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不思議な動き キネティック・アート展 -動く・光る・目の錯覚-  2014年7月8日~8月24日   @損保ジャパン東郷青児美術館
損保ジャパン東郷青児美術館で開始した「キネティック・アート展」。

Kineticsという言葉には仕事で遭遇したことがあるけれど、いわゆる動力学なわけだから、
モーター仕掛けのようなものを想像した。


確かに電動ものもあった。
しかし、目の錯覚や、自分自身が動くことにより動いて「見えるもの」 も含まれていた。

さらに現代アートの粋を集めた展覧会というよりも、ある意味レトロ、
かつて最先端を行っていたであろうと思われる内容なのだった。


というのもこのキネティックムーブメント、1920年頃から発生し、
1950-60年に隆盛になったそう。

20世紀の抽象芸術に動きが加わり、アートとテクノロジーが接近した上の産物、そんな解説もあった。


ただし、展覧会を見て気づくのは、そのアートとテクノロジーを結び付ける仲介役として彼らが選んだものは
いわゆる純粋な機械でなく、デザインという手作業であったということ。

あくまでもアートという手技に拘った点に好感をもった。

無限のテクノロジーを本気で使うより、デザインというある程度限られた世界の中で限界に挑戦するからこそハードルは高いわけで、
その中で発奮したアーティストたちの悪戦苦闘ぶりが感じられる。


「制約があるときのほうがいいものが生まれる」、
それは文学について須賀敦子さんが言った言葉であり、
建築について陣内秀信さんが語った言葉だ。



例えば、ペインティングのみで遠心力の渦に巻き込まれそうな体感が得られるこういった作品や、

* 以下写真は、美術館より特別に撮影の許可を頂いた上で撮影・掲載しています。

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フランコ・ グリニャーニ 《空間のトラウマ 6》 / 1965年




蚊取り線香のような渦巻きと直線を二層に組み合わせることで、自分が作品の前を動くと模様が変わるもの。

この作品なんかはキネティックという言葉のもつハイテクな響きに相反して、なかなか素朴。
手作りのぬくもりを感じる。

デジタル化前のアナログの時代。
作家の人柄までもがたちのぼるような、そんな有機的な雰囲気がある。


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エンニオ・キッジョ 《線の干渉 0(正方形+円)》 / 1966年 



こちらは、実際にボタンを押すとオブジェが動き出し、動き自体は単純だけど、
うねった鏡に映る線模様の妙が動きにアクセントを加えるもの。

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ジュリオ・ル・パルク《赤い横縞柄の曲技的な形》 / 1968年



スクリーン上に映る模様が刻々と変形していくこの作品は、
デジタル時代到来の予兆を感じさせる。

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グラツィア・ヴァリスコ《 可変的な発光の図面 ロトヴォド+Q44》 / 1963年



動きのあるものは、写真では無理。
公式サイトの動画が一番いい。





私がことハマったのはこのビアージの一連の作品。

歩くと模様も動く、というのは他の作品たちと同じながら、その動きのビミョウさが秀逸。

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アルベルト・ビアージ《ジョットの「O」>円形 の視覚の動力学》 / 1962


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作家名・作品名・制作年は同上


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作家名・作品名・制作年は同上



上記の丸だけでなく、崩れた四角形もある。

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アルベルト・ビアージ《傾斜 した動力学》 / 1965


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作家名・作品名・制作年は同上



コスタの作品は、ビアージのものほどぐにゃぐにゃした七変化ぶりではないけれど、
凹凸をつけた表面が丹念につくられていて、
色の組み合わせによりかすり模様の上下が徐々に反転していく様が絶妙だった。

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トーニ・コスタ《交錯》 / 1967年、


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作家名・作品名・制作年は同上


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作家名・作品名・制作年は同上



こちらはスイッチで明るくしたうえで、手動で回す。

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グルッポMID《円形マトリクスの発生装置 2交錯》 / 1966年



あら不思議。
回るうちに、コーヒー豆のような形になった。
えー?なぜ?なぜ?

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作家名・作品名・制作年は同上



洗練されているこちらのメタリックな一品。
上下左右対称。
五分五分、とはなるほどのタイトル。

表面はスムーズなのらしい。
極限まで研磨した末に、凹凸ができたかのように見える。

IMG_2181.jpg

ゲトゥーリョ・アルヴィアーニ《五分五分》 / 1967年


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作家名・作品名・制作年は同上



結局、錯視など、人間のもつ五感に錯覚を与えて欺くことを追及したのがキネティックアートだったのか。

いや、というよりも、デジタル台頭前、高度なマジックを使わずに、
図工的手わざの過程だけで生み出せる”綾”を駆使して人間の五感をどこまで作為的にナビゲートできるか、
そんなことに挑戦した野心家たちのアートだったのでは、、、
そんな思いを胸に美術館を後にした。



***


不思議な動き キネティック・アート展
-動く・光る・目の錯覚-
開催概要
 
会   期 : 2014年7月8日(火)~8月24日(日)
月曜休館(ただし7月21日は開館)
会   場 : 損保ジャパン東郷青児美術館
〒160-8338新宿区西新宿1-26-1損保ジャパン本社ビル42階
開館時間 : 午前10時-午後6時(入館は午後5時30分まで)
観 覧 料 :
一  般:1000円(800円)
大・高校生:600円(500円)   ※学生証提示
シルバー(65歳以上):800円  ※年齢のわかる物を提示
中学生以下無料         ※生徒手帳を提示
障害者無料
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2014.07.10 Thu | Art| 0 track backs,
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