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日常風景 * 写真・文章 Copyright@”Mas Ciclismo Diary”
パルマの洗礼堂3
■イタリア回想録 パルマ③ 洗礼堂その3 堂内の絵のこんなカラクリ

パルマの洗礼堂内の壁面・クーポラの絵画を見ていてふと気付いた。
キリストの洗礼のシーンが繰り返し登場する。
かと思えば、新約聖書の話の後に突如、旧約聖書の「イサクの犠牲」が現われる。

パドヴァのスクロヴェーニ礼拝堂のジョットの壁画では、キリスト、マリア様の物語が順番にたどれるが、
こちらの壁面の絵の方はいかにもアットランダムな印象だ。


受付のおばさんに再び聞いてみた。
「こちらの絵は、聖書の逸話の順番になってないのですか?」
なってないとのこと。
でも、ある程度の対応はある、というのだが。

当然のごとく、それ以上こみ合った会話は無理。
帰国して、資料を調べてやっと納得。

意外な綿密さがそこには隠されていた。


それを説明するには、まず、洗礼堂内部の説明が必要になる。
実は洗礼堂、外部は八角形だが、内部は16面になっている。

再びエクセルシートを作成してみた。(暇人だな、私)

P2090040.jpg


そして、建築家が凝らした工夫とは、これらの面を対応させる絵の配置手法だった。

一例として、顕著な対応例を示すとすると、

下記の赤字部分が「栄光」のキリストの絵として対応し、
黄色部分が「若き日」のキリストの絵、というくくりになっている、

P2090041.jpg




まずは赤字部分を見てみる。
「全能の神としてのキリスト」の絵が、赤字部分に描かれている。

東側と西側の向かい合わせで呼応するようになっているが、
東側には外門がないので、

東の内側のルネッタ(1)+東の内側のクーポラ(2)と
西の内側のルネッタ(3)+西の外側の門のルネッタ(4)
部分に同じ主題が散りばめられている。

P2090049.jpg


詳しくその「栄光のキリスト」の表現方法を見ていくと:

1.東側の内部のルネッタ
全能のキリストとマルコ、マタイ、ルカ、ヨハネの4福音史家のシンボルが描かれている。
マルコは獅子、マタイは天使、ルカは牡牛、ヨハネは鷲によって表される。

P1010531-2.jpg


2. 東側の内部、丁度上記1の上をたどったところのクーポラ部分
キリスト単独の絵。

P1010532-3.jpg


3. 西側の内部のルネッタ
ダヴィデ王のルネッタ。十弦琴を奏でるダヴィデ。両脇の子供たちも楽器を持っている。
ダヴィデによる天空の典礼を描いているが、実際はキリストのメタファーなのだ。
そのため栄光のキリストというくくりの中に収まる。

本ルネッタの画像は持っていないけれど、ここに出ている


4. 西側の外壁、門の上部のルネッタ
キリスト(中央)の救済と情熱。

P1770902.jpg




次に、下記黄色部分には、幼児~青年期、つまり若いキリストを描いた絵が集まる。

対応しているのは、
北の外側の門のルネッタ(1)+北の内側のクーポラ(2)と
南の内側のルネッタ(3)+南の外側の門のルネッタ(4)


P2090050.jpg


1. 北側の外壁、門の上部のルネッタ
東方三賢人の礼拝に、マリア様に抱かれた幼いキリストが描かれている。

P1010543.jpg


2. 北側の内部のルネッタ
イエスを手にかけようとするヘロデから逃れるため、幼児キリストを連れて一家がエジプトへ脱出するシーン
画像はこちらで見られる。


3.南側の内側のルネッタ
主の迎接祭、幼いイエスの奉献の様子が彫られている
P1010531-1.jpg


4.南側の外壁のアーキトレーヴ
ルネッタの下にあるアーキトレーヴといわれる帯状の部分に丸い彫刻x3があり、その中央にイエスの顔が彫られている。
成人のイエスの顔だが、髭をたくわえていないため、この若いキリストの一連の流れの中に位置するという。
画像はここ。(下の円形のうち中央)




次に、窓にもちょっと注目してみる。

洗礼堂の窓の数は合計24個。
こちらも何気に絶妙な配列。
下の写真に写っている下段=壁面上部に8個の窓。
その上=クーポラ部分の最下部に8個。
その上=クーポラの下から2段目に4個。
その上には、上記の窓と互い違いになるように4個。かたちは丸窓と四角い窓が交互。

P1010530-1.jpg


雑然と並んでいるかに見えた色彩豊かな絵の数々だが、無秩序ではなかった。
それにしてもこのイレギュラーな統一手法はどこの文化のスタイルなのだろう。

人間の記憶なんて曖昧だから、見た後長い間記憶にとどめるには、対象物の意味を把握し、頭の中で整理したいと思う。
そうでなければ、どこか“むにゃ”っとした印象のままで終わってしまう。

ああこれで少しスッキリした。

まだクーポラ部分や壁の部分の絵のワケを知りたいが、まずはここ1週間ほど洗礼堂一色になっていた頭をリフレッシュしなくては。


● 今回参照した文献(本):「Il Battistero di parma Fede e Arte」/ Mario Mazza

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イタリア回想録 パルマ① 洗礼堂その1 アンテラーミの彫刻に見られるサラミ作りの風景
イタリア回想録 パルマ② 洗礼堂その2 壁面に描かれた密やかなヨハネの物語
イタリア回想録 パルマ③ 洗礼堂その3 堂内の絵のこんなカラクリ
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2011.09.22 Thu | Travel-Italy| 0 track backs,
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