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サントリー美術館「耀きの静と動 ボヘミアン・グラス」展
先日頂いたメールで評価が高かった「ボヘミアン・グラス」@サントリー美術館。
興味が湧いていたところに、天からの啓示が・・

行きつけのスーパーで、鑑賞券とワインテースティングがセットになった企画を発見。
なんたるグッドタイミング。
さっそく申し込み、行ってきた。


展覧会の方は、SSさんが教えてくれた通り、ボヘミアングラス=無色透明のカットグラスのイメージを裏切る内容だった。

技法の多様性もさることながら、色についていえば、完全に透明の器はごく少数。
表現の多様性を求め盛んに着色へと向かった姿勢も感じられた。

第3期には、完全に透明度を殺してしまい、陶器と見まごう作品も。
第4期には、ウラン(!)を使用したメロンソーダさながらの真緑の作品もあり、
無色からの脱却を図りつつも、透明度を極めることに精を出した痕跡も。


第3期となるバロック・ロココ時代はまだ技術的に発展途上とうかがわれるものの、
ガラスの間に金箔を入れて色を付ける(ゴールドのサンドイッチ)といったチャレンジ精神がふんだんに見られ、
瑞々しい感性に溢れていて円熟期よりも気に入った。

イエスと聖アントニウス、逆側に聖レオポルトをあしらった作品など
第2期(お茶目な絵付けもそれはそれで愛嬌があったが)に比べて格段に繊細となり、第4期には成熟の極みへと。


第4期では、最後の晩餐文蓋付ゴブレットに吸い寄せられた。
煌びやかな地に、薄く浮かび上がるレオナルド・ダヴィンチの最後の晩餐の構図が、
曲面を利用して奥行き感を伝えつつ佇んでいる。

目を凝らすと、イエスの背景の窓ガラス部分が一部貫通しているように見えた。
ゴブレットなので側面が穴あきということはなさそうだけど、どう見ても先が見通せる。
もしかしたら、この部分は薄手のため、欠損し、結果的に窓部分が開いたのだろうか?

精緻な技に裏打ちされ、この上なくはかないガラスという素材の上に再現されたマスターピース。
極上の宝石のような輝きを放っていた。


すぐそばには、見た途端、ラファエロの椅子の聖母とすぐにわかる作品も。
宗教画がガラスの世界にも盛んに反映されたらしいこの時代。
ルネサンスの巨匠たちの席巻ぶりがうかがわれる。


エミール・ガレを彷彿とさせるアールヌーボーの時代を経て、現代アートのオブジェとなると、
もはやボヘミアンのイメージを変形させることに向かっているかのよう。



冒頭行われた展覧会レクチャーでは、7つに区分された時代ごとの特徴の説明がなされた。
これも大いに鑑賞の一助となった。下記に要約。

1.中世後期(14~15世紀): 突起装飾(肉を素手で食べる時代ゆえ、滑り止めが必要だった)
2.ルネサンス&マニエリスム(1550~1650年頃):無色透明、エナメル絵付け、肖像画などのエングレーヴィング
3.バロック&ロココ(1650~1790年頃):基本無色透明、エングレーヴィングがベース
  ゴールドサンドイッチ、黒エナメル彩など
4.古典主義、帝政様式、ビーダーマイヤー様式、ロココ・リヴァイヴァル(1800~1865年頃):
  カラフル、どっしりとした形、カットやエングレーヴィング使用
5.歴史主義(1860~1890年頃):過去の様々なスタイルからインスピレーションを得てシンプルさへの回帰
6.アール・ヌーヴォー、アール・デコ、機能主義(1890年頃~第2次世界大戦):機能主義、曲線(ヌーヴォー)、直線(デコ)
7.1945年から現代まで:オブジェアートが多彩に


第1期、14-5世紀・中世後期の展示は、フルな形で残っているものはほとんどなく、
それより800年ほど前、古墳時代にザクザク出土した埴輪などと比べ、ガラスの繊細さを改めて痛感。


展示内容は意外性と多様性に富み、スッキリした構成ゆえ頭であれこれ考えずに済み、展示物に集中することができた。
好感が持てる内容だった。


*****

展覧会名: プラハ国立美術工芸博物館所蔵 耀きの静と動 ボヘミアン・グラス
会場 :サントリー美術館
東京都港区赤坂9-7-4 東京ミッドタウン ガレリア3階
会期 :2014年8月2日(土)~9月28日(日)
開館時間 :10:00~18:00 (金・土は10:00~20:00)
※9月14日(日)、9月22日(月)は20時まで開館
※いずれも入館は閉館の30分前まで
休館日:火曜
※9月23日(火・祝)は18時まで開館
http://www.suntory.co.jp/sma/exhibit/2014_4/display.html



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●「ボヘミアン・グラス」展を、ワインとセットで味わう
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2014.08.27 Wed | Art| 0 track backs,
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