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日常風景 * 写真・文章 Copyright@”Mas Ciclismo Diary”
「幸之助と伝統工芸」展と鵬雲斎千玄室大宗匠のお話
パナソニック 汐留ミュージアムの「幸之助と伝統工芸」鑑賞前に、
同展覧会のイベントに参加した。

裏千家第十五代前家元・鵬雲斎千玄室大宗匠の講演会。

お茶には全く疎い私だけど、人間的に幅の広さを感じさせる内容で、
幸福な1日だった。

一緒に聴講した大学時代の友人が、お茶を長年やっていて、
講演会の前に、あの方は海外にお茶を広めた一人者なのよ、と教えてくれた。


前家元は、海軍入隊経験があり、命拾いをした後、
武ではだめだ、世を救えるのは文だと痛感されたという。

そしてお茶の世界を広めるために
まだ占領下の日本を脱出し、1951年渡米。

好戦的という印象を払しょくし、日本人の誠実さを知ってもらいたい、
そんな気概を持って渡ったという。

そんな氏の動機を聞いた松下幸之助氏は、
「私も米国に行かにゃならん」
と思ったそう。

その後米国を訪問した松下氏と、前家元は2回もホテルのロビーなどでばったり会ったという。
日本が自国の復興に忙しい時代に、世界に目を向けた2人のなんとも偶然な再会。


お話の中で印象的だったのは、

・「わびとは、不完全な美=Imperfect beautyである」という言葉。
完璧なものになる途中のいびつなもの。
正直にして、つつましやかで、おごらないさま。
そうなのか、とはいえシンプルなようでなかなか難しい。
そういう美をとらえる心をもつことが。

・「先憂後楽」ではなく、最近では先楽後憂が多くなっている。
しかし苦しんで正しいものを見て、それができるようになってこそ、楽になる。

・「思」という字は、人の道を表す。
それぞれ人は皆生まれながらにして田をあてがわれ、それを自ら耕して
困難を通じてそれぞれの道をかたちづくっていく。


お茶の世界だけでなく、俯瞰的に世の中をみているさまが感じられた。
人格の素晴らしさが言葉の端々ににじんでいて、素晴らしい講演会だった。

これまで様々な展覧会関係の講演会に顔を出してきた。
でも今回のは一味違う。
なんだろう、勉強的知識を得た、そういう一面的な感想ではなく、
なにか懐の広いものに接する機会を得て、共鳴した、そういう感動があった。


また、松下氏は、派手なものより地味好みという話もあったが、
展覧会に出ていた茶器など、確かに黒が多く、渋い好み。

成金趣味的な派手派手しいものはなく、精神世界を大切にしたと思わせる。

入り口には書道をたしなむ松下氏の写真が展示の中にあり、書かれた文字は「素直」の2文字。

頂点を極めたビジネスマンの座右の銘は、意外にもシンプル。
そういう初心的なものを忘れまいとするところが、やはりスゴイ。


茶人と実業家、
世界が違うようでいて、互いに響き合ったというその理由は
なんとなくわかるような気がした。

世界観があり、精神性を大切にした点で、似た者同士だったようだから。


「幸之助と伝統工芸」
パナソニック 汐留ミュージアム
2013年4月13日(土)~8月25日(日)

http://panasonic.co.jp/es/museum/exhibition/13/130413/
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2013.04.27 Sat | Art| 0 track backs,
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