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消えた言葉・生き残った言葉
先日図書館で中公新書の「ラテン語の世界」を借りてきた。

真剣に勉強するつもりもないけれど、
パラパラとめくり、気に留まったところだけ読んでみる。

完全に消滅したラテン語がある一方で、現在も脈々と生き続けるものがある。
それらが対になった言葉であろうとも、片方だけが死に絶える、そんなケースもある。


例えば、「Bellum」= 戦争と 「Pax」= 平和。

現代スペイン語やフランス語で戦争は、Guerra,Guerre、英語ではWar。
つまりBellumという言葉は影も形もない。

理由が興味深い。
ローマ帝国を滅亡させたゲルマン部族が、ローマという国家とともに、”戦争を象徴する言葉”も放逐したという。


語幹を共有する「好戦的」=Bellicose、「交戦中の」=Beligerentなどの言葉があるが、それらはBellumが生き残った結果でなく、中世になってから、ラテン語をもとにして後付けでできた人造語なのだとか。


一方、平和を表すPaxは、フランス語の平和Paixや英語のPeaceに引き継がれたのみならず、取決めというニュアンスも引き継がれ、Pactといった言葉に残っている。

イタリア語のPagareや英語のPayといった「支払う」、という単語も、この取り決め=決着をつける、というニュアンスから
派生した。

Paxという言葉が途絶えなかったのにも、理由がある。
キリスト教の時代に、神との宥和としてこの言葉が使われたそうだ。


戦争と平和、2つのラテン対義語の行く末は、かくして明暗が分かれた。



ラテン語の世界―ローマが残した無限の遺産 (中公新書)ラテン語の世界―ローマが残した無限の遺産 (中公新書)
(2006/02)
小林 標

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2016.08.22 Mon | Language| 0 track backs,
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