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カンボジアの優れた遺物が国立博物館にあるワケ:フランスと物々交換したから!
2000年に入って、カンボジア・アンコール・ワット近郊で274 体の仏像が発見された。
発掘の中心となった上智大学元学長・石澤良昭先生の講演会を拝聴したことがある。

フランス極東学院(現所在地はパリ)で研究することを特別に許可され、以来カンボジアの遺跡調査の日本における第一人者となった方。

このフランス極東学院というところは、100年の伝統を誇り、カンボジア研究を一手に牛耳る非常に閉鎖された機関だそう。
この中に入り込めたのは、奇跡に近い。


「フランス極東学院」と聞いて思い当たるフシがあった。
東京国立博物館・東洋館のクメール王朝(アンコール王朝)遺跡のコーナーで、たびたび目にしてきた。
「フランス極東学院」交換品:

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物々交換というのが目を引いて、監視員の方に聞いたこともある:

「日本から交換品としてフランスに贈られたものはなんだったのですか?」と。

答えは:
「わからないのです。なにしろ1944年のこと。日本には先方から来たものがこうして残されていますが、
フランス側では日本から運ばれたものが行方不明なのです。」と。

日本から一体なにが海の向こうに渡ったのだろう?
どのような経緯で?

ここにこうしてあるのが不思議な逸品たち。


よく見ると、確かに台座に書かれた数字の筆跡は日本人でなく明らかに西洋人のもの。
日本に渡る前、フランスでナンバリングされたものに違いない。
(国立博物館内で撮影した写真よりー この場所は一部例外を除き撮影OKとなっている)

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石澤先生いわく、仏像は製作国を表す。
事実発掘されたカンボジアの仏像のご尊顔が、ふと見ると隣に立っている現地人ガイドさんにそっくり、そんなこともあるという。

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蛇の上に座すこちらの表情など、人間的というか
親しみやすいお顔。
装飾品などなく、すっきりとした上半身を見せている。

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アップで見ると、蛇の頭を背負って、雨宿り。
蛇頭が7つ。
同様のスタイルは多種制作されたようだ。

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後ろに回ればこんな格好で蛇が絡まる。
紋様も丁寧に彫られ、このような秀逸な作品の充実ぶりが、かねてより不思議だった。

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手に表情があって、頭が大きめ、クッキリした顔の造作。
柔らかい腰の膨らみ。

おおらかさ・愛嬌があって、安心感を与える。

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こちらは楣(まぐさ=支柱の上に渡された横材)。
美と幸福の神ラクシュニーに2頭の像が水を注ぐ。
像の背中から伸びる花綱を怪魚マカラが呑み込む、そんな構図。

精緻な浮彫の中に潜むファンタジー。

ルーブルでもこういう楣を多数目にした。
同様に細かくすぐれた技巧だった。

ただ、アンコール王朝のそれは、動きがコミカルで、表情が柔らかく、なかなかユーモアのある印象だ。

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2016.10.12 Wed | Travel-Others| 0 track backs,
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