FC2ブログ
日常風景 * 写真・文章 Copyright@”Mas Ciclismo Diary”
サンタ・マリア・マッジョーレ大聖堂Vol.2


■ 黄金のモザイク

さて、この大聖堂で一番目を引くのは、やはり後陣の黄金のモザイク。

「マリアの戴冠」と題されたもので、母というより恋人みたいに若いマリア様に
キリストが王冠をさずけている。

それを、小人のような聖人や天使たちが見つめている、というもの。
玉座は2人掛けのソファに並んで腰掛け(!)、足を載せる台が置かれている。

制作年は1295年。とてもヒューマンな表情で、ルネサンス時代到来を予感させる。
ヤコポ・トッリーティ(Jacobo Torriti)作という。


P1310879.jpg


中央のモザイクは、一目瞭然、マリアの死。
双眼鏡を動員し、詳しく見てみたところ、おや?こ、これは?

P1310891.jpg


なにがといって、キリストが子供を抱いているのだ。

誰の子だろう?と興味深く思い、後で調べたところ、
マリア様の魂は子供として描かれることが多いそう。
清らかさを表してるようだ。

つまりキリストがマリア様の魂を抱えている構図。

P1310891a.jpg


後陣(アプシス)のモザイクはヴォールト部分のみならず、
アーチ型にくりぬかれたこの部分にも。

これが上記のモザイクよりもずっと古く5世紀にさかのぼる貴重なもの。

つまり、ラヴェンナのモザイク群よりも1世紀ほど古い。


左右に聖書の話が描かれているようなのだが、左側のモザイクの構図の方が素人にはわかりやすかった。

P1310880.jpg


↓ 上段は、明らかに受胎告知。

中央玉座に座るマリア様。頭上にはお決まりの鳩。
マリア様の向かって右手に天使の羽が付いた男性が立っているので、
ガブリエルが、受胎のお告げをしているところ。

一番右が、マリアの夫ヨゼフ。(オレンジ色の布を肩に掛けている)。
別の天使がヨゼフに、マリア様に起こったことを告げているのが見て取れる。

P1310880a.jpg


中段。
次は順番からいって、東方三博士の礼拝のよう。

中央のベッドに座るキリストがやけに大きくて、微笑ましい。
光輪があるので、キリストに間違いなさそうだけれど。

右にブルーの衣装のマリア様。

その右2人はお土産物を携えた賢人たち。
色彩豊かな装束。

P1310880b.jpg


次は子供を抱えた女性たちを兵士がいたぶっている構図なので、
嬰児虐殺のシーン。

シエナのドゥオーモで見た嬰児虐殺の床模様の凄惨さ、
スクロヴェーニ礼拝堂のジョットの嬰児虐殺のフレスコ画の女性たちの悲痛な表情
に比べると、表現はおとなしい。

(もっともこれは、5世紀のモザイク。年代・手法が違うので、比較するのははばかられるけれど。)


P1310880c.jpg


これがアプシスのモザイク画全体像。
とにかく上ばかり見ていて、首がこわばってくる。

P1180495.jpg


さて、次に目を引いたのが、身廊(Nave)のモザイク画。
ラヴェンナのサンタポリナーレ・ヌオヴォ聖堂の配列に似ているので、
恐らく旧約聖書の場面のよう。

そこで、宮下孝晴先生の「南イタリア」(*)の本を取り出す。

そして、
・左右の梁の上に描かれているのは、旧約聖書に取材した36場面:
・これらはシクストゥス3世時代のもの:
・つまり5世紀のもので、ラヴェンナのものより1世紀も古い:
と判明。

P1310941.jpg


ただし、ラヴェンナのモザイクの旧約聖書(以前のエントリー)は単純化しており、すっきりしていて、
場面が旧約聖書のどの場面に対応するかがわかりやすかった。

ところがこちらは、群像っぽくて、私には難解。


なんとなく想像がつくのは数枚のみ。

下記は恐らく、「出エジプト記」の”海(紅海)を渡るモーセ”。

P1310923.jpg


こちらは、「出エジプト記」の「マナとうずら」のよう。
下方に鳥が飛んでおり、うずらが飛来したことを表している(と思う)。

空からはおそらく食べ物”マナ”が降ってきて、人々が
こぞってそれをつかんでいるように見える。

(一瞬左下の絵が、ユダの接吻に見えたけれど、あれは新約聖書の一場面なので、その筈はない。)

P1310924.jpg


後半部分はずっと戦いの場面が続いているので、
「ヨシュア記」の戦を示していると思われる。

P1310919.jpg


同上。

P1150799.jpg


などと36枚全部のんびり見ていると、いくら時間があっても足りない。

さらに教会内はそれほど明るくないため、目を凝らしているだけでも疲れてくる。

これが明るくて、絵が目線にあれば、楽なのだけど。
教会めぐりは体力を使う、とつくづく実感した次第。



【関連】

ローマの教会 1: サンタ・マリア・マッジョーレ大聖堂(1)- 概観
ローマの教会 1: サンタ・マリア・マッジョーレ大聖堂(2)- 黄金のモザイク
ローマの教会 1: サンタ・マリア・マッジョーレ大聖堂(3)-法王が訪れるわけ
ローマの教会 1: サンタ・マリア・マッジョーレ大聖堂(4)-法王とのニアミスの話



(*)

宮下孝晴の徹底イタリア美術案内〈4〉南イタリア―ローマ・タルクイーニア編宮下孝晴の徹底イタリア美術案内〈4〉南イタリア―ローマ・タルクイーニア編
(2001/09/16)
宮下 孝晴

商品詳細を見る
関連記事
2013.05.11 Sat | Travel-Italy| 0 track backs,
トラックバック
この記事のトラックバックURL
この記事へのトラックバック
"shw-greenwood" template design by Shallwill