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日常風景 * 写真・文章 Copyright@”Mas Ciclismo Diary”
イタリア、ちひろ美術館、そしてスターバックス --- ギリシャ神話の人魚をめぐって
ちひろ美術館で開催中の『コレクション びっくり!絵本水族館』展で、思いがけない対面があった。

マウリツィオ・オリヴォットというアーティストが描いた海の絵に、あるものが描かれていたのだ。
色とりどりの貝殻たちに包まれたファンタジックなこの作品の中央に、人間のような珍獣が描かれている。
(下の写真左の絵の中央)

上半身は人間の女性に見えるけれど、下半身は足ではなく二股に分かれたヒレになっている。

★下記1点の写真撮影は、内覧会の際、許可を得て行ったものです。


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あ、これはセイレーンだ・・・
思わず 1週間前の記憶が蘇る。


セイレーンはギリシャ神話に登場する人物/珍獣。
美声の歌で海の男たちを誘惑し陥れたといい、上半身が女性、下半身が鳥の形をしている。

中世になると腰から下は鳥でなく魚のヒレに変容していったけれど、
もともと鳥の二本足で表されたせいか、尾ひれが2つあるのが特色だ。


これまでに何度かセイレーンをモチーフにした絵などを見ているけれど、
先週イタリア・モデナの大聖堂で見たそれは、ひときわインパクトがあった。


しなやかな肢体(正確にはしなやかな股関節?)で尾ひれ2つをからだの両側で見せびらかしつつ、
やや素っ頓狂な風情を漂わせつつ、見開いた目で前方を凝視している。


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だから、ちひろ美術館で上述の絵を見たときは、
作家は絶対イタリア人だろう、そして、もしかしたらモデナのあの柱頭を見たことがあるかもしれない、そう思った。


作家の来歴ブリーフィングを見ると果たしてイタリア人で、
ウルビーノでイメージとアニメーションの学校に通ったことがあるという。


私がリミニに滞在中、それぞれウルビーノとモデナを訪問したように、
彼もまたウルビーノ滞在中にモデナに行ったのかもしれない。


もっともこれを見ずとも、イタリアにいれば、セレーンのイメージはあちこちで目にする。

例えば今回再訪したボローニャのマッジョーレ広場にいる“彼女”も、セイレーンだ。
ちょっと“はすっぱ”な感じだけれど。


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ちなみにウルビーノはラファエルの故郷だけあって、芸術を貴ぶ気風が残っているらしく、
アカデミア・ラファエロなどといった芸術学校的な組織を目にした。


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上述のオリヴォット氏が通ったというイメージ・アニメーション学校は、
ラファエロの生家(下の写真)のやや手前の小道を曲がった先にある。


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実はこのモデナの二股人魚、結構身近で頻繁に遭遇する。

これだ:

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このロゴだと、尾ひれ2つが途中一部見えなくなっているが、
尾ひれが完全に見えているスタバのロゴを見たことがある。


2年前のシアトル出張で。
1971年にできたスターバックス一号店には、初期のロゴが温存されているのだ。


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夜に前を通りかかったときは店内大混雑で、仕事仲間との打ち上げ時間が迫り、入店は諦めた。
スタバはあちこちにあったものの、一号店のバリューはなんとなく侮れず、ちょっと心残りだった。


スターバックスがこの図柄をモチーフにロゴマークに取り入れた背景はWebなどで諸説目にするけれど、
どれが本当なのかは知らない。


第一号店がつくられたシアトルは入江になっているものの、いわゆる海の町なので、
海をイメージしたものを取り入れたのは頷ける。

かつてセイレーンが歌声で人々を惹きつけたように、コーヒーのアロマで海の人々を惹きつけよう、
そんなアピールだったかもしれない。



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さて、話は戻って、ちひろ美術館ではこのように、いわさきちひろさん以外の絵の展示も行っている。

ご子息が、絵本のルーブル美術館を目指して設立されたと聞けば、なるほど、と思う。


ゆえに、収蔵量も膨大で、いわさきちひろさんの絵が9400点、
その他のコレクションは33か国203人のアーティストによる17300点にものぼる。

小粒だけど教育などにも非常に熱心に取り組んでいらっしゃる。


館長は黒柳徹子さん。
そういえば、私もかつて愛読した「窓ぎわのトットちゃん」の表紙の絵には、
生前、ちひろさんによって描かれた絵が使用されている。


窓ぎわのトットちゃん窓ぎわのトットちゃん
(1981/03/06)
黒柳 徹子、いわさき ちひろ 他

商品詳細を見る


2014年5月21日(水)~2014年8月3日(日)までは、
「ちひろ没後40年 ちひろになれる!7つの法則 ―技法徹底解剖―」および
「コレクション びっくり!絵本水族館」
が同時開催されている。


公式サイト:http://www.chihiro.jp/tokyo/




((ちひろ美術館今回の展覧会詳細は、折りたたんで以下のとおり記載:))
東京都練馬区にあるちひろ美術館は、ご子息が絵本のルーブル美術館を目指して創設された世界初の絵本美術館。
現在の館長さんは黒柳徹子さん。

1997年には長野県北安曇郡松川村にも ちひろ美術館はがオープンした。


このほど内覧会で東京の美術館の方を訪問させて頂き、
「ちひろ没後40年 ちひろになれる!7つの法則 ―技法徹底解剖―」と
「ちひろ美術館コレクション びっくり!絵本水族館」
の2つの企画展を鑑賞した。

