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沢木耕太郎さんの『テロルの決算』
1979年に大宅壮一ノンフィクション賞を受賞した近藤紘一さんの『サイゴンから来た妻と娘』を先日読んだので、


サイゴンから来た妻と娘 (文春文庫 こ 8-1)サイゴンから来た妻と娘 (文春文庫 こ 8-1)
(1981/07/25)
近藤 紘一

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同年に同賞を受賞した沢木耕太郎さんの『テロルの決算』も読んでみた。

安保闘争、右翼左翼の衝突、思想を異にするものを抹殺すること、
それらが馴染んでいた時代に起こった暗殺事件を軸に描かれたノンフィクション。


テロルの決算 (文春文庫)テロルの決算 (文春文庫)
(2008/11/07)
沢木 耕太郎

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共有したことのない、更には人生において自分がこの先共有するとも思えない思想の塊に取り憑かれるという感覚は圧巻で、
読み応えがあった。

綿密な取材に基づいた中心人物描写の上で、右とか左とか、政治・政党に対する大衆の心の流れを理路整然と追っている。

ただ、実際あの只中にいた人たちが、当時そこまで明瞭に理屈づけて
政局の流れを細やかに追いつつ行動していたのかどうか。


今の世では信じられないような精神の爆発力を読むにつけ、
盲目的に潮流に流されつつ、熱に浮かされ、ひたすら集団のパワーに突き動かされただけ、
そんなぐちゃぐちゃな混乱を感じずにはいられない。


思考回路が多様化したせいなのか、社会が以前より開放され、集団をつなげた接着剤が薄れたせいなのか、
この先、2度とこんな時代がくるとは思えない。
もっとも、案外ツイッターなどで扇動され、大きな思想の塊が再度生み出されないとは限らないけれど
それがこれほどまでに政治色を帯びることはないのでは。

+++

なお、この暗殺事件の瞬間を激写した、毎日新聞社のカメラマン長尾靖氏は
本写真で日本人初のピューリッツァー賞受賞者となった。
当該写真は、下の本の表紙に使用されている。


山口二矢(おとや)供述調書―社会党委員長浅沼稲次郎刺殺事件山口二矢(おとや)供述調書―社会党委員長浅沼稲次郎刺殺事件
(2010/11)
山口二矢顕彰会

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そうそう、かつて元都知事の方も、この大宅壮一ノンフィクション賞を受賞していたのね。
読むつもりはないけど。
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2014.06.01 Sun | Books| 0 track backs,
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