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リミニ/2世紀の外科医の家 その1 患者の落書を読んでみる
古代ローマ時代に栄えたリミニには、2世紀の外科医の家などというなかなかレアな遺物がある。
実はそれを知ったのは、最初のリミニ旅行から帰国した後だった。

イタリア美術を知る上でバイブルとしている宮下孝晴先生の美術書「北イタリア」のリミニの章には、
ほかの遺跡や中世の名品は載っているのにこの外科医の家は掲載されていなかったのだ。

本書が書かれたのは2000年。本遺跡公開は2007年、なのだった。


今回の旅の目玉として、イタリアに到着したその日、さっそくこの外科医の家へと向かった。

遺跡は、広場の中心にあり、ガラス張りの窓で囲まれていた。


P1580196.jpg



外科医の診察室と入院ベッドは2間続きになっている。
なんでも外科医はギリシャからきた相当優秀な人物だったようだ。

家のあちこちからギリシャ語や、ギリシャ的な名前Eutychesという刻印が見つかっているため、
家の主である外科医の名前はEutychesだった、というのが定説。


P1580243.jpg



部屋の床の装飾など見事で、ざっと家を眺めるだけでも、なかなか感動なのだが、
さらにピンポイントで楽しめる秘密がある。

入院室の壁に、患者の落書きが見つかったといい、そこには、
「Eutyches homo bonus」と書かれていたそう。

「Eutyches(=医者の名前)は、いい人です」という意味。


しかしいくら目を凝らしてもそれは見つからない。
くだんの壁の落書きはどこにあるのか、受付の人に聞くことに。

英語は通じなさそう。
はて、「落書」きってイタリア語でなんていうんだろう。
英語のグラフィティの綴りがGraffitiで語尾が「y」でなく「i」であることや、響きがイタリア語っぽいことから、
試しにそのまま使ってみたところ通じた。
(どうやらGraffitiって、イタリア語が語源のよう。)

果たして回答は、出土後いまは近接の博物館に保管されていると。


見物後、さっそく博物館へ。
そしてそれがこれ。

4行ほどのエッチングのように彫った落書きが肉眼でもしっかり見える。

上2行に
Eutyches
homo bonusと書かれているというので、確認してみる。


P1580304b.jpg



Eutyches
homo bonus

のうち、
上から
YCH
MO BONU

というのがちゃんと確認できる。

P1580304a.jpg



この落書き自体は2世紀半頃のものらしい。

この医師が、しっかり診療・治療していた様が、遥か1800年近い後世にまで伝えられるとは、
何気なく書かれたであろう落書きも、こうなるといっぱしの史実書同様の価値を持ち得る、、、
そう考えるとなんだか感慨深い。



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2014.06.12 Thu | Travel-Italy| 0 track backs,
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