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日常風景 * 写真・文章 Copyright@”Mas Ciclismo Diary”
「ルーヴル美術館展 ―地中海 四千年のものがたり―」ブロガーナイト
東京都美術館で開催中の「ルーヴル美術館展 ―地中海 四千年のものがたり―」を再訪した。

これで3回目。
最初は高階秀爾先生の「ルーヴル美術館と地中海」のレクチャーと合わせて。
2度目は、ジャン=リュック・ボヴォ氏(ルーヴル美術館研究員)の「古代エジプト美術入門」講義の折に。
そして昨夜は、同展ブロガーナイトで。


以下、3度の訪問のたびに吸い寄せられたものたち:


まずは、ギリシャ神話のエウロペ(エウロパ)の略奪シーンを集めた一角。

ギリシア神話の全能の神ゼウスが白い牛に化けて エウロペをかっさらい、わがものにする、
というこのストーリーは多くの画家たちに好まれた主題で、絵で読み解くギリシャ神話的な本には必ず出ている。

このモチーフを扱った図柄の中で、私の一番のお気に入りは、ルーベンスが描いた一枚でなく、
手元にあるこれだ。

神話に凝っていたときエウロペの話を本Diaryで書いたところ、
ヨーロッパ帰りのEさんがくれたギリシャの2ユーロコイン。

エウロペの略奪が描かれている。(★下記は手持ちのコインの画像)


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ユーロ通貨は発行された国ごとに図柄が違う。

ギリシャの通貨=人気のあるギリシャ神話モチーフから、ということで選ばれたのみならず、
ユーロ統一の証として、ヨーロッパという言葉の起源となったエウロペの略奪というテーマに白羽の矢が立ったに違いなく、
ユーロコインに一番相応しい内容のように思える。

さて、前置きが長くなったけれど、展覧会最初に登場するエウロペの略奪はこれ:
赤像式クラテル(壺):牡牛に変身した主神ゼウスによる王女エウロペの略奪(前360年頃)

*会場内の画像は主催者の許可を得て撮影したものです。但し、★のついた写真=本展以外の場で撮影したもの=を除く。)

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メルヘンのテイスト漂う壺だ。
単眼鏡でよく見れば、エウロペを狙った牡牛のトロンとした眼差しが思わず笑いを誘う。


しかしエウロペ三昧のコーナーは第IV章の部にある。
特に下記写真右端のお皿はサプライズ。
ラファエロに基づくエウロペの略奪を描いた、ウルビーノ司教ジャコモ・ノルディの紋章入りの皿。


P1230331.jpg


その隣となるこちらも、エウロペオンパレード。

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じゃあこれも?と思いきや、こちらは
ギリシア神話の英雄ヘラクレスの妻、ディアネイラを略奪するケンタウロスのネッソス。
ルイ・ラグルネ作。


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牡牛ではなく、ケンタウロスだ。

高階先生の過日の講義の説明によると、略奪の絵が多いのは動きが描けるからと画家たちに好まれたのだとか。

妻の緊急時を知り、背後からヘラクレスが矢を射って助ける場面。

壺からほとばしる水による川の描写、略奪シーン、今まさに矢を射んとするヘラクレス、
風で翻るディアネイラの衣服。

まるでアクションシーンの習作をつなぎ合わせたように、
それぞれがそれぞれの行為に傾注し、躍動感が画面全体にみなぎっている。




今年7月、6日間パスで本場ルーブル三昧をしたときに印象に残ったスプーンも、以前書いたように、本展時にきていた。

私がルーブルで見たのは下記:
(★1400-1300年BC(エジプト第18王朝)のもの)

なめらかな姿態・洗練された佇まい・抜群のプロポーション。小作ながら目を奪われる。
cuiller とあったので、日常使いのスプーンだとばかり思ってた。

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高階先生の説明により、奉納用と知った次第。
エジプト時代の出土品は、現代の感覚とは異なり、えてして日用品というより儀式にまつわるものが圧倒的に多いようだ。

