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日常風景 * 写真・文章 Copyright@”Mas Ciclismo Diary”
人間たった一つの務め
日経新聞夕刊。
コラム”プロムナード”のファンなのだけど、木内昇さんの最終日のエントリーで初めて知った。
竹内浩三の「筑波日記」という作品のこと。

戦時中、「明日をも知れぬ」演習場での過酷な日々の中、
「彼の目は季節の移ろいや同輩の言動、自分の失敗など、美しく楽しいものばかりに向けられる」。

「詩を書き、音楽を愛し、いずれ映画監督になりたいと願っていた青年だったから、
自分の置かれた状況は到底受け入れられるものではなかったろう。
でも、彼はそんな中でも、自分なりの見方や世の中への接し方を失わなかったのだ」、
そう綴る木内氏。

竹内という若者は、さらに姪っ子に宛てて出征前に、こう綴ったという。
「お前の生まれたときは、お前の国にとって、ただならぬときであり、お前が育っていくうえにも、
はなはだしい不自由があるだろうが、人間のたった1つの務めは、生きることであるから、その務めをはたせ」。

過酷な状況下で、ささやかな楽しみやいつくしみを大切にした人の姿勢を
”ポジティブ”、と一言で簡単に言い表すこともできるけれど、
この前向きさは、心が清らかでなければ果たせないものに思えて、
こういう生き方に憧れるというより、
そういう生き方が自然にできた竹内という青年がただ羨ましい。

竹内浩三全集〈2〉筑波日記 (1984年)竹内浩三全集〈2〉筑波日記 (1984年)
(1984/08)
竹内 浩三

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2012.07.03 Tue | Books| 0 track backs,
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