日常風景 * 写真・文章 Copyright@”Mas Ciclismo Diary”
「日仏翻訳交流の過去・現在・未来」
日仏会館の掲題レクチャーを聞きに行ってきた。


● フランス語で「もののあはれ」はどう訳す?

日本の古典翻訳に造詣が深いパリ大のダニエル・ストリューヴ氏が、
「(源氏物語の)ものの”あはれ”は、フランス語でどのように訳すのか?」という質問への答えに窮していた。
結局、pitié(憐れみ)では言い表せないし、フランス語には同等の言葉はない、訳は難しい、というのが回答だった。

日本人の目からいうと、「attendrissant」=ほろりとくる、などなかなか近い言葉じゃないかと思うのだけど、どうだろう。


● 荻野アンナさんの言葉:

ラブレーの研究者であるアンナ先生。
そのラブレー、フランス語で一番長い動詞を編み出したそうなのだが、
なんとも摩訶不思議な長ーい単語だった。(アンナ先生が当該単語を口頭で披露した)。

どうやら擬態語・擬声語で構成されているらしく、その和訳に挑戦された2人の訳者の和文を比較されていた。
最初の訳者が基礎を作り、続く訳者がそれを最適化したような格好。
Connotation、いわゆる含蓄を擬声語の中にさりげなく入れる手法には舌を巻いた。

また、翻訳は二次元でなく、立体・三次元・空間の広がりがあることを本日のレクチャーを通して感じたとも語っていた。

Traduire(翻訳する)は、Trahir(裏切る)であり、原文そのまま反映されることはなく、裏切りつつ発見する、それが翻訳である、との感想も。

ああ、でもアンナ先生、今日はお得意のダジャレはなかったなぁ。


● 新しいモリエールの切り口

モリエール全集翻訳を手がけられた青山伸子先生(青山学院大学 文学部 教授)のお話が聞きごたえがあった。

モリエールの喜劇は、幕間劇により深みをもたされている、との新解釈から、
これまで軽視され、顧みられなかった寸劇の訳を精力的に全集に盛り込んだそうだ。

ちょっとした幕間劇が、物語が織りなすドラマにスパイスを与える役割をしているという説。
我々の人生と似ているかもしれない。

日常のほんの些細な一コマが、日々の生活に彩りを添えているのを感じることはあるから。
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2014.04.20 Sun | Language| 0 track backs,
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