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東京国立近代美術館 60周年記念特別展 「美 術 に ぶ る っ!」 夜間特別観覧会 その2
さて、今回の東京国立近代美術館60周年記念特別展「美術にぶるっ!」は、
2階~4階のコレクションスペシャルと、第II部となる実験場1950s(1階)の2部構成。

後者は、先に述べたとおり、本美術館が設立された1952年を意識してのもの。

まず4Fにある第I部・展示室1は「ハイライト」。
美術館自慢の所蔵作品の数々。その数7点。
うち、狩野芳崖の作品以外はすべて重要文化財。

ほかに、寄託作品も含め、13点もの重要文化財作品が今回公開示中。

現在、明治以降の美術作品で国の重要文化財指定を受けているのは全部で51点らしいので、
その4分の1に当たる13点がここに足を運ぶだけで網羅できてしまう、というワケ。

ちなみに、近代美術のうち、国宝に指定されたものはまだないそう(最初のミニレクチャーでの話)。
これらの中から将来の国宝が選ばれる可能性も?


さて、では鑑賞していくこととする。
とはいえ本特別展の展示総数は約540点。
2時間の特別観覧でも、ターゲットを絞らないと消化できない。

展示室1のハイライトははずせないのでゆっくり見る。
ここにあるのは本館常連の絵画たちばかりなのだけど。

入ってすぐ、狩野芳崖(ほうがく)の「仁王捉鬼図」、菱田春草の「賢首菩薩」、村上華岳の「日高河清姫図」の3作が並ぶ。

狩野芳崖の作品は、今回の展示物の中でも一番時代が古い。
1886年、明治19年の作品。

明治以降の”近代”美術館なので、狩野派全盛期はカバーしていない。
江戸時代から明治にかけて活動し、近代日本画の父と呼ばれた狩野芳崖がギリギリのところ。


菱田春草が「賢首菩薩」を描いたときは、すでに眼の疾患を患っていたと聞く。
そのせいか、朦朧体と揶揄された筆致の縦の線などは、慎重にそろそろとした筆跡。

優しい茶色の色彩、穏やかな表情、左に向けられた視線の先が気になる。


そして!村上華岳の「日高河清姫図」。
写真一番左。

* 写真は許可を得ています。

P1240176.jpg
* 写真撮影は今回の特別観覧で許可されて撮影したものです。

蛇に変身する寸前の執念のひと清姫のおどろおどろしい肢体はインパクト満点。
手の先なんかは、すでに消えかかっていて、脚は矮小化され足元もおぼつかない。
すでに蛇化を感じさせる。

決しておっかない顔をしているわけではない。むしろ無の表情。
なのに背筋も凍るような女の情念を感じさせる力量は圧巻。
つくづく、真夏鑑賞向きの、さむーい絵だ。

別の美術館で村上華岳の他の作品を見ても、ついこの1枚が頭に浮かんでしまうほど。


で、この次、つまりエレベーターを降りて左に曲がり正面にどんと聳えるのは原田直次郎作「騎龍観音」。
目玉の一つ。

今回、写真撮影はOK、1点撮りはNGという条件だったものの、それでもこの絵は写真撮影禁止になっている。

なのでー
それを守りつつ、こんなものを撮ってみた。
ミニレクチャーのスライドに登場した「騎龍観音」。

P1230994.jpg


この絵は、前もこの場所に展示されていたけれど、改装にともなって絵が一番映える紺色を壁の色に採用したせいなのか、あるいは行き止まり的な場所から開放されたせいなのか、絵が見やすくなり、以前より生き生きしている印象。

こんな立派で重厚感のある金色の額縁で縁取りされていたことに初めて気づいた。

上部の静、下部の動、の二層仕立て。
観音様の衣服の薄い襞の繊細さに惚れ惚れ。
炎によって赤く照り返される白い衣服の背の部分までもが神々しい。
よく見ると龍の目玉は少女マンガのように可愛らしく、凄みがある構図とのギャップが微笑ましい。

この絵は、左から見ると、龍と観音様が迫ってくるように見えるので、位置取りは左がお気に入り。

で、今回の発見!
左下隅に、画家の署名があるのだが、これがなんとローマ字だった。
観音様と英語表記。

可愛い龍の目といい、全体の統一感を少しいじるのが好きな、お茶目な人だったのだろうか、原田直次郎という人は。


ちなみにこの絵と、先に触れた3点の間に川合玉堂の「行く春」がある。
大好きな1枚だ。
桜の花吹雪の中に吸い込まれそう。

P1240034.jpg



今回の観覧会では、音声ガイド無料。

P1240138.jpg

さらに特大カタログが無料でついてくる。
嗚呼、なんて太っ腹なの、東京国立近代美術館。

P1240195_20121108071208.jpg


続く。
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2012.11.08 Thu | Art| 0 track backs,
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