの
「コードベック=アン=コーのセーヌ河」の静けさも気に入った。


ごくさりげない風景画。
人物はいない。
でも空へと上る煙が人々の営みを感じさせ、
水鳥がいて
水面に風景が映え、
寒色の中に温かさがある。


さらにブーダンの大型の作品も。
以前ブーダン美術館に行ったはずなのに、大きなサイズの作品の記憶がない。
そのせいで、今回出会った大胆なタッチの絵に意外性を感じた。

これまで見た浜辺の小作の数々では、人々は丁寧に描き込まれていると思い込んでいた。
でもそれは錯覚だったらしい。

小さい画布で微細に見えたものが、画面拡大により粗さが際立った、ということらしい。


また、最初のコーナーが、想像していた海の情景でなかったのも発見。
ロマン派たちが、神話などで馴染んできた廃墟に魅せられ
ノルマンディーを描いていたと知る。


その他デュフィもあったけれど、南仏の陽光溢れる景色と明らかに描き分けられていた。

様々な作家による海に反射する光の表情もあれこれ見た。

ターナーの偉大さを再認識したわけだけど。

そうそう、ターナーのエングレーヴィングも今回展示されていて、素晴らしかった。

白黒なのに・・・
光を反射する水の繊細な質感まで伝わってくる。




(写真:オンフルール旅行にて)



(写真:ル・アーヴル出張にて、マロー美術館)


今回の展覧会、さまざまなノルマンディーの顔であふれていた。


http://www.sjnk-museum.org/program/current/2139.html

展覧会名: 印象派のふるさと ノルマンディー展 ~近代風景画のはじまり~
会期: 2014年9月6日(土)~11月9日(日)
月曜休館(ただし祝日は開館、翌火曜日も開館)
会場: 東郷青児記念 損保ジャパン日本興亜美術館
〒160-8338新宿区西新宿1-26-1損保ジャパン日本興亜本社ビル42階
閉館時間: 午前10時-午後6時(金曜日は午
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2014.09.17 Wed | Art| 0 track backs,
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