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日常風景 * 写真・文章 Copyright@”Mas Ciclismo Diary”
『ミラノ ポルディ・ペッツォーリ美術館 華麗なる貴族コレクション』 2014年4/4-5/25 @ BUNKAMURAザ・ミュージアム
このほど、ピエロ・デル・ポッライウォーロの「貴婦人の肖像」を目玉に、ミラノ ポルディ・ペッツォーリ美術館から
コレクションの一部がやってきた。
まずー


★ ピエロ・デル・ポッライウォーロとは?

個人的にポッライウォーロというと、以下の2作品が心に残る:

・「アポロンとダフネ」

いにしえの芸術家たちがこぞって描いたギリシャ神話を題材にしたもの。
(アポロンに求愛され、逃げて逃げて、遂に自らを月桂樹の木に変幻させてしまったダフネの物語。)
WIKIの画像

英ナショナルギャラリーにあると聞いたものの、幾度となく訪れたにもかかわらず
一度も見た記憶がなかった。
しかし、2012年ロンドン五輪で滞在時、セインズベリー棟でやっと発見。
なんとまあ、小ぶりの1枚で、これは見逃してしまうのも仕方ないと思った次第。


ボルゲーゼ美術館のジャン・ロレンツォ・ベルニーニの彫刻「アポロンとダフネ」はダフネの涙がせつないが、
こちらの方は、両手がむくむくと大ぶりの枝になり、ファンタジーとちょっとゾクッとするような感覚が混ざり合う。


・サンセバスチャンの殉教

これまたナショナルギャラリー(以下NG)所蔵作品。
初めて目にした時、マンテーニャの作品かと思った。

横たわる人物像を足元・斜め上方の角度から描くマンテーニャの「死せるキリスト」の人体表現の試みと相通じるものを感じたためだ。

私が行った時はNG第57室にあり、その日のギャラリートークのテーマとして抽出された。
WIKIの画像

以下、上述ギャラリートークで本作品に関して聞いた内容。

・円錐形(Cone)の構図で描かれた。
・周辺人物を左右対称に配置し、同じ人物を対に描いている。
・テンペラから油絵へ移行した後の絵
・理想化(Idealise)するよりも徹底したリアリズムをもって描いている
・この時代、フランドル絵画の影響が見られる(脚など、細密描写)


★ プロファイルを描いた作品といえばー

ポッライウォーロの「貴婦人の肖像」は、横顔いわゆるプロファイルを描いており、
この構図はあまた見てきたけれど、個人的に印象的なプロファイルはアレッシオ・バルドヴィネッティの「婦人の肖像」だろうか。
WIKIの画像
やはり英ナショナルギャラリーにあり、袖の模様がインパクトがあり、女性の個性が存分に表されていると思う。


さらに、是非見てみたいのは、
ピエロ・ディ・コジモの「シモネッタ・ヴェスプッチ」。
WIKIの画像
蛇を首に巻いて超然としている姿が妖艶でもあり不気味。
ボッティチェリも描いたこの人物を、蛇を用いて自殺したクレオパトラと重ねていると聞く。

* * * * *

★ 展覧会全体の印象

さて、前置きはこの辺にして、本展覧会の全体の印象は好ましかった。

ペッツォーリ美術館はジャン・ジャコモ・ポルディ・ペッツォーリ氏の邸宅をベースとしたため、
内装と合わせて見目麗しい珠玉の美術館だそう。
詳しくは下記専用サイトに掲載されている。
http://www.bunkamura.co.jp/museum/exhibition/14_pezzoli/museum.html


氏は武具のおびただしいコレクションをした人で、
写真で見ると、一部屋丸ごと武具で満たされた様子は壮観。

以前の邸宅の武具室の様子が展示会場内に巨大な画像の壁として設置されており、
我々はその中に入ったような感覚をちょっぴり味わえる。
本美術館の特徴を存分に伝えるための演出が心憎い。

そうした武具や絵画だけでなく、ベネチアングラス(輸送時苦労したでしょうに!)や金細工の工芸品も展示されていた。

東京では前ルネサンス期~ルネサンス期のイタリア絵画に触れる機会が少ないので、
久しぶりに堪能できて幸せ。


★ 個々の作品一口コメント

01 ジュゼッペ・ベルティーニ《ジャン・ジャコモ・ポルディ・ペッツォーリの肖像》
描いたベルティーニは、ペッツォーリ氏の友人らしい。
白髪まじりのひげや、やや生気のない目など、それほど理想化していない。
(確か死後に描かれたとかいう話だっけ?)
ベルティーニはペッツォーリ美術館初代館長となった人物なので、
この絵は美術館創設の記念碑的な意味合いももつ。

