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日常風景 * 写真・文章 Copyright@”Mas Ciclismo Diary”
山種美術館 / ブロガー内覧会 『竹内栖鳳―京都画壇の画家たち展』
その1 : キーワードは落款

先週末行われた【青い日記帳×山種美術館 ブロガー内覧会 『竹内栖鳳―京都画壇の画家たち展』(@山種美術館)】。

参加費800円で、閉館後の展覧会をじっくり楽しめる。1枚の例外を除き、すべて作品は写真撮影OK。和菓子のお土産付き。そして館長の山崎妙子さんの解説付き、青い日記帳のTakさんのトーク付き、と盛りだくさん。

なにより、落ち着いてゆったりと見ることができるのが嬉しい。

まずは目玉とも言える『班猫』の絵。


この絵では、落款をわざと左上に持っていくことで、空間のバランスを保っている。

左上の落款から、右下の猫の腕にかけて斜めの動き。
その直線的な動きの中でからだを思い切りくねらせる猫の、螺旋の動きが生きている。


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この落款では、文字が上にきていて縦の配列。
文字が落款の脇にきているものもある。

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瞳の周りに金色使いが施されていると聞いたので、じろじろと猫とにらめっこ。
確かに金色のラインがかすかに入っている。

艶かしさは、この色使いのせいだろうか。
色と筆遣いで無機質な絹本の上にかくもみずみずしい生命が吹き込まれる

エメラルドグリーンの瞳に吸い込まれそう。

そして思わず撫でたくなるような毛並み。
繊細な筆さばき。

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画家がこの猫を見つけたのは旅先の沼津の八百屋の店先。
画人でもあった徽宗皇帝が描いた猫を彷彿させたといい、頼み込んで譲り受けたそうだ。
(講演会とギャラリートークで得た話。)

展覧会にはモデルになったこの猫の写真もある。
ポーズが違うので、瓜二つとはいえないけれど、誘うような怪しげな目つきを共有している。

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画家、60歳のときの作品。

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左上に落款を配した絵は他にもある。
例えばこの『緑池』。

落款で平衡感をもたせる演出は、空白・空間を生かす日本画ならでは。

画面を塗りこめる洋画なら、しっかりとした線で構図のバランスを取るところ。
例えばセザンヌの絵だったら、テーブルの端を下方に描き、画面に水平に引くことで、全体を引き締める、とか。


視線を転じれば、淡いブルーの水面に透けているカエルの優美な足。
「透ける」加減がなんとも絶妙。
水彩画のよう。


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落款クローズアップ。

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63歳の作品。

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さて、『象図』でも ー意図的か意図的でないのかは不明ながらー、見えない斜めの線の演出が見られた。

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でもこちらでは、左上に配しているのは落款ならぬ、鳥の絵。

空に羽ばたく動きを映し出し、からだが一部、切れている。

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右下には落款。
鳥から落款にかけて、見えない対角線が引かれ、六曲二双がひとまとまりになる。

左の象には猿が乗っているというお茶目っぷり。


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事前に講演会やギャラリートークで”落款”というキーワードをもらったので、それを中心にいくつか見てみた。

ちょっとしたヒントが得られると、絵画鑑賞の視点が変わり、新たな楽しみができる。
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2012.10.25 Thu | Art| 0 track backs,
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