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「レオナルドxミケランジェロ」展の「十字架を持つキリスト」<波乱万丈の物語>
三菱一号館美術館で開催中の「レオナルドxミケランジェロ」展。

本展覧会のためにはるばる来てくれた「十字架を持つキリスト」は
(7月11日から展示開始)
ミケランジェロが制作を開始し、未完のまま放置されたあと、
第三者の手が加えられて完成したというレアな作品。

現在バッサーノ・ロマーノのサン・ヴィンチェンツォ修道院付属聖堂に
安置されている。
別名ジュスティアーニのキリスト。


ミケランジェロはこれとは別に、新たな「十字架を持つキリスト」の制作にとりかかり、
それはいま、ローマのミネルヴァ教会に置かれている。
(正式名はBasilica di Santa Maria sopra Minerva)


ミネルヴァのキリストは2013年にローマで見てきたので、
今回、ジュスティアーニのキリストを見るのを楽しみにしていた。


展示室に入るやいなや真っ先に確認したのは、むろんキリストのご尊顔。

展示鑑賞前にエムプラスで拝聴した講演会で高橋館長からコメントがあり、
本彫刻が未完のまま放置された理由が、こんな風に説明されたのだ。
「顔部分を彫り進めるうちに、大理石下層の黒い条痕が出てきてしまったから」。


展示室では、失礼とは思いつつもまずはキリストに歩み寄り、お顔の痕跡を確認。
よく見えないかな、と思っていたけど、意外にくっきり見えた。
WIKIでvena neraなどという表記も目にしたけど、なるほど。

*写真撮影は基本的に可能
IMG_4893.jpg 


ミネルヴァのキリストを右に添えてみる。
見上げる格好なので、うまく並列はできないけど。

bb.jpg aa_20170713235630521.jpg



ミネルヴァ教会にあった解説によると、キリストは
canne, spugna, corda=杖、スポンジ、縄を手に持っているとのこと。

P1320737.jpg 


”兵士たちはスポンジにふくませた葡萄酒を葦の棒につけて
十字架にかけられたイエスに差し出した”、
というマタイの記述を織り込んだ彫像のようだ。


ミネルヴァのキリストは、十字架に両手を添えていて、
ポーズはかなり異なっている。
P1320740.jpg 



さて、このようにミネルヴァのキリストは安泰に過ごしたわけだけど、
ジュスティアーニのキリストはどうなったのか?

以下は、NYタイムズなどのオンライン記事をあさったときに目にしたもの:


未完とはいえ、第1バージョンは破棄されることなく
第2バージョンが完成したときに、
ミケランジェロの手から依頼主のヴァーリに贈呈された。

17世紀初頭になると、この第1バージョンに買い手がつく。
カラヴァッジョの収集家として知られる
銀行家ヴィンチェンツォ・ジュスティアーニだ。
(それゆえに、別名ジュスティアーニのキリスト。)

そして1644年に別の作家が、未完部分を仕上げて完成。


本作はイタリア、バッサーノ・ロマーノの修道院へ運ばれ、
やがてミケランジェロ作という事実は忘れられていく。

バッサーノ・ロマーノの地は、その後外敵の侵入を受ける。
まずナポレオン襲撃・略奪。
ついでドイツ軍の略奪行為。

ところが彼らは本彫刻には見向きもせず、
命拾いをしたという。

その一方で、1941年には修道院主導のもと、
古いコレクションの断捨離が実施。
ところがその際も、なぜか捨てられることはなかったのだとか。

そして本像の本格的な履歴調査が開始され、2000年になって、
ミケランジェロ作であると認定された・・・


・・といった内容だった。
(完成を1644年としている点など、これが最終説かどうかは不明なので
ひとつの説として提示。)


なにはともあれ、
そんな波乱万丈のキリスト像が、
遠路はるばる日本に来てくれました。

ミケランジェロも泉下で、さぞびっくりしていることでしょう。


ー ちなみに、本展覧会には、以下のようなデッサンもありました。

*以下の1枚は、ブロガー内覧会の折りに許可を頂いて撮影しています:

IMG_4779.jpg 


これはミケランジェロ・・ではなくてレオナルド・ダヴィンチの作品、
「ヘラクレスとメネアのライオン」。

裸体の大家ミケランジェロのダヴィデ像への対抗作、
とも言われているのだとか。


天才たちが競ったルネサンス期の華やかな時代が具体例をもって
浮かび上がりますね。
 
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展覧会名:レオナルド×ミケランジェロ展
会場:三菱一号館美術館
会期:2017年6月17日(土)~9月24日(日)
開館時間:10:00~18:00(祝日を除く金曜、第2水曜、会期最終週平日は20:00まで)
※入館は閉館の30分前まで
休館日:月曜休館(但し、祝日は開館)
詳細はHPにて:  http://mimt.jp/lemi/
 
2017.07.13 Thu | Art| 0 track backs,
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