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日常風景 * 写真・文章 Copyright@”Mas Ciclismo Diary”
ルーベンス 栄光のアントワープ工房と原点のイタリア
Bunkamuraミュージアムで開催中のルーベンス展に関する
『ブロガー・スペシャルナイト』のイベントにて -

19:30~20:30 TBS小林悠アナと宮澤学芸員の対談のあと、鑑賞の機会を得た。

小林アナの言葉にもあったとおり、美術館では、思わずスルーしてしまう絵って必ずある。


先に書いた通り、ルーブル美術館のルーベンスの部屋は、同じ画風の巨大絵のオンパレードで
ただひと塊としか見えず、通り抜けただけだった。

でも、本日のイベントのように、絵にまつわる解説があれば、
当初興味がわかなかった絵とも、違った姿勢で相対することができる。

もっとも、頭で考えずに、感性でひきつけられる絵の見方ができれば、
それが一番ベストかな。


そういう意味では、この一枚には、もう理屈抜きで心酔:


1.アントーン・ヴァン・ダイク《悔悛のマグダラのマリア》

・泣きはらし、充血した赤い目、頬にさす紅色がなんとも絶妙
(薬指の爪の光具合とかも)
・背景に溶け込みそうな、流れ・輝く金髪にうっとり
・悔悛と同時に恍惚ともとれるような眼差し。とはいえ、娼婦というより乙女のようで、
・左上の風景に呼応するかのような視線。
・これが日本の個人蔵という事実に驚く。
・最初、私、この絵を知ってる!と思ったのだが個人蔵となれば、ティツィアーノのそれと混同していたのかも。
・アトリビュートの香油が描かれてる云々かんぬんといった理論はどうでもいい、そう思えてくるほど、引き寄せられる。


2.聖ドミティッラ

先日のエントリーで触れた通り、京大中村俊春先生の話にあった一枚がこれ。

(写真撮影許可のもと撮影)
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ローマのサンタ・マリア・イン・ヴァリチェッラ教会の主祭壇画を描く際の習作。
実際教会の絵として聖ドミティッラが描かれたものがこれ。↓(一番右の絵の中央の女性)

習作といいつつ、上の聖ドモティッラと下のものは、まったく似ていない。
アトリビュートの棕櫚を共有するのみ。

フランドル派の写実性を、わざとイタリア的に普遍的・没個性にしているという。


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さらにこれは、ルーベンスの手によるアントワープの王立美術館にある聖ドミティッラ。
棕櫚をもっている。
これが一番習作と似ている。

P1290545.jpg


サンタ・マリア・イン・ヴァリチェッラ教会用に描いたのに、油絵具の反射がまずい、と
却下された第一バージョン。
現在グルノーブルにある。
こちらも習作とは似ても似つかない。

P1290547.jpg



3.ロムルスとレムスの発見

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・双子の左側の(ロムルスだかレムスだかは不明)金髪巻き毛のゴージャス。真筆だろう。
・それを裏付けるごとく、トークによると、この作品は、若い頃のものなので、工房の画家に描かせた可能性は低い(あるいはかなり限定的)とのことだった。
・オオカミの舌が、ミミズのようで目を引いた。後で解説を読んだら、双子をなめて身体をきれいにしているのだという。その思いが全面に出過ぎたか、舌をちょっと強調し過ぎともいえる。


4.復活のキリスト

サンセポルクロのミゼリコルディア祭壇画<<キリストの復活>>(ピエロ・デッラ・フランチェスカ)は有名だけど、
このくだりは聖書には詳細に書かれておらず、余り絵にも描かれていないと思っていた。

普通この絵では、眠りこけた番人が描かれているのに、この絵にはなく、エネルギッシュさが前面に。

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その他:

・ダヴィンチのスフマート法が、ティツィアーノを経てルーベンスにいき、ルノワールという流れなのかな?と勝手に想像。
・自画像の帽子(下)は実は禿隠し、というのが最後の方の自画像(帽子なし)で確かに明らかに。

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・ゴンザーガへの不満が、マントヴァ公妃エレオノーラ・ゴンザーガ?の絵に現れていたような。
(意地悪な顔つき)
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・神話シリーズのところにアポロとダフネ(下記の左)があった。

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アポロンに追いかけられたダフネが月桂樹になるシーン、手の先が確かに
うっすらとした葉っぱになっていた。

ロンドンナショナルギャラリーで去年見たポッライウオーロのApollo and Daphne(アポロとダフネ)の構図に基づいているのでは?
ポッライウオーロの絵も、手先から月桂樹になっている。
但し、あちらは、ほとんど樹木状態で圧巻。
(実物の絵は小さいのに、丹念に描き込まれて存在感がある。)

こっちの方は、控えめに手先だけが月桂樹の葉になっている。

変化のさまは、ちょっと近代美術館にある、村上華岳の日高河清姫図みたい。
蛇になりつつある清姫と、月桂樹になりつつあるダフネの変化のさまが重なった。
身体の一部の輪郭が怪しくなっていく感じ。



・お茶目層な学芸員の宮沢さんがここでガイドをされてたとは!
(お宝版画の話も面白い。)

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奥が宮沢学芸員が版画版で所蔵する<<天使からパンと見ずを受け取る予言者エリヤ>>

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とにもかくにも、あれこれいろいろと思うところのある夕べだった。

P1290873.jpg

Bunkamuraミュージアムのルーベンス展:
http://www.bunkamura.co.jp/museum/
http://www.bunkamura.co.jp/museum/exhibition/13_rubens/index.html

TAKさん、またまたお世話になりました。
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2013.03.14 Thu | Art| 0 track backs,
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