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日常風景 * 写真・文章 Copyright@”Mas Ciclismo Diary”
「木村伊兵衛とアンリ・カルティエ=ブレッソン 東洋と西洋のまなざし」フロアレクチャー & 内藤さゆりさんの写真「4月25日橋」はどこで撮影されたか
1月2日、16時から参加してきた恵比寿の写真美術館でフロアレクチャー。
今回は、木村伊兵衛とアンリ・カルティエ=ブレッソン 東洋と西洋のまなざし展のレクチャー。解説してくださったのは、本展覧会を企画された写真史家第一人者で学芸員の金子隆一さん。
興味深い話がたくさん。

例えば、木村伊兵衛とアンリ・カルティエ=ブレッソンの違い。
ブレッソンは、構築的、ジェオメトリックが特色で、縦の線など綿密な構図の枠を意識して撮影した写真家。
顔を1mm動かしたら、そこには違う世界がある、と言ったほど、図柄にこだわった。

一方で、木村のほうは、「本郷森川町」の写真に代表されるように、図形デザイン性に固執するとか、被写体を浮き立たせる、といった撮り方ではない。
人物は背景と溶け合い、混然一体となっている。

金子氏は、これを日本的ととらえ、「融通無碍(ゆうずうむげ)」と呼んでいた。

べた焼き、いわゆるコンタクトフィルムを見ると、なおさら2人の違いが浮き彫りになる。
確かに私も実際展示されていた2人のコンタクトフィルムを見て、ブレッソンのほうが同じカットの連写というのが少なくて、木村のほうはそれが多いという印象をもった。つまり前者は綿密に練った状況においてのみシャッターを押しているような感じ。

コンタクトフィルムを他人に見せるというのは、写真家にとって、それは裸を見せることになり、通常嫌がるものなのだとか。
デジカメならばすぐに気に入らないコマは消すことができる。
けれどフィルムでは、失敗作も白日のもとにさらされる。故意に消しても通し番号が変わってしまう。

それを今回の展覧会では人の目にさらしている。斬新な企画なのだ。

金子さんの話は続く。

木村は、オツとか粋を重んじた。例えば、朝日カメラに掲載された「本郷森川町」の写真には、今回展示されている決定的な1コマの1つ前の写真をわざと選んだそうだ。構図が決まる直前には動きがあり、ぴたっと合ってしまったら、その瞬間は静止してしまう。
ばっちり決まった瞬間の1つ前、その直前の面白さに着目した木村の選択だったという。

また、ブレッソンは、写真を人に撮られるのを嫌った。顔が出ると、フォトグラファーであることがバレてしまい、撮りにくくなるからだ。

だから今回の展示に、木村が撮ったブレッソンの写真があることは、非常にレアなことなのだとか。またその表情がいい。互いにハートが通いあっていなければ、こういう顔はできない。

===

さて、フロアレクチャーのあとは、2F展示室の「日本の新進作家展vol.8 「出発―6人のアーティストによる旅」を見た。この中で、最後に展示されていた内藤さゆりさんの写真を目撃した時、小躍りした。

実は当初、「4月25日橋 ーPonte 25 de Abril」というこの一連の写真の撮影場所は一体どこなのだろうと首をかしげていた。
何枚目かの写真を見たとき、見慣れた光景が飛び込んできた。08年2月に、自分が行った場所、そして撮影したあの場所だ。↓

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これはポルトガルのリスボン。10日前に急きょ行くことを決めた単身ポルトガル旅行。アルガルベ一周を見たあと、リスボンを観光した。

この場所は、私の中で1番か2番目にお気に入り。リスボンの普通の人の生活を見てみようと、ただ平凡な道を黙々と歩いていたら、突如眼下に広がる海と白壁の家並み、その手前に無造作に置かれた赤い十字架が現われ、そこはかとなく印象的で惹きつけられたのが思いだされる。

むしょうになつかしい。ポルトガル。

ちなみにこの展示関連の対談が6シリーズにわたって行われるようだ。すでに第二回まで終了。尾仲浩二さんx北島敬三さん(写真家)が12/23日、百々武さんx河瀬直美さん(映画監督)は12/26に行われた。

今後の予定は、1/17、百瀬俊哉さんx福島義雄さん(旧周産業大学非常勤講師)、1/30は、石川直樹さんx山崎ナオコーラさん(作家)というユニークな企画。いずれも14-16:00まで、場所は1F創作室で、本展覧会半券所持者なら自由に参加可能。当日10時より、1F受付で整理券配布。(以上、写美で配布されたチラシから転記)。

内藤さゆりさんの対談も開催予定(詳細未定)。


写真は、数年前の木村伊兵衛展覧会のカタログ。構図をきっかり精緻に狙っていない自由な目線に人間味を感じる。

P1750610.jpg
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2010.01.04 Mon | Art| 0 track backs,
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