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日常風景 * 写真・文章 Copyright@”Mas Ciclismo Diary”
文明国の中の僻地: ベルギーにて その2 言葉が通じず、私がとった行動
ロードレース観戦では、観光では絶対訪れないような場所に足を踏み入れることもしばしば。

それは例えば
人々が日常生活を営んでいる風景しか見いだせない場所であったり、
辺鄙な場所であったり。 


もっともそれが後者のケース、即ち辺境の地であれば、カルチャーの違いを十分覚悟の上で乗り込むから、
まあそんなものかと、すべてを想定内という心のポケットに放り込むこともできるだろう。

ところがそれが、何度か訪れたことのある国で、しかも西欧ともなれば、
「想定」として用意しておく心の準備も最低限となり、
だからこそ、自分の常識範囲をちょっとでも超えると、大いに動揺したりする。

先のエントリーで述べたビルゼンの町がまさにそれだった。

この町での僅か1泊2日の滞在は、いろいろな意味で忘れられない。


その日観戦したロードレースの会場は地元の人たちでにぎわい。
人気の高さが偲ばれるのだが、日本における観戦風景と、ある大きな違いがあることに、当初気づかなかった。

思い知らされたのは、事件が起こってから。
カメラ撮影をしようとする私の肘を叩くおじさんが出現したときだ。

写真が1枚無駄になった。

何をするのかびっくりして見上げると、彼はへらへら笑っている。
そんなことが数回続いた。

そして気が付いた。

カメラをもって応援している人が皆無、だと。
写真撮影風景が珍しくて、おちょっかいを出してみたい、といった単純な出来心だったらしい。


呆れたが、まあそれはいい。死活問題ではない。
が、問題は夕食。

レースが終わると屋台も店じまいして、あっという間に町がスッカラカンになってしまった。
人影すらなくなり、人影を探してさまよった。

すると、トルコの肉料理シシカバブを手にしたカップルを発見。
駆け寄り、どこで買ったか聞いてみる。
もちろん通じない。

シシカバブを指差したら、警戒心むき出しの目で見られた。
おねだりしたと勘違いされたらしい!!!

アジア人が滅多に足を踏み入れることのないこの場所で、親切な応対は絶望的とみられた。

なんかいい方法はないか?
ほら、万国共通のジェスチャーとか。
苦肉の策で繰り出したのが、「お腹が空いたー」というポーズだった。
(お腹を抱えてよろよろしただけ。)

ミラクル!
通じた。
女性の方が指差す右前方のかなたに総菜屋らしきものが見えた。


食料店を見つけるだけで、こんなにも苦労するとは。

そもそもこのレースが是非とも見たかったわけでもなかった。
たまたま週末をはさんで欧州に出張で滞在していて、地理的に都合がいいというだけの理由でやってきた。

ベルギー一周と呼ばれるそのレースは、一時期開催中止になっていて、偶然それが12年ぶりの再開の年だった。
だからどんなレースかもよく知らず、勝手もわからない。

その上言葉がまったく通じないというフラストレーション!


さて、無事にシシカバブの店に入ったはいいが、またしても問題発生。

まず、店主に、店が日曜も開店しているかを聞いてみた。
30代後半とおぼしき店主は、案の定、英語もフランス語もダメだった。
しかし、こちらも翌日の食料確保のために必死だった。 

男性客が、通訳を買って出てくれたのはよかったが、理解不能。
店にいたすべての客が、フラマン語以外は話さない。

やがて入店してきた中年女性が少しだけ英語を知っていて、やっと通じた。
訛りの強い英語で「この店はね」、と言って彼女が指差したその先はカウンター。

よくよく見ると店の営業時間と曜日が書かれた小さな紙切れが貼られていた。
なんでこれがさっさと目に入らなかったのか・・! 自己嫌悪。

あとから入ってきたその女性は、結局私より先に注文した。
大家族のようで、その数10個以上。

おかげで、途方もなく待たされた。
気がつけば店はもぬけの殻。最後の客になっていた。


やっと私のシシカバブが出来上がった。店主が困惑気味の顔でこちらを見ている。
申し訳なさそうでもあり、憐れんでいるようでもあり、でもちょっぴり暖かい。

品物を手渡す際、彼が短いフレーズを投げかけてきた。
言葉が通じないことを知りながら。

もちろんフラマン語だったのだけれど、この時、入店以来初めて、彼の言葉を理解することができた。

「随分待たせてごめんね」。

スポイトで垂らされた一滴の暖かい液体がじんわりと心の中に広がっていく、そんな感覚を味わいつつ店を後にした。


****

私が泊まったホテル。
宿ですら、英語もフランス語も一切通じず。
ヨーロッパにいるとは思えなかった。
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やたら中庭がだだっ広い。

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2013.11.02 Sat | Cyclde Road Race| 0 track backs,
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