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日常風景 * 写真・文章 Copyright@”Mas Ciclismo Diary”
シャヴァンヌ展
Bunkamura25周年記念『シャヴァンヌ展 水辺のアルカディア ピュヴィス・ド・シャヴァンヌの神話世界』が
昨日から始まった。

それに際し、シャヴァンヌの研究において第一人者といわれるアメリカの研究者の講演会があり行ってきた。

場所は日仏学院。長年通いなれた懐かしい場所。
久々の訪問だったので、図書館に寄り、本をいくつか手に取ってみたりした。


さて、シャヴァンヌという画家の作品は、普段意識しないで見ている印象がある。

彼の絵は、折りに触れ何気に目にする機会があった。

例えば、昨年行ったパリのパンテオンのフレスコ画。

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どうも、どことなく捉え難いイメージがある。

マットな色使い、人間の生身を感じさせない描き方、聖書・神話のモチーフが明らかな形で描かれておらず、かといって描かれているのはリアルな世界ではなく古代の情景。
作品によっては、個々の登場人物に緊密性がなく、不思議な雰囲気をかもしだしている。


講演者プライス氏は、絵ハガキで見たこの画家のミステリアスな情景(あの有名な貧しき漁師の絵)の絵が忘れがたく、絵の謎を探検すべく、調査を始めたとのことだった。

P1520800.jpg


調査の手法は度肝を抜くものだった。
電話帳でシャヴァンヌという名の人を調べ、片っ端から丁寧な調査協力依頼レターを送ったとのこと。


興味を示して応じる人も結構いたそうで、やがて世界中に散逸されていた作品の行方を徐々に突き止めることができたという。
プライス氏はこの作業をdetectiveのような仕事、と称していた。

教会の内部に飾られている絵の場合は高い梯子に登らざるをえず、そのような折りには、関係者の協力を得ることができた。
シャヴァンヌが誰もがこぞって研究する対象だったら、絵の所有者たちは、いちいち相手にはしてくれなかったかも?などと推測する。

こうした研究手法について話が聞けたことは貴重だった。


また、画家の特徴であるflat(平面的)な画風は、陰影のなさからきていると指摘。
ボリューム感の欠如というより、影のつけかた一つで変わるというわけか。

系統としては、アカデミー主義とは一線を画していたとのこと。
よく耳にするのは象徴主義という言葉だけど、これ自体、どことなく曖昧だ。

彼の絵が、その後印象派へと続く流れをつくりだしたとは思えなかったのだが、実はピカソの青の時代への影響があったり、
シャヴァンヌ崇拝画家が後を絶たなかったそうなのだ。


スライドに登場した「アレゴリー」の絵は、シャセリオーの絵に近いと思った。
その後、様式が変化し、あの平面的で、薄いパステルの絵が主流となる。
どういう契機があったのだろうか?

残念ながら質疑応答時間が短く、挙手できなかった。


個々の絵が内包するテーマなどには子細には触れられなかったので、それらは自身で探究することになる。

ただ、放蕩息子の帰還や、マグラダのマリアといった聖書の題材が、あからさまでないかたちで描かれているのを今回知った。
宗教に根差した精神性が、ところどころ垣間見られるのかもしれない。

「貧しい漁師」の絵の手前の人物も、私にはキリストのように思えるし。

まずは美術館に足を運ばねば。


☆ 私が参加した講演会:

【講演会】 シャヴァンヌ展開催記念講演会
【日  時】 2014年1月11日(土)15:00-17:00
【場  所】 アンスティチュ・フランセ東京 エスパス・イマージュ(東京都新宿区市谷船河原町15)
【登壇者】 エメ・ブラウン・プライス氏(シャヴァンヌ展監修者/美術史家)
【定  員】 80名(事前申込み不可)
【参加費】 無料
【後  援】 日仏美術学会


☆ シャヴァンヌ展:
【開催期間】2014/1/2(木)-3/9(日)会期中無休
【開館時間】10:00-19:00(入館は18:30まで)・毎週金・土曜日は21:00まで(入館は20:30まで)
【会場】Bunkamuraザ・ミュージアム
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2014.01.12 Sun | Art| 0 track backs,
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