日常風景 * 写真・文章 Copyright@”Mas Ciclismo Diary”
「レオナルド×ミケランジェロ展」で素描に開眼
三菱一号館美術館で開催中の「レオナルド×ミケランジェロ展」は、
普段見落とされがちな素描の魅力をあますことなく伝える
良質の展覧会だった。


色の助けを借りずに線のみで形を構成する素描は、
ごまかしが効かない作業。

従来、色のついた絵画の方に目を奪われ、
スケッチや素描は二の次と位置付けることが多かったけれど
この展覧会では、これまでのないがしろが恥ずかしくなるほど
線描の美しさや多様さを実感できた。


会場内の解説パネルでは、2人のマエストロが、
それぞれに少し異なったタッチで立体感を出した点が
力説されている。


まず、ダヴィンチ。
左利きなので、左上から右下へのストロークを用いていた。
この点は、絵の真贋を見分ける時の判断材料として、聞いたことがある。

どれどれ・・・
単眼鏡で熟視してみると、輪郭以外は見事に同方向の斜めの線のみ。
なんと黒目までも(愕然)!


*ブロガー内覧会の折りに、写真撮影は許可を受けています。
(ウフィツィ美術館の絵とヴァザーリ関連の写真は除く)

「少女の頭部」ダヴィンチ
IMG_4712 (1) 


濃淡は、線の密度で表し、ハイライトも使っていたようなのだけど、
緻密な線ばかりではなく、髪の毛、体部分などは
空気感を伝えるようなあっさりした線だけ。

しかし脳内で補正が加わるせいか、
実在感のある女性像として目に映る。


先日新美術館で見たジャコメッティが、
素描の際、びっしり描き込んでは消し、
線に線を重ねて描き込んでいた様子とはまるで対極。

でも、この2人が目指したものは、案外同一だったりして:

「Le dessin n’est pas la forme, il est la manière de voir la forme.」
(デッサンとはフォルムではない、そのフォルムがいかに見えるか、である)
ドガの言葉。


一方、ミケランジェロの方は、線の交差で造形する
“クロスハッチング”を用いて描いている。

「<レダと白鳥>の頭部のための習作」ミケランジェロ
IMG_4719.jpg 


レオナルドが斜線による陰影で立体感を出していたのに対し、
ミケランジェロは、
石から立体を創出する彫刻の作業を紙の上で再構成するかのように、
周辺から攻めて隆起を創出している印象。


両者とも、視線のアヤといった不確定なものまで最大限に利用した
巧妙な罠にも近い再現の作業が興味深かった。



その他、パラゴーネに関する章もある。
当時絵画と彫刻、それぞれの優位性を競った空気感が伝わってくる。


私がパラゴーネという言葉を初めて知ったのは、
ティツィアーノの絵画の解説文でだった。

そこには鏡を持つ女性が描かれていて、
彫刻にしかできない多面性を鏡という小道具で実現した、
といったことが、パラゴーネの概念紹介とともに書かれていた。


片やダヴィンチの方は、多角的に頭部を描くことで
絵画の優位性をアピールしたようだ。


「髭のある男性頭部」ダヴィンチ
IMG_4915 (2) 


なるほど。

最後に、パラゴーネで思い出すのが、
アレッツォにあるヴァザーリの家。

天井画には、彫刻家と画家を表象する絵が描かれていた。


P6190805.jpg P6190802.jpg


さらに隣室の天井には、本を持った女神の姿。

こういう小道具には、えてして面白いことが書いてあるものだ。
アップにしてみた。

P6190771.jpg 


すると、こんな隠れたヴァザーリの自負心が・・・

P1730247.jpg 
LA VITA DI PITTORI, SCULTORI ET ARCHITETTORI
SCRITTE DA MESSERE GEROGIO VASARI
PITTORE ARETINO
L’ANNO MD XXXX

”芸術家列伝は、xxx年に
アレッツォ人の画家ジョルジョ・ヴァザーリによって著された。”


パラゴーネ論争活発な時代、
ヴァザーリは、自身を高らかに「画家」と定義していた。

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展覧会名:レオナルド×ミケランジェロ展
会場:三菱一号館美術館
会期:2017年6月17日(土)~9月24日(日)
開館時間:10:00~18:00(祝日を除く金曜、第2水曜、会期最終週平日は20:00まで)※入館は閉館の30分前まで
休館日:月曜休館(但し、祝日は開館)
2017.07.15 Sat | Private| 0 track backs,
そして松本零士さんの提灯も

アーティストコーナーにあった
松本零士さんの提灯も、やはりひときわ存在感を放っていた。


IMG_5188.jpg 


ああ、これはやっぱり真っ暗な中で見てみたい!

2017.07.15 Sat | Private| 0 track backs,
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