FC2ブログ
日常風景 * 写真・文章 Copyright@”Mas Ciclismo Diary”
「ターナー展」所感 Vol.2 【終章】
3. 絵画が描かれた場所に行ってみる、もしくは、絵画の風景を過去行った場所と照合してみる


東京都美術館 『ターナー展』(~12/18)「ブロガーイベント with スペシャルトーク」続き)


「ターナー展」にまつわるフクヘンさんこと鈴木芳雄さん(この方がフクヘンさんだったのか)と、アートエッセイでおなじみの結城昌子さんのトークを聞いていて、あ、同じ、同じ、と共感する場面があった。

「絵画が描かれた場所に行くのが好き」(結城さんのコメント)、というくだり。


私も遠路はるばる訪ねて行った場所がある。

例えば、以前エントリーに入れた通り、ゴッホの絵に出てくるオーベールシュルオワーズの教会や、
同じくゴッホが描いたオーベールの麦畑、アルルのカフェ(行ったのは夜ではなく昼間だったけど)、アルルの跳ね橋など。

或いは、ちょっと毛色が違うけれど、須賀敦子さんが結婚式をあげたウディネの教会や、
同じく須賀さんが新婚旅行で魚のモザイクに圧倒されたというアクイレイアとか。


でも、私の場合、どちらかというと、その逆のケースの方が多いかもしれない。

つまり、対面した絵の中に、過去、訪問経験のある場所を見出した場合、
手持ちの写真の中から、その情景に一番近い風景を探し出す、というケース。


最近の例でいうと、竹内栖鳳の羅馬図の中のサンタンジェロ城や、ヴェネツィアなど。


そして今回も、ターナーが行った場所に、自分が立っていたことがある、と気づいたとき、
嬉しくなって、ああ、私もこの角度でこれを見た気がする、
などと記憶と符合させる作業を頭の中で展開した。

そして帰宅するや、探す、探す。過去の旅行写真。


その中で、撮影ポイントは同じなのに、光景がまったくもって不一致、という場所がある。
ヴェネツィアの溜息橋だ。

IMG_0556_2013112223112564b.jpg


上が正当な溜息橋。

下が、2009年、私の溜息橋。
修復中で、ショパールの広告にでかでかと蔽われていた。

言うまでもなく、ひどくがっかりしたのを覚えている。
橋の部分だけが見えているのは救いだけれど。

P1540613_20131122231136822.jpg

全景:

P1540762_20131122231046496.jpg


2011年はもっとひどかった。

両側の壁は修復終了だったものの、橋自体はすっぽリショパールで覆われ、橋は姿を消していた。

P1000965_2013112223113502b.jpg


溜息の橋のすぐそばにるサンマルコの鐘楼は、

IMG_0558_2013112223112276e.jpg


真横からの角度ではないけれど、
対岸のサンジョルジョマッジョーレの鐘楼から見たことがある。

P1550831_20131122231108218.jpg


この場所から眺めるジュデッカ島が、なんともいえず、いい味わい。
(とんぼの本の受け売りです。)

P1550822_2013112223111091e.jpg


ヴェネツィアのサルーテ教会は、
須賀敦子さんがコルティジャーネ(高級娼婦)の悲哀に思いを馳せた場所。

IMG_0560_201311222310454b2.jpg


上の絵を描くためにターナーがイーゼルを置いたのは、このあたりではなかったか?

P1550748_201311222310472fc.jpg


ディナンを描いたスケッチもあった。
フランス・ディナンとベルギー・ディナンのどちらだろう?(両方共行ったことがあるけれど、双方とも風光明媚。)
描かれているのが高台だし、作品解説に「アルデンヌ」とあったのでベルギーのディナンの方だった。


IMG_0547_201311222311207ce.jpg


高台から見下ろした写真なら撮っている。
但しフィルムカメラの時代、デジカメ以前のことなので、写真の枚数が極度に少ない。

旅の写真の枚数は、あの頃に比べていまや2桁多くなった。


P1490673_201311222310496d7.jpg


イタリア・アオスタ渓谷も

IMG_0549_20131122231119ddd.jpg


余り写真は撮っていない。
バスの車窓から警告を眺めた一枚がある程度。

ともあれ、ターナーがアオスタまで描いていたのは意外だった。

P1490674_20131122231104e83.jpg


ルクセンブルクの水彩もあった。

IMG_0548_20131122231107dc3.jpg


一度だけ、ツール・ド・フランス観戦で寄ったことがある。
木々が生い茂り、高低差がかなりある、上と下という二重構造の町だった。

ターナーの絵では岩肌が出ていてごつごつした感触だけれど、
私には、森深いイメージが強い。

P1120607_20131122231105bd4.jpg



4.私の好きな一枚


昨年ロンドン五輪見物の時、テイト・ブリテンを再訪した。
そして、、、唖然、愕然。

倉庫のような mg状態で、今思えば、ある種”準備中”だったのだろうか。

多くの部屋が閉鎖され、お目当てのラファエル前派は1部屋に押し込められ、
ミレイの"オフェリア"などは上中下3段のただなかに雑然と押し込められ、埋れていた。

大好きなロセッティの「ベアタベアトリクス」はなく。
彼の作品はあろうことか2点のみ。

2階のターナーの部屋も雑然として、訪問者は我々以外2,3人のみ。
寂しい限りで、心なしか絵画自体も精彩を欠いているかのようだった。

テイトモダンに完全に取って代われれてしまったのかとも思ったが、
並べ替え、或いは海外への搬送手配中といった過渡期の状況だったのだろう。
ともあれ、かつてせっせと通ったテイトがこんな様子で、寂しいことこの上なかった。


しかし、今回晴れてターナーの絵が東京の地で丁寧に時代を追って並べられることになり、
画風の変化を辿り、画家の足跡をたどっていくうちに、
私の中のターナーは、往年の輝きを取り戻していった。
よかった、よかった。


気に入った一枚をあげるとするとー


IMG_0557_2013112223112431b.jpg


好きなヴェネツィアを描いたものだから、というだけでなく、
象徴的な黄色が使われ、
彼が時に大胆に使う黒色も混じっていて
そしてなにより、運河と海と空と空気が渾然一体となって、
これぞターナー、そう思わせるから。
関連記事
2013.11.23 Sat | Art| 0 track backs,
トラックバック
この記事のトラックバックURL
この記事へのトラックバック
"shw-greenwood" template design by Shallwill