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パルマの洗礼堂1
■ イタリア回想録 パルマ① 洗礼堂その1 アンテラーミの彫刻に見られるサラミ作りの風景


パルマでお勧めのひとつが、八角形の魅力的な外見に、淡いピンクの石が優しいこの洗礼堂。


P1010526.jpg


たった一部屋なのに入場料は6ユーロ。
この辺の相場としてはお高めだけれど、耐久性のあるフレスコ画で描かれなかったために 時とともに剥がれおちる壁画の修復が大変、そんな話を聞いたので、その辺の台所事情による価格設定なのかもしれない。

現地で鑑賞後に買ったガイドブックによると、着工は1196年、完成形となったのが1270年。

宮下孝晴さんの「北イタリア」によれば、注目の一つは、アンテラーミ作の彫刻「12ヶ月」とのこと。

労働は罪の贖いを意味し、12ヶ月それぞれの月にちなんだ労働を描きだしているのだという。


入って暫くは、壁と言わず天井といわず、鮮やかな色彩で埋め尽くされた室内を茫然と見ていたが、やがて上部に小ぶりの彫刻を見つけた。
それぞれの月の彫刻の特徴をあらかじめ調べていたのだが、どんなわけだか1月、2月が見当たらない。


驚いて受付のおばさんに駆け寄る。
「ノン・チェ・ジェンナイオ(There is no January)」!


すかさずおばさんが言う。「貴方にはこれを貸してあげるから、これで照合なさい」、と。


彼女が手にしていたのは、立派な写真と解説がたっぷり入った英語のガイドブック。
ボロボロ具合をみると、無数の絵の中でヒントを欲する鑑賞者に常時貸し出しているのだろう。

しかし、ご自由にどうぞ、とはなっていなくて、おばさんの膝もとにしっかりそれは隠されていた。


それを聞きつけた目ざといイタリア娘2人組がおばさんに訴える。
「私たちにもイタリア語版貸して!」
もちろんOK。


日本では決して得られないだろう、詳細な地元のガイドブック。
本を開くなり、疑問はあっさり解けた。

彫刻12ヶ月は、実は3月から始まっていたのだ。
12月のあとに1月、2月が続いていた。
しかも、その間には春夏と秋冬が挟まっている。


1月は、ぶ厚いマントを着た2つの顔をもつひげの男。座って火にあたり、瞑想にふけるというシーンが表されている。
(Gennaio, dal duplice volto barbato, seduto, vestito con un ricco mantello,sembra scaldarsi al fuoco e riflettere.)


P1010531a.jpg



さらなる発見は、各月の下に、宮殿等でもよく見かけた星座のサイン(横道十二宮)が彫られている、ということ。

しかし1月だけは、星座を描いた彫刻以外にもうひとつ別の彫刻が並んでいる。

右の方はみずがめ座、というのはわかる、だがもう一枚は?

P1010531c.jpg


鑑賞後に現地で買ってきた手元のイタリア語の資料を引用すると、
Accanto al segno zodiacale, la lavorazione degli insaccati.

Insaccatiという単語がわからず辞書を引いたところ、意味は、腸詰めとのこと。
この彫刻、つまりサラミ作りのシーンを描いたものなのだ。

(Insacatiという単語はSaccoに詰める、という意味から派生しているのだろうか?)


現存するパルマ産のハムの一番古い記述は、なんとこの洗礼堂のこの彫刻なのだ、という事も、同時に知った。


左の絵のみをピックアップしてみる。

P1010531b.jpg


確かに、右に2本のソーセージが見える。


今この街を有名にしているハム作りの様子が、800年以上も前の芸術品に描かれていたという事実。

こんなささやかなでちょっと愛おしい発見が、この洗礼堂を私の中で特別なものにしている。


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パルマの洗礼堂の情報はこちら

さらに、サラミと洗礼堂のホットな関係はこちら

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イタリア回想録 パルマ① 洗礼堂その1 アンテラーミの彫刻に見られるサラミ作りの風景
イタリア回想録 パルマ② 洗礼堂その2 壁面に描かれた密やかなヨハネの物語
イタリア回想録 パルマ③ 洗礼堂その3 堂内の絵のこんなカラクリ
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2011.09.16 Fri | Travel-Italy| 0 track backs,
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