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日常風景 * 写真・文章 Copyright@”Mas Ciclismo Diary”
スゴかったセバスチャン・サルカド写真展@写美
日曜日、恵比寿の写真美術館に行ってきた。『セバスチャン・サルガド アフリカ 生きとし生けるものの未来へ』を見るために。
写真展で、これほど胸が熱くなったのは初めて。

今まで何度も見てきたマグナムの写真ともどこか違う。なにが違うのだろう?

いわゆる報道写真という感じではないし、センセーショナルな感じでもない。

だけど深く揺さぶられる。

サルガドさんという人は、劇的効果を貪欲に狙おうといったアグレッシブさがなくて、アフリカのありのままの姿を撮るという客観的な視線を保持している。
でもレンズの向こうにあるありのままの姿というのは、我々の想像を絶するものばかり。
演出なしの過酷な現実が胸を打つ。

過剰でも寡黙でもない。
過不足なく撮るということのスゴさ。

写真展に行く前は、アフリカの写真展だから飢餓の実態を訴えるような、たとえばおなかが膨れて手脚がガリガリの子供たちがうつろな眼差しを向ける写真ばかりなのだろう、と思っていた。

ところが、最初のモザンビークから始まる数々の作品は、目力をもち、身なりを整えた人々の姿が続き、困難を抱えつつも、毅然と生きている姿が目に付いた。

・赤十字からの差し入れなのだろうか。かわいい洋服をきちんと着た難民の女の子。飢えている様子はなく、生命力の灯った目でこちらを見つめている。難民=悲惨な顔ばかり、という紋切り型の発想はない。

・難民キャンプでは、一張羅のドレスを着て微笑む女性の姿。帰ることが決まり、晴れ姿で家を目指すのだろう

後半は、逃げ場のない悲惨さを映し出す作品の数々。国はマリが多かった。

・母親の乳を飲む双子の写真があった。母の顔は写っていないので、その分、表情を想像することにより、写真はぐっと雄弁になる。洋服から突き出た母のおっぱいは、しなびて皺しわ。それでも、それを命綱とばかりにしゃぶりつく栄養失調の子供たち。

・瀕死の子供を抱いた父親の写真。生物と死体の境目にあるような状況の子供が父の手に抱かれている。その背後には、瀕死のラクダ。もはや4本脚で立つことができず、腰砕けのように、へたりこんでいる。そこここに漂う死のにおい。

・背後からの掃討射撃を警戒し、おびえた目で後ろを振り返りつつ、逃げまどう親子。母親がかぶっているのは鍋。自宅からすべてをもちだして逃げている。。。


この企画展はこの日が最終日。
14時過ぎに入ったのだが、入り口で詰まってしまい(中のレイアウトがよろしくなかった。一部、人が一列でないとすれ違えない部分あり)、前に進まない。

がしかし、それでもまだラッキーだった。直後に入場制限のアナウンスがあり、30分待ちとのこと。出る頃には上の階まで列は伸びていて、1時間待ちになっていた。

この企画展、きっかけは学生時代のクラブの先輩からの1通のメールだった:

東京都写真美術館、セバスチャン・サルガド 行ってきました。すごかったです。この光景を目の前に写真をとったサルカド。
新聞でも誰かが「言葉がでなかった」というような批評されていましたが、確かにです。



ちなみに我々は、この日、写美の友の会会員になった。(家族会員3000円。本人+家族1人が入場できるカード)
今後1年間は、無料・あるいは割引で見ることができる。サルガド展は2割引き。
後日「木村伊兵衛とアンリ・カルティエ=ブレッソン 東洋と西洋のまなざし」を見るつもり。こちらは無料になる。
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2009.12.14 Mon | Art| 0 track backs,
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