今回の展示にあった紀元前700-650年の「受け皿を持つ女性の形の奉納用スプーン」。


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ルーブルで見たものより700年ほど後のものなので、かなり長い期間、同じパターンが採用され続けていていたことになる。


その次に、おー出た!イケメン!と感嘆の声をあげそうになったのは、
もちろんアンティノウスの小像。


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いわずもがな、アンティノウスはハドリアヌスの愛人とされている。

ナイル川で溺死した時、彼は18歳だったはずなのだけれど、
この像の彼は筋骨隆々で、ティーンの男性というより、大人のような熟成度。

ファラオとして表現されたものということなので、それ相応の貫録が付加されたのか。
1800年の作だから、ローマ時代の作風とは異なって当たり前。


片や、パリのルーブル美術館で見てきたばかりの頭部像はハドリアヌスが即位していた130年頃の作品なので、
現実味を帯びた顔立ちなのでは?と推測。


★ 下記がその、ルーブル美術館で見た、ボルゲーゼコレクションのアンティノウス頭部。

憂いを帯びた麗しさにため息。


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でも圧巻は、異議なくこちら。
奥に見える有名なギャビーのディアナのみならず、この3作品が織りなすこの空間。

というのも、この3つは、パリスの審判というギリシャ神話によって相互に関連づけられているのだ。


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・ まず、右手の絵はスコットランドの画家ギャヴィン・ハミルトン作、
「トロイアの王子パリスに、スパルタのヘレネを引き合わせる愛の女神ヴィーナス」


これは、ゼウスの妃ヘラ、戦闘の女神アテナ、愛の女神アフロディーテ(ヴィーナス)の3人の中から
最大の美女を選ぶはめになったトロイアの王子パリスの物語が主題。


3人の女性は、それぞれ我が身が選ばれた場合王子に貢ぐものを示唆しており、
最終的に、美女を差し出す約束をしたヴィーナスが選ばれた。

絵に描かれているのは、まさにヴィーナスが選ばれた後、約束どおり絶世の美女
ヘレネをパリスに差し出すシーン。
しかしヘレネはすでに人妻。
夫が激怒し、トロイア戦争の発端となる。(高階先生の一部受けうり)。



・次に、その絵に出てくるトロイの王子パリスを表しているのが中央の像。
「トロイアの王子パリス」
130年頃の作品。


・さていよいよ奥にある、「アルテミス、通称ギャビーのディアナ」の像。
これとこのその他の作品を結び付けるものは?

実はこれをイタリアのギャビーで発掘した人こそが、上述の画家ハミルトンなのだそう。


ハミルトンが描いたパリス → パリスの像 → パリスを描いた画家ハミルトンにより見出されたディアナの像、というわけだ。


ギャビーのディアナは、とにかく間近で見るほかない。
衣服のひだの秀逸さは、言葉にできないほど。

布の質感を石で表現するその匠の技。
見れば見るほど石が布に見えてきて、膝元のあたりは衣服の下の脚を感じさせる質感。
袖の奥にも人体のぬくもりが見え、
端正な顔のプロファイルやエレガントな動きなど、全体が優雅さと気品に満ちている。



長くなったのでこの辺でストップすることとし、
最後にこの作品。

「ナポレオン・ボナパルト指揮したののエジプト遠征」の絵。
ルーブル宮の天井画の下絵だそう。


この遠征のおかげでルーブルの壮大なエジプトコレクションが達成され、
さらにシャポリオン(エジプト美術部門創設に関わった)の文字解読の功績により
かなりの謎が解き明かされた。

功労者ナポレオンに敬意を表して、美術館内部紹介のトリとして登場させつつこれにておしまい:

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夜の美術館:

P1230441.jpg


ルーヴル美術館展 ―地中海 四千年のものがたり―
The Mediterranean World: The Collections from the Louvre
会期:2013年7月20日(土)~9月23日(月・祝)・・・会期終了間近!
会場:
東京都美術館 企画展示室
〒110-0007
東京都台東区上野公園8-36
URL: http://louvre2013.jp/
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2013.09.14 Sat | Art| 0 track backs,
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