*以下写真は内覧会の際に美術館の了解を得て撮影しました。

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以前、相田みつを美術館で同時開催されていた いわさきちひろさんの絵画展を鑑賞したことがある。
折に触れ目にして知っているつもりだったけれど、あのようにまとめてみると、
一言でぬくもりのある温かい絵、といっても、それぞれに異なった工夫がされていて、
改めてその素晴らしさを実感することができた。

リズミカルな群像あり、しっとりと見せる単独のものあり、遠景あり、近景あり。
構図や色だけでなく、それから立ち昇るショートストーリーはバリエーションに富み、
それでいて、どの作品からもほのぼのとした温かさが放たれている。


子供たちのピュアな表情、仕草を最低限の線で的確に表す技、
それらからたちのぼるなんともいえない優しさ、
ポップな色使いをも上品に使いこなしてしまうスタイル、などなど
偉大さに触れる体験だったのだが、
今回の「ちひろ没後40年 ちひろになれる!7つの法則 ―技法徹底解剖―」展では、
その秘密が具体的な言葉をもって解き明かされた。


法則その1「水の使い方」
法則その2「構図の工夫」
法則その3「色の工夫」
法則その4「線のテクニック」
法則その5「“引き算”する」
法則その6「かわいさのひみつ」
法則その7「かたちをとらえるデッサン力」

詳しくは下記URLにて。
http://www.chihiro.jp/tokyo/museum/schedule/2014/0107_1828.html


館内にはちひろさんの作品の一部、部屋の再現、絵筆・クレヨン・絵の具・プライベート写真の展示に加え、
着用されていた洋服の展示も。

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海外で描いた何気ない人間観察のスケッチなど、レアなものもあった。

相田みつを美術館で出会った『立てひざの少年』 とも久々に再開を果たした。
前回見た時、確か”モデルは息子さん”、と解説に書かれていた。
純粋な目でこちらに迫って来るような瞳で見つめる少年の絵は特に印象的で、
暫く見入ってしまったのを覚えている。


2Fでは、「ちひろ美術館コレクション びっくり!絵本水族館」展が開催中。

本美術館が収集する絵・絵本を、このたびは海の生物たちというくくりで展示している。
葛西臨海水族館や井の頭自然文化園などとコラボする、といった工夫も素敵。



ちひろさんの絵と一緒に写真撮影できるコーナーも設置された。
その他、手の仕草やポーズを比較するパネル、線を書いてみる取組みなど、実体験のできるコーナーも。


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展示室内にある書斎の再現は、本や植物・食器など、かなり細部まで試みられている。

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庭の緑もみずみずしい。

単に受動的に見せるだけの美術館でなく、
さまざまな企画・実体験コーナー、コラボレーション等を通じ、積極的に絵や絵本の素晴らしさを訴えかけている。
それはまた、ちひろさんの絵が表現する平和な世界を広げる取組みでもあるのだろう。


通常Diaryの方にも書いたけれど、
本館には、いわさきちひろさんの絵が9400点、
その他のコレクションは33か国203人のアーティストによる17300点が収蔵されている。

ただ、水彩は色褪せの問題があり、展示後は1年休ませるなど、配慮が必要だという。

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2014年5月21日(水)~2014年8月3日(日)まで、ちひろ美術館では以下の企画展示が開催されている。

■ ちひろ没後40年 ちひろになれる!7つの法則 ―技法徹底解剖―
期 間 : 2014年5月21日(水)~8月3日(日)
場 所 : 展示室1,3,4

■ <同時展示> ちひろ美術館コレクション びっくり!絵本水族館
期 間 : 2014年5月21日(水)~8月3日(日)
場 所 : 展示室2



なお、最大のベストセラーとなった「窓ぎわのトットちゃん」は、このたび2冊組の絵本になるという。
参考:http://www.shinbunka.co.jp/news2014/05/140526-01.htm



****

【開催場所】
ちひろ美術館
【住所】
〒177-0042 東京都練馬区下石神井4-7-2
【開館時間】
10:00~17:00(最終入館16:30)
【休館日】
月曜日(祝休日は開館、翌平日休館。GW・8月10~20日は無休)
年末年始2014年12月28日~2015年1月1日(1月2日から開館)
冬期休館2月1日~2月末日
展示替のための臨時休館あり
2014年臨時休館は5/7(水)、5/20(火)、7/22(火)、8/5(火)、9/16(火)
10/14(火)、11/4(火)、11/5(水)、11/25(火)、2015年1/13(火)
【入館料】
高校生以下無料、大人800円
団体(有料入館者20名以上※)、学生証をお持ちの方、65歳以上は100円引/障害者手帳ご提示の方は半額、介添の方は1名まで無料/視覚障害のある方は無料。
(二重割引はなし。)
※ちひろ没後40年の2014年(3/1~2015.1/31)に限り、有料入館者10名以上から
東日本大震災の罹災証明書、または被災証明書をご持参の方は、ちひろ美術館・東京、安曇野ちひろ美術館の入館料が無料。受付にて提示が必要。

http://www.chihiro.jp/
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2014.05.29 Thu | Travel-Italy| 0 track backs,
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