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やきものとかごの芸術 @菊池寛実記念 智美術館
◆ 「陶の空間・草木の空間 ―川崎毅と関島寿子」展

先週末は、菊池寛実記念 智美術館へ。
今回の展示は、「陶の空間・草木の空間」。


写真 (43)


タイトルが物語る通り、“やきもの”と“かご”という異なる素材を扱う2人のアーティストの作品を、
“空間”という切り口で統一感をもたせつつ紹介している。

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川崎毅氏の作品は家々からなる街を表現したものがメイン。
小さな空間に、表情の違う街並みが次々現れる。

ギャラリートークによると、家という造詣を手掛けることになった理由は、単なる四角や丸といった形と違い、
雑音や縮尺度の実感など、鑑賞者側にプラスアルファの情報が加わるからだという。

確かに、実際の家という具体的イメージを、オーバーラップさせながら見ている自分がいる。


一口に街といっても造形はさまざま。

縦横に家の塊がひしめき合い、家の形を借りたぶつかりあいだったり、
バベルの塔よろしく上方へと延びる箱の集合体だったり、
四角い箱に街を閉じ込めて、穴や隙間やすりガラスから漏れこぼれる光が街頭・太陽・月の灯に見立てられるものや、
孤高な家を置いた荒削りな坂道の造形だったり、
ジオラマのような設定に、個性的な入道雲が湧き上がるもの、などなど。


次々に新しいフォルムが挑戦的に展開し、自由闊達な小宇宙が魅力的。

ゴテゴテとした装飾はそぎ落とされ、素っ気ない角ばった面体でありつつも、
人工的でない荒削りな表面に素朴な人肌を感じる。

『家のある所』では、かつて訪れたアッシジの長くゆるやかな坂(写真)を思い出し、

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『崖の上の建物』では、07年に行ったドーヴァーの白い崖(写真)が脳裏に浮かぶ。

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一方、もうひとりのアーティスト関島寿子氏のかごのシリーズは、
様々な編み方をされた草木たちが茶色い地味な色でありつつも、鈍い輝きを放っている。

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「なわの記録」では、縄に印を施したり、或いはところどころ編上げの方向を変化させつつ編み上げたりして、作家が記録という息吹を吹き込んでいる。

関島氏の作品は偶発的な完成品ではなく、確固たる頭の中の完成図をもとに忠実につくりあげていると聞いて驚く。

イメージに近づけるため素材をコントロールする意思がそこにはあって、
我々が眼にしているのは素材を気ままに編んだ結果ではなく、思考の結果ということ。


また、素材の草木は庭で採られた植物ということで、限りがある。
丹念な編み目からは、作家さんの慈しみが立ち昇っている気がする。


そんな思い入れは、タイトルの付け方からも感じられた。
「なわの記録 IIV」は、「Re-cord IIV」。
記録という”Record”と、なわ”Cord”の掛詞。
なわを依りなおしつつ記録されていく、そんなニュアンスを感じる。


細い茎のような素材が束ねられ、ところどころ記録のような印を施されつつ編まれている作品もあった。
形のいい曲線を描きつつ、こんもりと柔らかいこの作品のタイトルは、「束の間」。

「つかのま」、とも「たばのあいだ」とも読める。
英文タイトルを見ればどちらか判別つくかな?と思って確認。
すると --- 「Bound to continue」。

面白いことに、和文のみならず、英文でも2通りに読み取れる。
Bound to=決定づけられている、として、「連続する宿命になっている」と読むか、
Boundを、縛る=Bindの受動態として、「連続するために縛られている」と読むか。


4通りのニュアンス全てを当てはめてもいいような・・・
束ねられていく草木のように、作者の様々な思いが絡み合っている。


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ちなみに、この展覧会のことは以前からチェック済みで、
アーティストトークが開催される7/26(土)か8/30(土)にうかがうつもりでいた。
けれどたまたま両日とも都合がつかず、残念に思っていた。
制作者の生の声が聞かれるなんて、滅多ないチャンスだったのに。

ガッカリしていた矢先、ブロガー内覧会の機会があると知り、こちらに参加。
夫は普通にチケットで入場して、気ままに鑑賞していた。


一定のテーマをもとに様々な造形・見せ方に挑戦する様子が見られた今回の展覧会。

おふたりの作品はともにドカーンとした派手さはないのだけど、気持ちの入った作品ばかり。
そうした真摯な姿勢が心に響く展覧会だった。


*展覧会の写真については、ブロガー内覧会の機会に、写真撮影許可を受けています。

*****

展覧会名:陶の空間・草木の空間 ―川崎毅と関島寿子 展
場所:菊池寛実記念 智美術館
日程:7月12日(土)~ 9月28日(日)
休館日:毎週月曜日(但し7月21日、9月15日は開館)、7月22日(火)、9月16日(火)
URL: http://www.musee-tomo.or.jp/exhibition.html


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2014.08.18 Mon | Art| 0 track backs,
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