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日常風景 * 写真・文章 Copyright@”Mas Ciclismo Diary”
須賀敦子さんの「地図のない道」を歩く (ヴェネツィアにて)

グリエの橋、というのがこの橋の名。。。
渡る人間の側からいうと、ヴェネツィアの橋の多くがそうであるように、この橋も下を船が通れるように、中心のふくらみにむかってゆるい勾配を描いていて、両端には階段がついている。。。
だが、おなじ橋を運河から見上げると、四本の柱や階段のふくらみよりも、アーチの側面にほどこされた大理石の細工が目につく。
石と石との継ぎ目を被うためだろう、これも白い大理石に彫った古代ギリシア模様の芝居の仮面が一列に並んでいて、いかにもルネッサンス風だ。
(須賀敦子『地図のない道』)




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今年8月。ヴェネツィア到着初日、ホテルにスーツケースを置くのももどかしく、ヴェネツィア・ローマ広場発ムラーノ島行きのヴァポレットに飛び乗った。

このヴァポレットはグランカナルをそのままいくのではなく、鉄道駅の先で左折して、大海原に進路を変える。
その左折する場所にかかっているのがグリエ橋だ。

これが、普通のヴェネツィアと、ゲットーの境を告げるキーとなる橋であることは、2年前のヴェネツィア旅行で知った。

ただ、須賀敦子さんが著書「地図のない道」で触れていた、ルチッラに待たされた橋のたもと、というのがこの橋を指すということは、ハッキリと自覚せぬまま過ごしていた。

今日、この本を読み返していて、「白い大理石に彫った古代ギリシア模様の芝居の仮面が一列に並んでいて、、、」のくだりにさしかかった時点で、あの橋の、あの顔(仮面)のことだ、とくっきりとした映像をともなって、気づいたのだった。



P1750905.jpg
(橋に沿って人の顔の彫刻が並ぶ)


上の写真のとおり、ことさらいろんな角度からこの橋だのゲットーの街並みの写真を撮っていた私。
何気なく須賀さんが歩いたゲットーを意識していた気がする。


片や須賀さんの本のことなど知らないツーレは、運河に沿って左手、つまりゲットーと反対側の景色ばかり撮っていた。
彼は、ポルトガルのごちゃごちゃした裏路地を彷彿とさせるすすけたゲットーの街並みではなく、少しこぎれいなふつうのヴェネツィアの街並みの方を、無意識ながらも選別していたようだ。


写真は、運河沿いのゲットーの家並み。
左端をちょっと拡大してみると

P1750908.jpg

「レストランガムガム、ゲットー」という文字。
矢印が指す方向一帯がゲットー。
猫の額の敷地の上に縦長に長く長く伸びた長屋が続いている。

aP1750908.jpg


グリエ、という名のヴァポレットの駅も近くにある。

P1750911.jpg

2年前、ゲットー探検した際、須賀さんが何度も振られたゲットーの見学ツアー(シナゴーグの、と言った方が正確だけど)にも参加した。

ひとつ残念だったことがある。
須賀さんが見た白いレースの赤ちゃん入れの封筒は、あの日、博物館の陳列棚には置かれていなかった。
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2011.12.06 Tue | Travel-Italy| 0 track backs,
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