FC2ブログ
日常風景 * 写真・文章 Copyright@”Mas Ciclismo Diary”
モデナのドォーモ正面に彫られたアダムとイブ
ヴィリジェルモの彫刻に彩られたモデナの大聖堂。
例によって写真や図録の類は見ないようにしていたので、当日のお楽しみだった。

さて、どんなモチーフかな、と思って見れば、アダムとイブだ。
2人が禁断のリンゴを食べたがゆえに楽園を追放される”この彫刻”で、それは明らかだった。



P1590226.jpg



情けない2人の様子がよく出ていて、
15世紀にマザッチョが描いた「楽園追放」は、これを踏まえているのでは、と思うほど雰囲気と構図が似ている。
イヴが一歩先を行き、アダムが手で顔を覆う様子とか。
(但し、マザッチョの方は両手で覆い、こちらは葉っぱで隠しているため顔を覆うのは片手。)


まずアダムとイヴの浮彫は、向かって左右にある半円アーチの開口部上部にある。

P1590226.jpg




まずこちらがその1。(上記の楽園追放の場面は、”その2”のパネルの方)
4場面から構成されている。

P1590220a.jpg




最初は、2人の天使に支えられた神が、本を開いている場面。
生命は永遠なり、などと書かれているそうだ。(モデナ大聖堂の解説より。)

P1590220.jpg



次の浮彫は、私はパッと見た時に完全に誤解したのだけど、キリストの洗礼かと思った。

でもその隣の浮彫(イヴ誕生の図)を見て、アダムの創造の場面だと気が付いた。

アダムの頭に手を載せる創造主。
人間第一号が目覚める瞬間。

確かによく見ると右端にADA・・(ADAM)というのが読める。


P1590220b.jpg



お次は、一時期流行った一発芸の「幽体離脱」みたい!と思わせる構図。
寝ているアダムの肋骨からイヴが誕生するという有名なシーンだ。

望遠鏡で眺めながら、思わず笑みがこぼれた。
よっこらしょ、っと肋骨から”分化”して誕生したイヴが超写実的でありながらとってもお茶目。

それぞれの後ろに、EVA(イヴのこと)、ADAMという文字。

足元に鱗のように波打つ水が彫られ、水の起源も表されている。

P1590220c.jpg




これも見事。
禁断の果実をちょっとマヌケな表情でむしゃむしゃ食べるアダム。

蛇に誘惑されるイヴを表現するのに、蛇の口からリンゴを取り出すという手法をとっている。
(イヴがやたら男っぽいのはなんとかしてーと思うけど。)

誘惑に負け、堕落した瞬間をとらえた作品。
これを機に、神から見放される。

そしてこの瞬間 羞恥心が芽生えたことを表すためなのだろう、木の葉で恥ずかしい部分を隠している。
芸が細かいのだ。

P1590221.jpg




さて、右手に移ってその2。
こちらは3つの場面から構成。

P1590219g.jpg




最初は、創造主の前で一応反省のポーズをとる2人。
創造主は彼らを指さし、もう片方の手には、創世記3.8、、などと書かれた(但し読めたワケではない。モデナの解説によるとそういうことらしい)巻物を持つ。

悔恨の表情、というより、あれ?やっちゃったぁ、ボリボリ頭を掻きつつ、スっとぼけた顔だけど。


P1590225.jpg




入り口を守る智天使に剣で威嚇され、2人は泣きながら楽園から追放される。
(さきほどの浮彫)

つくづく、これは見た瞬間にそれとわかる。楽園追放以外の何物でもない。
天使の羽が丁寧且つ繊細に彫られている。


P1590226.jpg




最後のシーン。
木を植え耕す2人。
贖罪のために、労働が課せられたのだ。

キリストっぽいアダム。

更に、何か変だな、と違和感を感じてその理由を考えてみれば、
羞恥心を知った2人は、ここで衣服をまとっているのだ。

前の彫刻と違い足の指が彫られていないので、靴まで履いている。


P1590227.jpg




2枚の浮彫を崇めながら、しばし陶然。
創世期のストーリーを完璧に細部まで掬い取っている。
表現方法は素朴で洗練されてはいないけれど、感性は研ぎ澄まされている。

たった2つのパネルを見るだけでも、ワクワク楽しめて、それなりに時間もかかる。
毎日眺められるモデナの人たちが羨ましい。



* * * * *

◆ イタリア/エミーリア・ロマーニャの旅 エントリー一覧:

・ ラファエルの故郷ウルビーノにて ラファエルを見守る父の像を発見
・ ハイライトはウルビーノにあるラファエロの生家
・ ウルビーノの城門に上る
・ ウルビーノの画材屋さんで見つけたこんな演出 vs 秋葉
・ ウルビーノのドゥカーレ宮殿

・ リミニの円形闘技場
・ リミニ市立博物館の実力
・ リミニ/2世紀の外科医の家 その1 患者の落書を読んでみる
・ リミニ/2世紀の外科医の家 その2 出土されたガイコツは
・ リミニ/2世紀の外科医の家 その3 再現編
・ リミニとウルビーノ/マラテスタ寺院と国立マルケ州美術館の十字架像

・ サンマリノ共和国・グアイタの砦で石に書かれた署名探し
・ サンマリノ共和国・1970年台まで刑務所だったグアイタの砦
・ サンマリノ共和国・眺める人々
・ サンマリノ共和国・衛兵交代
・ イタリア/エミーリア・ロマーニャの旅 サンマリノ共和国・街の至る所に3つの塔

・ モデナのドォーモの浮彫 序章・ モデナのドォーモへの道
・ モデナのドォーモの説教台に描かれた最後の晩餐
・ モデナのドォーモ正面に彫られたアダムとイブ・ モデナの大聖堂壁面に描かれたカインとアベルの物語(前半部分)
・ モデナの大聖堂のカインとアベル続きとノアの箱舟

・ 海と古代と中世と。豊かなアンコーナ
・ サンタルカンジェロ・ディ・ロマーニャで見た至宝のような博物館
・ 終章 サンタルカンジェロ・ディ・ロマーニャの家並み


* * * * *
関連記事
2014.06.08 Sun | Travel-Italy| 0 track backs,
トラックバック
この記事のトラックバックURL
この記事へのトラックバック
"shw-greenwood" template design by Shallwill