10 パオロ・リッカルディ バルブータ《イタリアの兜》
武具収集家とはいえ、水彩画で描かれた兜まで収集していたとは。
マニアック・・

13 ベルナルディーノ・ルイーニ 《カルヴァリオへの道》
ぼかし法にダヴィンチの影響が見られる、と書かれていた。いわゆるスフマート法のことだ。
ただし、ダヴィンチの作品ほど人物に丸みを与えてはいない印象で、
完全マスターという感じはしなかったのだけれど。
キリストのギザギザの切り傷が、まさに茨の道といった様子。

16 レオナルド・ダ・ヴィンチの工房 《盾をもつ戦士》
小さな作品。
恨めし気な表情に人間味を覚える。
ダヴィンチはペッツォーリ美術館があるミラノに滞在したことがある。
その間スフォルツァ像をつくろうとして未完に終わったことが展示会場説明書にも書かれていた。
確か巨大すぎて支えるだけの構造ができなかったのではなかったか。

18 ベルナルド・ダッディ 《三連祭壇画》
右に磔刑図=足からまっすぐ地に向かって血がプシューと滴る様子が目を引く。
磔刑図の血の描き方に、何故かいつも目が行く私。

24 フランソワ・シュピーリング カーレル・ファン・マンデル一世 タピスリー
救出と別れがテーマ。
美女と一角獣シリーズのようなミルフルールのような草花。
画面の奥行・広がりを駆使してストーリーを散りばめている。

28 グリゼルダの画家 《アルテミジア》
29 ベルゴニョーネ 《アレクサンドリアの聖カタリナ》
上記2つが対に見立てられている。
聖カタリナはアトリビュートの車輪付きなので理解できるとして、
アルテミジアはスラリとした美女が杯を持っている図の謎解きが解説を読まないとわからず。
画面左に建設中の墓を入れることにより、夫の偉業をたたえて霊廟の建設を指揮した様子を表し、
中央の杯には、夫の灰と涙が混ぜ合わさっている由。

31 ピエロ・デル・ポッライウォーロ 《貴婦人の肖像》
布の金の細かい刺繍の質感!
うなじから背筋に掛けたすっとしたラインが凛々しい。
黒い輪郭線を用いている。
テンペラだ。
ハッキリとは描かれない背景、グレー基調の抑えめの色により、静かで落ち着いた、心安らぐ作品。

36 サンドロ・ボッティチェッリ《死せるキリストへの哀悼》
いわゆるピエタの絵。
リストでは1490-1495年頃となっているけれど、1490年よりは遅いのでは。
サヴォナローラの影響を受けた後の絵に写るから。
英NGにはボッティチェッリの後期の絵画が難点かあり、最初見た時仰天した。
悪魔祓いの絵だったか、おどろおどろしくてウフィッツィで見た華麗な女性像とは大違い。
後年彼はサヴォナローラに感化され、次第に神秘主義に走ったと知った。
このピエタの絵は、ずっしりと折り重なるように人体が組み合わされた硬直した群像で
色合いが好きになれない・ピュアなものを感じられない。

39 クラナッハ 《洗礼者聖ヨハネ & 無原罪の御宿りの聖母と幼子イエス、2人の天使》
素晴らしき細密画。
2枚の絵のうち片方にクラナッハのドラゴンサイン(ドラゴンのような署名)が入っていると解説書。
でもよーく見ると、もう片方にも入っている。

41 祈祷書形時計
裏を見ると、受胎告知と磔刑が描かれていた。

44 ピントリッキオの工房《聖母子と幼い洗礼者聖ヨハネ》
円形の板に置かれたテンペラの色合いが好き。
聖母を中心にしたキリストとヨハネの構図の中に緊密な意思の疎通が感じられる。

45 ラファエッロ・サンツィオに帰属 《フランチェスコ会派聖人たちが描かれた宗教行列用十字架》
もっとも初期の作品の由。(解説によると、ペルジーノの弟子時代の襞表現が見られる)

49 パルマ・イル・ヴェッキオ 《コルティジャーナ》
ヴェロネーゼの師匠といわれる人物だったはず。
ダヴィンチの師匠ヴェロッキオとよく混同してしまう。
須賀敦子さんの本で知ったコルティジャーナ=高級娼婦。
肝っ玉のすわったおおらかさを感じる。

56 カナレット 《廃墟と古代建造物のあるカプリチョ》
カナレットというとヴェネツィア、そしてカプリチョ。
ターナーともやや違うのだけど、独特の空気感。
たくさん見ると、どれも似て見えて、大体後の方は飛ばしてしまうけど、1つだけだとじっくり見られる。

その他何気にティエポロも。

* * * * *

公式サイト:http://www.poldi2014.com/
展覧会名:ミラノ ポルディ・ペッツォーリ美術館 華麗なる貴族コレクション
会期:2014年4月4日(金)-5月25日(日)  開催期間中無休
開館時間:10:00-19:00(入館は18:30まで)
夜間開館/毎週金・土曜日は21:00まで(入館は20:30まで)
会場:Bunkamura ザ・ミュージアム 渋谷・東急本店横
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2014.04.06 Sun | Art| 0 track backs,
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