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日常風景 * 写真・文章 Copyright@”Mas Ciclismo Diary”
モデナの大聖堂のカインとアベル続きとノアの箱舟
(昨日の続き)
カインとアベルの浮彫は、あれでおしまいかと思ったら、別のパネルに最後の場面が彫られていた。
写真左側だ。


P1590217.jpg


盲目のレメク(Lamech)が、矢を放った時、それはカインの喉元に突き刺さり、彼は絶命してしまう。
弟殺しの罪を背負いつつも、命をもって償うことはせず、神から追放の命を受け、生き残ったカインだったのだが。


P1590231.jpg



とはいえ、実は旧約聖書では、カインが殺されたとは明記されていない。
モデナ大聖堂の解説によると、後世=中世の解釈によりこの部分は追加されたとのこと。
だからこの部分は別パネルになっているのではないだろうか。

聖書中で具体的言及はされていないものの、このように解釈されたのにはワケがある。

カインとアベルの下りが書かれた創世記の4章の続きには以下の言及がある。

1.4章15節:
«Chiunque ucciderà Caino, egli subirà la vendetta alla settima generazione» (Gen 4,15),
(モデナ大聖堂のHPによるイタリア語訳)
「カインを殺す者は誰であれ7倍の復讐を受けるであろう」


2.続く4章17-18節からは、以下が分かる。
レメクはアダムとイブから数えて7代目に当たる。
(カインはアダムとイブの息子。)


つまり、具体的にカインが殺された言及はないものの、中世の解釈では、
上記の節を根拠に、カインはレメクに殺害されたとされたようだ。


カインは暗殺されることを避けるために神により印をつけられていた。
しかしレメクが盲目で、弓矢を射る時その印が見えなかったところがミソとなる。


そして本パネルの場面はいきなりノアの洪水に移る。
水が引いて、方舟から人々が出てくる様子がわかる。
方舟は、バジリカの形になっている。


ストーリー展開にやや唐突感があったけれど、よく考えれば、ノアは、レメクの子なのだった。


P1590232.jpg


このモデナの大聖堂の正面パネル、どれもいきいきと描かれているし、衣服の襞表現もよい感じ、
表情が人間的で感性が瑞々しい、などと思っていたのだが、
金沢百枝先生のキリスト美術を楽しむのサイトによると、レメクのカイン殺害シーンなどは、
描写の詰めが甘いとのこと。


中世の人の技術をそこそこに見ていた自分を反省。
確かにローマ、ギリシャの技巧と照らせば、もっと上を要求してもしかるべきか。


さらにもうひとつ気づいたこと。
上述のキリスト美術を楽しむのサイトにも、偶然このモデナの聖堂のカインとアベルの部分の写真が出ていたのだが、
これを見ると黒く煤けている。

私が見た時は真っ白だった。
最近洗浄などの修復が行われたようだ。



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・ サンタルカンジェロ・ディ・ロマーニャで見た至宝のような博物館
・ 終章 サンタルカンジェロ・ディ・ロマーニャの家並み


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2014.07.15 Tue | Travel-Italy| 0 track backs,
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